強風吹き荒れる?!会場
今日も快晴のラスベガスだったが、昼過ぎから風が強く、砂埃が舞っていた。まれにみる強風で落としたカタログを追いかける人や立て看板状のPOPが風で倒れたりしていた。ビデオ業界もネットや4Kの風が吹き荒れ、今までのワークフローやメーカーの住み分けが大きく変わろうとしているように見える。すでに衛星放送やネットによるテレビ視聴が常識化しており、地上波への侵食が始まっている。
視聴の形態も居間のテレビからPCやスマホに移りつつあり、見たい番組を見たいときにいつでも見られる方向に向かっている。ビデオ機器メーカーも新規参入だけでなく従来カメラを作っていなかったメーカーの参入や別の業界からの参入もあり賑やかになってきた。デジタル化は製品の陳腐化を加速し、結果毎年大量の新製品が出まわることになる。デジタルシネマはそうした背景のもとに発展してきたが今年はUHDへベクトルが少し角度を変えたようだ。とは言えデジタルシネマ系の新製品がなくなったわけではなく。今年もREDやARRI、Blackmagic Design、キヤノンなどから新製品が発表されている。
6144×3160ピクセルという4Kを上回るピクセル数で撮影可能なRED WEAPON。6K記録のほか2K/3K/4K/5Kアナモフィックなどデジタルシネマ系のアスペクト比での記録に対応
65mmシネフィルムサイズのセンサーを搭載したARRI ALEXA 65。センサーは6560×3100となっているが65mm 5パーフォレーションの5120×2880ピクセルと8パーフォレーションの4320×2880ピクセルの記録モードを持つ
Blackmagic Designは4.6Kイメージセンサーを搭載したURSA 4.6K。4096×2304(4K 16:9)と4608×1920(4K 2.4:1)、3072×2560(3K アナモルフィック)などデジタルシネマのワイドに対応
EOS C300 Mark II。新開発のCMOSセンサーの搭載により4K記録やダイナミックレンジの拡大などを実現。XF-AVC記録やCanon Log 2にも対応
REDは19Mピクセル RED DRAGONセンサーを搭載したWEAPONを、ARRIは65mmシネフィルムサイズのセンサーを搭載したALEXA 65を、Blackmagic Designは4.6Kイメージセンサーを搭載したURSA 4.6Kを、キヤノンはデュアルピクセルCMOS AFを搭載したEOS C300 Mark IIを出展している。
こうしたデジタルシネマを対象とした4Kでは放送を対象とした4K(UHD)より高画質で記録する必要があり外部にレコーダーを接続して記録する需要が多く、Codexを始めとしてAJAやBlackmagic Designなどから対応製品が発売されているが、比較的最近参入してきたATOMOSが最近注目されている。同社のレコーダーはモニターが搭載されており、シネマスタイルで撮影する場合の外部モニターとしても使えるからだ。昨年発表されたSHOGUNはCinema DNG RAWでの記録が可能なほか、今回のNABではファームウェアのアップデートにより3D LUTのHDMI/SDI出力対応になったことでよりデジタルシネマでの利便性がましたといえるだろう。
ATOMOS SHOGUN。カラーキャリブレーション対応の7.1型1920×1200のS-IPS液晶モニターを搭載。RAIDキャディーに市販の1TBのドライブを2個搭載することで4K ProRes HQを最大5時間収録することが可能
こうしたレコーダーを利用する背景にはカメラ側で記録するより高画質というだけでなく記録メディアにも関係がある。カメラ側で4K記録に対応させるには転送レートが高い記録媒体を使う必要があり、ソニーは専用のメモリーを開発してこうした問題をクリアしているが最近になって高速記録に対応したXQDやCFast CompactFlashメモリーが発売になり、そうしたメディアを採用したカメラも出てきている。
ただ、こうしたメモリーは現状では用意できなかったり価格的な面でも高価になりがちだ。ATOMOS SHOGUNやBlackmagic Designのレコーダーは市販のSSDを使用することが可能となっておりRAWの長時間記録にもリーズナブルな価格で対応できるようになっている。放送を前提とした4Kとデジタルシネマ系の4Kとでは4096×2160と3840×2160というピクセル数の違いだけでなく運用上でも異なることもあり、今年は放送の4Kとデジタルシネマの4Kの違いが鮮明になったといえよう。