プロ向け動画エリアに変動アリ
デジタル一眼による動画撮影が盛んになった数年前、CP+2013会場では初の試みとして「プロ向け動画エリア」を新設し、DSLRムービーはもちろん、写真レンズの描写力を活かしたムービーカメラや、より演出を高める周辺機器、編集ソフトなどの展示を開始した。会場内にコーナーがあり、当初はBlackmagic DesignやRED Digital Cinemaなどのカメラメーカーがこのエリアで出展しており、メイン会場にブースをかまえるソニーやキヤノンなどは出展していなかった。今年のプロ向け動画エリアは、隣接する会議センターに移ったということもあり、ソニーやキヤノン、パナソニックなどのメーカーも出展していた。
また、DSLR用に設計されたマイクやミキサーなどの収音機材も開発され、オーディオテクニカやティアックといったオーディオメーカーも出展。メイン会場とは異なり、プロ向け動画エリアではデジタル一眼の出品はほとんどなくなってしまい、デジタルシネマ系のカメラがメインとなっていた。
これは、デジタル一眼での動画撮影はもはや常識となり、すでに取り立ててアピールするほどのアドバンテージがなくなってきたということだろうか?プロ向け動画エリアは一般の人向けではないということもあって、会期は平日の23、34日の2日間に短縮されていた。なお、今年の来場者は会期合計66,665人で昨年の67,000人に届かなかったが、これは今年はフラッグシップモデルの新製品が少なかったことや、初日は雨が降っていたことも影響したのかもしれない。最も、昨年は過去最高の来場者数となっており、特別な年だったともいえる。
プロ向け動画エリアで出展されていた主なカメラとしては、ソニーのPXW-FS7やパナソニックVARICAM LT、Blackmagic DesignのURSA mini 4K/4.6K、RED Digital CinemaのSCARLET-WおよびRAVENなどで、デジタルシネマ系がほとんどを占めている。海外ではCine Gear ExpoやCinecといった映画関係者向けのイベント展示会があるが、国内では以前映画テレビ機材展が開催されていたが、現在は開催されていない。今回のプロ向け動画エリアをスタートにして国内でも映画機材関係のイベント展示会の復活に期待したいところだ。
Blackmagic Design
Blackmagic Designは、4K60fpsの撮影に対応したBlackmagic URSA mini 4K/4.6Kのほか、DSLRと組み合わせて使用するモニター付きSDメモリーレコーダーVideo Assistや、撮影した画像ファイルのカラーグレーディング処理に欠かせないDaVinci Resolve、周辺機器として4Kモニターやスイッチャーなどを出展
Blackmagic DesignのURSA mini 4K/4.6Kは、最大60fpsの撮影に対応しており、2つのメモリースロットをそなえたデュアルRAW/ProResレコーダー機能を搭載している。なお、4.6Kまたは4Kのイメージセンサー搭載モデルほのか、EFまたはPLのレンズマウントモデルが用意されている
SDレコーダーVideo Assist 4K。1920×12007のインチの高解像度LCDモニターを搭載しており、1080p60までのHDおよび2160p30までのUHD記録に対応している。記録フォーマットは10-bit 4:2:2 ProResまたはDNxHDで、DNxHDおよびDNxHRもサポートしている
Blackmagic Design DaVinci Resolve。12.5になり、新しいHDRグレーディングツールやノイズリダクションおよびレンズの歪み修正機能の大幅な改善などが行われたほか、新しいResolveFXプラグインなどが使用可能となった
RAID
RAIDは、RED Digital CinemaのRED SCARLET-WおよびRED RAVENを出展。SCARLET-W、RAVENはREDが新たに提案するDMSC2(Digital Stills&Motion Camera2)というカテゴリー商品で、モーション&スチルの両撮影が進化している。RED RAVENカメラシステムで使用可能なDSMC2 REDVOLT Expanderにより、ゲンロックやHDMI出力のほか、USB電源出力や0B LEMO AUX PWRポートと、ピンLEMO 0Bなどのコネクターがサイドや背面に複数搭載されており、モニターやレンズリモートモータードライブ、ワイヤレスなど様々な周辺機器に電源供給が可能
SCARLET-W。REDCODE RAWやApple ProRes、Avid DNxHDフォーマットの同時録画に対応しているほか、Wi-Fi機能を搭載しており、iOSまたはAndroidモバイルデバイスを使用してカメラをリモートコントロールできる
ソニー
4K対応のソニーPXW-FS7。4K Super 35mm単板CMOSセンサーを搭載し、基準ISO感度ISO2000(S-Log3時)、トータルラチチュード14stopの性能を実現。本体での4K/QFHD 59.94/29.97/23.98p収録に対応しているほか、HD XAVC-I収録時では最大180fpsでの連続撮影もできる。別売オプション機器と組み合わせれば2K RAW収録時、最大240fpsでの撮影も行える。レンズマウントはEマウントを採用
モジュール構成を採用したキヤノンEOS C700。4K60p(MXF)内部記録で、Codex社のレコーダーCDX-36150接続時は120p RAW記録まで対応可能。最大15Stopの広ダイナミックレンジのHDRにも対応しており、EFレンズで高精度なオートフォーカスが可能なデュアルピクセルCMOS AFを搭載している
ティアック
ティアックは、写真のTASCAM DR-701Dのほか、ショットガンマイクを搭載したカメラ用オーディオレコーダーDR-10SGや、ベルトや衣装に装着可能な小型ピンマイクレコーダーDR-10Lなどを出品
プロ向け動画エリア 360°全天球動画
RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)