2日目に入ったということもあり、少しは人出が緩和されるのでは?という甘い期待は見事に裏切られ、今日も満員電車の中を移動するように目指すブースを周る事となった。

さて、すでに4K対応のカメラは各社から発売されているが、スポーツ中継などで欠かせないスローモーション対応のカメラや4Kのその先にある8K対応のカメラが出てきている。また、4Kまたは8K対応のレンズやレコーダーなどの周辺機器なども各社から出展されている。本放送を開始した国はまだないものの、すでに視聴の環境は出来上がりつつあり、ネットやメモリーカードなどを利用したコンテンツの流通が始まっている。HDまではテレビ放送ありきで放送局がいかに魅力的なコンテンツを放送するかが普及への鍵といえたが、4Kは放送を待たずに進んできている。

こうしたこともテレビ離れの一因ともいえるが、オリンピックやフットボール、野球、サッカー、ゴルフなどのビックイベントやメジャーな音楽番組など制作規模が大きくなるようなコンテンツでは、放送局の存在は欠かせない。放送に向けてのビデオ機材は必然的にこうしたコンテンツ制作に対応してのものとなり、大きなシステムとしての運用が前提となっているわけだ。規格の統一ももちろんだが、信頼性や運用性、長期にわたっての保守が担保されるかなども重要になってくるので、同じレベルの画質であっても製品の価格は桁違いになってしまうことも珍しくはない。NABではこうした機材から民生機までが同じ会場内に並んでしまうところが面白い。まずは最も価格差が大きい撮影機材から見ていこう。

数万円のトイカメラからスタートしたGoProも今やNABの常連となっている。ブースの場所もパナソニックの隣で、センターホールの入り口からほど近い場所に構えている。スポーツカメラとかアクションカメラと言われるジャンルの先駆者だが、その路線もそろそろ限界に来ているようで、最近では360°を撮影できるカメラリグやこうしたシステムで撮影した映像をシームレスにつなぎ合わせ、編集するソフトウェアなども扱っている。16台のGoProをドーナツ状に設置するOdysseyとキューブ上の6面に6台のGoProを設置するOmniが出展された。

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VR用の映像を撮影する方式はいくつかあるが、キューブ状の6面にカメラが配置されたGoPro Omniは全く死角のない撮影が可能。単純に複数のカメラをマウントするリグと異なり6台のカメラは同期して撮影が可能

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16台のGoProをドーナッツ状に設置したOdyssey。カメラの台数が多いため画質的には有利ともいえるが、撮影距離によって隣り合うカメラとのオーバーラップが生じるので、比較的近距離で有効な方法といえよう

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2/3型B4レンズマウントに対応したショルダータイプの4K対応カメラソニーPXW-Z450。PXW-X400をデザインコンセプトとしており、4Kカメラをあまり意識せずに運用できる。4K CMOSイメージセンサーを搭載しており、記録はXAVC Intra、XAVC Longコーデックにより4K(3840×2160)60p記録が可能なほかMPEG HD422などのHD記録にも対応している。米国発表で国内での発売は未定

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ソニー4K対応ライブカメラHDC-4800。4Kで最大8倍速スーパースローモーション撮影が可能なほか、BT.2020の広い色域やIP伝送にも対応している。現在最も進んだスタジオ・中継カメラシステムといえるが、ベースバンドプロセッサーユニットBPU-4800とのセットで価格は約4,000万円となっている

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4Kカメラの新たなシリーズとなるパナソニックのAG-UX90。パナソニックの4KカメララインナップはハイエンドのCINEMA VARICAMシリーズと先に発売になったAG-DVX200に代表されるDVX 4Kシリーズがあるが、今回小型ビデオカメラのシリーズとしてUXシリーズが加わった。写真のAG-UX90以外にAG-UX180が年内に発売される模様。AG-UX90は1型MOSセンサーを採用しており、光学15倍ズーム、UHD 30p記録に対応。最大で4K(4096×2160、24pのみ)、UHD(3840×2160)での記録が可能

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Grass Valley LDX 86N。すでに4K対応カメラとしてLDK86シリーズが出荷されているが、今回センサーをUHDネイティブ(3840×2160)にしたモデルとしてLDX 86Nシリーズが発表となった

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8K対応カメラアストロデザインAH-4810-A。NHKの協力のもとにすでに幾つかのスーパーハイビジョンカメラを送り出しているが、今回のモデルは今までの箱型からビデオカメラらしいデザインになっている。センサーは35mmフルフレームの133MピクセルのCMOS単板で、レンズマウントはPL、EF、Fがあるという。出力はU-SDIで8K/60Hz/RGB4:4:4での伝送が可能。U-SDIはすでに規格としてARIB STD-B58のほかSMPTE ST2056-4、ITU-R BT.2077-1で定められている

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8K対応ハンディタイプカメラ池上通信機SHK-810。フォーカス操作をサポートする「フォーカスアシスト機能」や、レンズの色収差データを自動的に読み込み補正する「レンズ色収差補正機能」のほか、「タリー」「インカム」などのコミュニケーション機能を搭載。従来のハイビジョンカメラと変わらない運用が可能。ただしレンズはセンサーのサイズが大きいので、PLマウントレンズとなっている。昨年発表されたカメラ

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RED Digital Cinema WEAPON 8K。19MピクセルのRED DRAGONセンサーを搭載しており、アスペクト比2.4:1のワイドアングルで6Kの動画撮影が可能。また毎秒最大100フレームの静止画を記録できる


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