PRONEWS AWARD 2014大賞は、SONY α7Sに!

PRONEWSもついに今年最後の記事となるPRONEWS AWARD 2014大賞の発表の大晦日になってしまった。今年も様々な話題に事欠かない年でもあり、またアベノミクスの影響からか映像制作業界でも、CMやPRビデオの世界を中心に次第に好調に転じていると聞く。また総務省が今年8月には4K/8Kの高解像度放送へのロードマップの前倒しを発表したことで、秋以降の業界の流れは一気に4K/8Kモードにギアチェンジしたという印象が強い。

実際にInter BEEにおいても、各民放キー局の代表者が出演した4K/8Kに関するパネルディスカッションは、大きな人気を集め、観覧席を2重3重に囲う人だかりで溢れ返っていた。内容的には民放でもまだ見通しが立たないという4K/8K化ではあるが、集まった来場者の多さに「我々も真剣に考えて行かなければならないと改めて思った」というような異を唱える等、放送・映像業界も次世代映像へのシフトチェンジを明確に認識する年になったようだ。今年のPRONEWS AWARD 2014大賞は、そんな今年の潮流の代表的な製品を選出した。編集部の2014年の答えがこれだ。

大賞
デジタル一眼ミラーレスカメラ α7S

ソニー

AWARD2014_02_sony_alpha7S_gold

受賞理由はいくつかあるが、やはり衝撃的だったのはこれまでソニーが放送・映像・音響のプロフェッショナル向け製品に特化して新製品を発表し続けて来たが、4月のNABSHOWにおいて、ソニーとしておそらく初めてであろう、民生機器を正式にNABで発表したことだ。このα7Sがいかにソニーの肝いりの製品であったかということを物語っていると思う。しかしこのときは、我々プレスも、一般ユーザーもその全貌を知る由もなく、その本質的実力が分からなかった。また、発表されていた市場予想価格も40万円前後という高額で、4月当初はそれほどの期待値はなかったのが正直なところだろう。しかし実際の技術内容が明らかにされ、何よりその映像をみた時の感動や衝撃は多くのユーザーを虜にした。

やはりフルサイズ35mmという大型センサーの魅力に加えて、4K動画撮影を強く意識したテクノロジーが満載という実力。そしてやはりこのサイズ感での価格帯も購買層のセーフティーラインを遵守した形での発表となった。肝心の4K収録は現在、ATOMOS SHOGUNとの組み合わせでしか実現できず、そのSHOGUNの出荷遅れもあって、実際の4K収録の評価はこれからになるが、今後の展開という意味でもこの4Kユニットへのユーザーの期待値は大きい。

また発売以降の市場動向としても大きな変化が現れ始めた。これまでDSLRムービーのプロ業務用仕様といえば、キヤノンEOS 5D Mark II/III、また7Dが圧倒的シェアを見せてきたが、このα7Sの登場以降、その画質、機能、操作性、拡張性などの面において、EOSユーザーからの乗り換え組が増えているということだ。もちろんまだ多くのEOSユーザーは存在するわけだが、センセーショナルなEOS 5D Mark IIの登場以来、5年以上もDSLRムービーという市場を開拓し、周辺マーケットも開拓してきた絶対的EOS王国に“風穴”をあけた存在という意味でも、今回の大賞に選出させて頂いた。

2015年展望

毎年のように来年の予測は未知数なものばかりだが、今年に見られたような4K/8Kへの入力機材における具体的アプローチはさらに進んで行くだろう。さらにはもっと下のレンジ=民生機材への進展もさらに加速するのではないだろうか?また高解像度化に伴い、HDR(ハイダイナミックレンジ)への拡張、時間解像度(秒間フレームレート)、そして広い色域など、真の高画質を実現するための、4K/8Kの魅力を活かす周辺技術も更なる進化をしていくと思われる。

その4Kコンテンツを配信する手段にも更なる技術革新に注目したい。一般的な動画コンテンツ、そして劇場映画などにおいても一般流通するパッケージメディアや、大容量ファイルのシームレスな管理運営技術が普及することがカギになるだろう。またブロードキャストでは、現行放送での配信が技術的にも限界があることからも、今後は高速ネットワークでの共存がスムーズに行われなければ、今後の高解像度コンテンツの進化は停滞してしまう。いずれにせよ放送の世界は、すでにある意味で「ローテク」化してしまった現行のベースバンドから、新たなインフラとデリバリー方法を模索する必要に迫られていることは確かだ。

いずれにせよ、2015年はこうした次世代映像普及の実現にむけてのインフラ技術の進化に期待したい。

PRONEWS 編集部


Vol.03 [PRONEWS AWARD 2014] Vol.00