SIGGRAPH 展示会編
SIGGRAPH は学会でありながらも、機器展示 (Exhibition) も併設されている。リーマンショック以降、ブースの規模や数は減ったものの、内容は充実しているのだ。Exhibition ではカタログでしか見られなかった製品に触って体験したり、実際の開発者に会って話せるのは、重要な体験であり、この場限りだ。SIGGRAPH展示会の出展者の最近の傾向としては、CGプロダクションの求人ブースが多い。さらに、CGや映像制作、アニメーション制作などの学科を持つ大学などの教育機関の出展が数多く見受けられた。展示会の中から、いくつか興味深い製品をピックアップして紹介しよう。
GCS3 (Gamecaster社) : CG専用カメラ
ハリウッド映画製作の現場では、実写映像と、CG映像とを合成した映像の場合、その場で合成して映像を確かめることが多くなってきている。グリーンスクリーンの張り巡らされたスタジオの実写の撮影現場で、テスト用の比較的荒いCG映像 (プレビズ映像)を、その場で合成し、出来を確かめるのだ。その際、無くてはならないのは、実写映像のカメラワークをデジタルデータとして取得できるCG用のバーチャルカメラ装置である。各社からリリースされている中でも GCS3 は古株である。
http://www.gamecaster.com/news/GCS3-Revolutionary-Virtual-Camera-Control-Tandent Vison Science :影の除去
左の顔が入力素材、右の顔が影を取り去った出力画像
Tandent 社の展示は、画像の「影」を消すことのできる技術展示。 Tandent 社は、コンピュータビジョン専門の会社であり、展示されたテクノロジーは 今すぐ買って使えるという感じではなく、SDKを提供するので、ツール等に組み込んで欲しいというデモ展示。ただ、その完成度は高く、すぐにでも使いたい人も多いのではないかと思える充実した機能が見受けられた。
右の画像が、入力素材。3人の影が写りこんでいる。 |
右の画像が、影を除去した後の出力画像。影が消えている。 |
mocha (Imagineer Systems 社):モーショントラッキング
ぶれの大きい動画素材から、手の部分をトラッキングしている様子
mocha は 1,095ドルと比較的安価に利用できるモーショントラッキングツール。特殊なマーカー無しで、動画像内に写っている、特定の形状を設定するだけで、手持ちカメラのぶれを除去したり、画面に新しい物体を加えたりすることができます。比較的トラッキングの困難な素材や、トラッキング用のオブジェクトが見切れているような時でもうまく使えるそうだ。
http://www.imagineersystems.com/products/mocha/hdrv (SPHERON-VR 社) ハイダイナミックレンジ映像用カメラ
hdrv の筐体
通常のカメラであれば、画面の中に明るい部分があると、そこに絞りや色味を合わせてしまい、画面の中の暗いところは良く映らない状況に困る。HDR (High Dynamic Range) 撮影すると、明るいところも、暗いところもはっきりくっきりと映し出せる。hdrv は、full HD 解像度で、HDR撮影できるビデオカメラとして登場した。
明るいところも白トビせず、暗い部分もはっきりと撮影されている様子
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