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話題はやはり4K関連…?!
国際的にも景気は上向き傾向になり、展示会場でのディスプレイもこうした好景気を反映してか賑やかになってきた。13日(現地時間)から開催される展示会場の建物壁面は各社の広告で埋まり、入り口付近のエントランスホールには様々なPOPが立ち並んでいる。4Kの放送が始まり、関連の規格も概ね決まってきたこともあり、昨年辺りから放送機器メーカーが本格的にカメラなどの主要機材の発売しており、話題的にも盛り上がりを見せている。
特に4Kやその先の8Kは規格を含め日本がリーダーシップをとっているということもあり国内メーカーも積極的だ。ソニーとパナソニックは放送機器のオピニオンリーダーとして展示会前日に製品プレス発表会を開催するのが通例だったが、今年はパナソニックが日にちをずらし、13日の発表となっている。この日はブラックマジックデザインのプレス発表も同時刻にあり、うがった見方をするとパナソニックのライバルがソニーからブラックマジックデザインに変わったとも見て取れる。
4Kを推進するソニー
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ハイダイナミックレンジを活かした4Kソリューションのワークフローとソニーの製品
さて、積極的に4Kを推進するソニーは、12日のプレスカンファレンスで2/3型の4Kイメージセンサーを搭載した4K/HDシステムカメラ「HDC-4300」と、XAVCフォーマットの4Kコンテンツを手軽に再生できるメモリープレーヤー「PMW-PZ1」などを発表したほか、4Kカメラや有機ELモニターなどハイダイナミックレンジのワークフローを実現できる製品の開発やIPを利用したニュース制作向けのライブストリーミングワイヤレスソリューションの提案などが行われた。
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Cloud-based Media Platformにより様々な端末に対応
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クラウドサービスなどとMedia Backboneによりワークフローの自動化を推進
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今回発表されたHDC-4300を前に微笑む開発担当のコンテンツクリエーション・ソリューション事業部事業部長 桐山宏志氏
4Kを中心としたハイダイナミックレンジのワークフローと表示技術の開発においては、すでに発売されているシネアルタ4KカメラF65やPMW-F55、4K有機ELマスターモニターBVM-X300により、広色域、高解像度に加えて、ハイダイナミックレンジ(高輝度、高コントラスト)を兼ね備えた、最高画質のマスタリングプロセスが実現できる環境を整えたほか、機動性を備えたPXW-FS7の発売や今回発表されたHDC-4300による放送を中心としたソリューションに幅を広げている。これにより、デジタルシネマから放送まで4Kをカバーしつつ現行のHDからの移行をシームレスに行える下準備が整ったかっこうだ。
放送における4Kソリューションはこうした撮影系だけでなく、スイッチャーや配信関係、アーカイブなど、デジタルシネマとは異なるワークフロー上のソリューションも必要となるが、4Kライブスイッチャーの開発やXAVC対応の4K/HDライブサーバーシステムPWS-4400といった新製品の投入のほか、同社が以前から進めているMedia BackboneやIPによるクラウドサービスの展開などを行うことで、HDと4Kをカバーした総合的なソリューションの提供を進めている。
会場では、こうしたソニーのハイダイナミックレンジの4Kシステムを利用した上映用映画の紹介のほか、会場とニューヨークやNAB展示会場のブースとをIP伝送網で結びリアルタイムで会場との掛け合いを行い、その画質のクオリティーの高さや遅延の少なさをアッピールしたデモンストレーションが行われた。
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XDCAMカムコーダーPXW-X180、PXW-X200、PXW-X500は今後バージョンアップによりQoS対応のライブストリーミング機能を搭載する予定
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2015年発売予定のネットワークRXステーションPWS-100RX1。ワイヤレス通信による映像伝送と既存のSDIをゲートウェイ接続し、放送システムとしてワイヤレスを組み込むことが可能
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カムコーダーからダイレクトに映像・音声をワイヤレス送信するライブストリーミングソリューション。会場とニューヨーク、ラスベガスのホテル街をリアルタイムで中継
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HD、4K対応のIPライブストリーミングプロダクションシステム
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HD、4K対応のIPライブストリーミングプロダクションシステムを使って準備中のNAB展示会ブースと会場をライブ中継
現行のHDニュース制作向けとして、ワイヤレスアダプターやワイヤレス機能を内蔵したカムコーダーの開発などを通じ、高品質のライブストリーミングを低予算で実現するワイヤレスソリューションの提案も行われた。これは、4G/LTEやWi-Fiネットワークを活用し、カムコーダーからダイレクトに映像・音声をワイヤレス送信するライブストリーミングソリューションで、ネットワークRXステーションPWS-100RX1や独自のQoS技術により安定したライブストリーミングを実現。XDCAMカムコーダーPXW-X180やPXW-X200、PXW-X500など今後バージョンアップによりQoS対応のライブストリーミング機能を搭載する予定となっている。
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ソニーの4Kソリューションを歓迎するスポーツ関係を中心とした放送業界のキーマンたち
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そうしたキーマンたちが壇上に登場
昨年までのソニーは、新製品の発表に趣きをおいており、こうした発表会ではマスコミウケする新製品やコンセプト製品を必ず披露していたが、BtoB戦略を打ち出していることから、今年はソリューション展開や事例を中心とした発表となったようで、会場内に登場したのはHDC-4300のみであった。個々の新製品は明日から始まる展示会でレポートしよう。
さて、こうした一連の発表は米国ソニーによる北米を中心としたものだが、古くは米国内の時差を解消するためにVTRが開発されたり、広大な国土をカバーするための通信衛星の利用などと同じく、必ずしも全く同様ではないにしろ、国内でもいずれは普及してゆくものであり、撮影から放送までのワークフローの新たな展開がこうした発表からも伺える。
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