デジタル一眼、ステレオスコピック3Dと、これまでのNAB Showからは印象の薄い部分がクロースアップしているが、NAB Showは、全米としての放送機器展であると同時に、世界最大の放送機器展でもある。これまで話題性が大きかったファイルベースや素材共有ソリューション、ノンリニア編集ソリューションといった部分は、2つの新分野にかき消されてしまっているようだ。編集面での動きが少ないのは、この10年で十分に機能向上してきたことの証でもあるだろう。クオリティや編集スピードの向上は、プラットフォームに搭載されているCPUやGPUの処理性能の改善に依る部分が多くなってきている。
今年のNAB Showでの編集環境のトレンドもやはり、デジタル一眼のカメラコーデックへの対応とステレオスコピック3Dという部分になってしまう。Grass ValleyのEDIUS 5.5(日本ではEDIUS Pro 5.5)や、Avid Technologyが発表したのMedia Composer Ver.5、Symphony Ver.5、NewsCutter Ver.9では、デジタル一眼のカメラコーデックへのネイティブ編集が可能になった。Avidの新バージョン製品では、REDCODE RAWやキヤノン初のファイルベースカメラXF300/305で利用されているCanon XFといったコーデックもサポートしているほか、Matroxの小型入出力デバイスのMXO2 miniとの連携も果たした。
ステレオスコピック3D制作いう面では、Adobe Systemsが新たに発表した映像制作スイート製品、Apple Final Cut Proといったノンリニア製品でも、CINEFORM rio3Dを併用することでステレオスコピック3Dの制作が可能になって来ている。CINEFORMは非圧縮クオリティを維持しながら映像を圧縮することで、ステレオスコピック3Dの編集を少ない帯域幅で視差調整することが可能になっている。
特に、Premiere Proで活用されている新画像処理エンジンAdobe Mercury EngineはNVIDIA CUDAを活用したGPUコンビューティングを採用。GPUコンピューティングは、これからのタイムライン処理の高速化のトレンドとして活用されていきそうだ。