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日本より気温が高いとはいえ、適度な風もあり今年は例年より過ごしやすいようだ。3日目も大勢の来場者で賑わうNAB会場。今回は撮影関係の機材、レンズを中心に見ていこう。
昨年あたりから盛んに4K対応をうたったレンズがキヤノンやフジノン、Carl Zeissなどから発売されている。一口にレンズと言っても用途によって様々で、大きく分けてスチルカメラ用、デジタルシネマ用、ビデオ用の3つが主なものといえるだろう。スチルカメラ用は種類が豊富で比較的安価なことから、デジタル一眼による動画撮影以外にもブラックマジックデザインのカメラがスチルカメラ用のレンズマウントを採用しており、キヤノンのシネマEOSシリーズも自社のスチルカメラ用マウントを採用している。ただ、スチールカメラ用のレンズの多くは動画撮影には適しておらず、特にデジタルシネマスタイルでこうしたレンズを利用するための様々なアクセサリーが流行った時期もあったが、昨年あたりからあまり見かけなくなってきた。
デジタルシネマ用のレンズは劇場映画撮影用に古くからPLマウントを採用してきたが、こうしたレンズは非常に高価だった。また、映画撮影では単焦点レンズをセットで使うのが一般的でズームレンズを使用することはあまりなかったといえるが、キヤノンやフジノンがPLマウントのズームレンズを発売し、Carl ZeissやAngénieuxなどもズームレンズを発売している。ただ、昨年あたりから、アナモフィックレンズが登場しており、トキナーなどが発売している安価な単焦点レンズを含めるとPLマウントのレンズメーカーは非常に多く、また種類や価格も様々だ。
B4マウントに代表されるビデオ用のレンズはUHD用のカメラがソニーやGrass Valleyから発売されるのを期に、昨年からキヤノンやフジノンが対応レンズを発表している。HD用のレンズラインナップがやっとそろったばかりのタイミングということもあり、カメラメーカーではHDレンズを流用する方向だったようだが、中継などで使われる高倍率のズームレンズを中心にUHD用のレンズが今年も新製品として発表されている。
また、8Kは日本国内だけという事情もあるものの、すでに対応レンズが参考出展されており、今後もレンズの新製品ラッシュは続いていくようだ。
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ZEISS Otus 85mmF1.4。スチルカメラ用のレンズで現在28/55/85mmの3本がラインナップされているが、いずれもF1.4と非常に明るいレンズとなっている。そのため、開放近くでの浅いピント範囲の描写が可能。手の大きさと比較してかなりの大きさがわかる
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Leicaは新製品としてシネ用レンズSummicron-C 15mmおよび40mmを出展した。このレンズシリーズはT2.0に統一されており15-135mmまで11種類がラインナップされた
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トキナーPLマウントレンズ11-16mmT3.0。前群に配置した非球面レンズと後群に配置したガラスモールド非球面レンズにより、ディストーションを補正しながら、各収差を理想的に補正したほか、蛍石に限りなく近いSD(超低分散)ガラス「FK03」2枚の採用により、色収差の除去を図っており、優れた描写を実現しているという
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フジノンPLマウントレンズXK6☓20。20-120mmT3.5のズームレンズで、ズーム全域でT値が変わらない。ズームやフォーカスを電動で駆動するドライブユニットの着脱が可能で、マニュアル操作および放送用レンズと同等の操作感を実現している
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フジノン8K対応ズームレンズSK3☓12-SM。12-36mmT3.1のPLマウントレンズ(参考出品)
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Cooke 35-140mm Anamorphic/i zoom。Cookeは映画用のレンズメーカーとして老舗で、すでに単焦点のアナモフィックレンズは25-135mmまで8本のラインナップがあるが、今回アナモフィックズームレンズが登場した
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Angénieux Optimo 44-440 A2S。すでに35-72mm、56-152mmのラインナップがあるが、10倍のズームレンジをもつアナモフィックレンズが発表になった。T4と若干暗めだが、PLマウントのシネ用レンズで10倍のズーム比でしかもアナモフィックは初めてだろう
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