日本と違って湿度が低くこちらのほうが気温が高いにも関わらず非常に清々しい。朝は風のある日陰では肌寒いほどである。初日の朝一はBlackmagic Designのプレス発表があり、昨年ほどではないものの今年も数多くの新製品が発表されたほか、IP伝送機器にintoPIX社のTICO4:1ビジュアルロスレス圧縮アルゴリズムを採用することが発表された。また、URSA Mini OSやATEM 6.8及びDaVinci Resolve 12.5などのアップデートも発表された。

Blackmagic Design

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同社は昨年SDIとIPの双方向変換が可能なTeranex Mini IP Videoコンバーターを参考出品しており、自社が提唱している12G-SDIとともに今後IP対応の製品が発表されると思われる。昨年まではカメラの新製品に力を入れていた同社だが、今年はカメラの新製品はなかったものの、URSA Miniのアップデートが発表された。このファームウェアアップデートは主にカメラの操作に関わるものだが、まるで別のカメラと思われるほどの内容となっている。

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内容が一新されたURSA Mini OSにより、まるで別のカメラになったような印象だ。今回のアップデートによって、ATEMスイッチャーからのトークバック、タリー、カメラコントロール、カラーバランス、レンズコントロールなどが可能になったほか、カメラID、リファレンスタイミング、SDI出力オプションの設定も可能。

新製品としては、7型のURSA Studio Viewfinder、Video Assist 4Kビデオレコーダー、40Gb/s Thunderbolt 3を搭載したUltraStudio 4K Extreme 3、HDMI・SDI対応のMicro Converter、SDメモリースロット25基とH.264エンコーダーを搭載したDuplicator 4K、単一のモニターで4つの画像を分割表示できるMultiView 4、4系統対応のキャプチャー・再生PCI ExpressカードDeckLink Duo 2、Blackmagic Camera SDI Control Protocolを使用してカメラをリモートコントロールするためのArduino 3G-SDI Shieldなどとなっている。

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URSA Studio Viewfinder。前後上下の位置調節が可能なほか、タリーやフレームガイドの表示が可能。URSA Miniをバージョンアップし組み合わせることでスタジオカメラとして最適な組み合わせになる

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Video Assist 4Kビデオレコーダー。2160p30までのUltra HDビデオを一般的に市販されているSDメモリーカードに収録できる。ファイルフォーマット10-bit 4:2:2ビデオで、ProResまたはDNxHDに対応。

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SDメモリースロット25基とH.264エンコーダーを搭載したDuplicator 4K。12G-SDIインターフェースを搭載しており、2160p60までのあらゆるSD、HD、Ultra HDフォーマットに対応している。カスケード接続可能で、25基単位で一度に記録できるSDメモリー枚数を増やすことが可能。

こうして製品を一望してみると、すでに発売した製品の周辺機器やユーザーからの要望に答えた製品が多いように思う。おそらく、IPやHDRといった最近のトレンドに対応した製品を開発しており、早ければIBCあたりで発表されるのではないだろうか。

そうした中でちょっと特徴的なのがDuplicator 4Kだ。プレス発表でも一番最初に紹介された製品。4KのコンテンツをSDメモリーカードで一般に簡単に提供できるようにするもので、Bru-Rayディスクのように専用のプレーヤーがなくてもSDメモリーカードならばPCやテレビで直接視聴することが可能だ。プレスリリースにも記載されているが、イベントの後にそのイベントで収録したものを終了後に配布することが可能で、日本ではブライダルビデオなどでこうしたことが行われている。H.264エンコーダーを内蔵しており、8GBのSDメモリーカードに約1時間記録できるという。一般に販売されている安価なメモリーを使用することができ、再利用可能なことから、今後こうしたスタイルでの4Kコンテンツの普及が見込まれる。

Panasonic

さて、Blackmagic Designのプレス発表の後はパナソニック。サウスホールからノースポールまでほぼ会場の端から端までの移動ということで、昨年同様質問の余裕もなく足早に会場に向かう事になった。

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パナソニックも冒頭からIP対応の発表である。AIMSアライアンスへの参加とintoPIX社のTICO4:1ビジュアルロスレス圧縮アルゴリズムの採用が発表され、intoPIX社のCTOと硬い握手を交わすなどかなり積極的な印象を受けた。

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また今回キヤノンブースとパナソニックブースをIPで結び相互に映像を伝送を披露することが発表された。

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気になる新製品はVARICAM LTとVARICAM 35Cinemaカメラ、4K対応のショルダータイプカメラUC3000および240fps撮影が可能なHDカメラHC5000などとなっている。

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なお、昨年から本格始動を開始したクラウドネットワークサービスP2 Castのさらなる充実やプロジャクターやモニター、監視カメラシステムなどもあり、放送から業務用、デジタルシネマを含め幅広く対応していくようだ。

2日目は、放送機器を総合的に扱っているリーディングカンパニー4社のプレス発表を見てきたわけだが、通して言えるのはIP、4K、HDRがキーワードとになっているということだ。いずれも昨年以前から言われてきてはいるものの、内容的には放送システムを前提としたものになってきており、放送に向けてのラストスパートの幕が切られたといえよう。


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