NAB2015会場を見渡してみれば(360°)?

※Kodak SP360で撮影したパノラマ動画です。視点変更機能を利用するにはPC用のChromeブラウザおよびAndroid版YouTubeアプリが必要です。

今年も熱い会場から!

昨日に引き続き快晴となったここNAB会場。午前中は比較的涼しいものの会場の中は初日ということもあり超過熱状態だ。今年は昨年に引き続き4Kを中心とした製品出展が多いが、多少趣きが異なってきている。昨年まではデジタルシネマの余韻が残るような製品が多かったが、日本だけでなく4K放送を始める国があることから今年は放送に向けての4Kが一気に進んでいる。放送といっても必ずしも現在の地上波に変わるというわけではなく衛星やインターネットを利用した配信を行う必要がありネット対応の4Kソリューションも目白押しだ。

数多く見られる4Kソリューション

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ソニーHDC-4300。新開発のCMOS 2/3型3板式4Kイメージセンサーを搭載しており、別売のソフトウェアをインストールすることで最大8倍速のHDスロー撮影も可能。HD用B4マウントレンズを直接本体へ装着できるほか、PMW-F55やF65による4Kライブカメラシステムと同等のシステム構成を採用しており、撮影シーンに応じてカメラ部をHDC-4300に変えるなど、両シリーズの混在運用も可能

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池上通信機2/3型4K 3CMOS 4Kシステムカメラ。既存の放送カメラシステムの操作性と運用性を継承し、スタジオや中継車での4K映像制作が可能。新開発4K×3CMOS搭載のB4マウントシステムカメラ

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Grass Valley LDX 86。HDと4Kスイッチャブルタイプのシステムカメラで、HD撮影時は6倍のハイスピード撮影が可能。マウントはB4で、既存のHD用レンズや4K対応レンズを装着できる

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パナソニック4KスタジオハンディカメラAK-UC3000。AK-UCU500やカラー液晶ディスプレーを搭載したリモートオペレーションパネルAK-HRP1000/HRP1005と組み合わせて、高画質・非圧縮・長距離伝送が可能。B4マウントでMOSセンサー採用

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朋栄FT-ONE-S。防塵、防水機構を採用したほかカメラヘッドを分離することが可能。高速度撮影によりスポーツ中継などのスローモーション撮影に最適としている

放送を前提とした場合デジタルシネマ系と異なり、大口径のセンサーやPLマウントではなく現行のHDと同様な運用性が求められてくる。放送機器のメーカーは現行のHDカメラと同じ運用性を求め定番とも言える2/3インチ光学系を採用したショルダータイプの4Kカメラを一斉に投入してきた。たとえば、ソニーはHDC-4300、池上通信機は2/3型4K 3CMOS 4Kシステムカメラを技術展示、Grass ValleyはLDX 86、昨年まで比較的おとなしかったパナソニックもAK-UC3000といった具合だ。こうしたカメラは中継やスタジオでマルチカメラ運用できるようにカメコンが用意されおり、記録系は搭載していないタイプとなっている。

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キヤノン2/3型センサー用4K対応B4マウント高倍率ズームレンズUHD-DIGISUPER。技術開発参考出品なので正式な仕様は公開されていないが2倍のエクステンダーとIMAGE STABILIZERを搭載している

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フジノン4K対応80倍ズームレンズUA80☓9。9-720mmF1.7の高倍率ズームレンズ

4Kを放送で使う場合HDを上回る解像度を活かした番組制作も必要になるが、それなりに制作費もかさむことから、アメリカンフットボールや野球、テニスと言ったスポーツものや音楽コンサートなどスポンサーが付きやすいイベントで使われる事が多い。こうした需要には高倍率のズームレンズやライブスイッチャーなども必要になるが、レンズはキヤノンやフジノンが、スイッチャーはソニーや朋栄などが4K対応の製品を出展している。

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Blackmagic Designスーパー35センサー搭載のデジタルカメラBlackmagic URSA Mini。EFとPLマウントの2機種が用意されている

こうして見てみるとほとんどが日本のメーカーだが、今回Blackmagic Designからはネットなどの放送に向けたカメラを数機種とカメコン機能を搭載したATEMスイッチャーなど多数の新製品が発表された。今年の4Kは昨年までとひと味違い、放送に向けたUHD対応の製品が各社から出てきており、国内をはじめとしてスポーツイベントや音楽イベントの放送が増えて行くだろう。

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ソニー4K対応ライブスイッチャーMVS-7000X。オプションソフトウェアBZS-7570Xによりリアルタイムでの4K信号処理を行う際に、従来より多彩なエフェクトを加えたライブ制作が可能

一方ニュースなどの報道番組ではマイクロやSNGにかわりネットの利用が一般的になり、以前はノースホールとサウスホールの間にアンテナを搭載した中継車が沢山並んでいたが、年々少なくなっている。IPによるネットの利用も単に番組をネットに流したり映像の伝送行うというものからカメラの映像モニターや設定、更にはカメラから直接ネット配信できるものもある。ネット配信用のスイッチャーもスイッチングした映像をネットに流すものからネットを介して送られてきた映像を直接スイッチャーで受けてその他の映像ソースと同様に扱えるようになってきた。またクラウドを利用した番組配信やアーカイブやバックアップなどにも広がっている。こうしたIP伝送は各社対応しているが特にソニーが積極的だ。

デジタルシネマの流れから4K対応のカメラなどが出現しデジタル一眼レフカメラを巻き込み昨年あたりまでは混沌とした面もあったが、今年はかなり明確にデジタルシネマの4Kと放送の4K(UHD)がはっきりとしてきたといえよう。またまだNAB初日だ。明日からのレポートにも期待してほしい。


Vol.00 [NAB2015デイリーレポート] Day02