4Kのつぎ、はじまる
小寺信良
現地時間の4月24日からスタートするNAB2017。すでにその2日前から各社のプレスカンファレンスがスタートしている。コデラのNAB参加は、実に3年ぶり。CESとはまた違う独特の雰囲気のNABに若干戸惑うところではあるが、気後れすることなく取材したいところである。
本日はPanasonicとSONYのプレスカンファレンスに出席した。新製品の詳細はまた追ってレポートなどでご紹介するとして、パナソニックはすでにワールドワイドマーケットでは、コンシューマ向け商品の売り上げは20%しかなく、80%はB2B商品なのだという。
映像のプロソリューションとしては、スタジアムの中継システムや巨大ディスプレイ、キオスクのデジタルサイネージといった分野、ディスニーランドをはじめとするテーマパーク向けのプロジェクションマッピングの導入事例などが紹介された。
Panasonicプレスカンファレンスの模様またご存じの方もあると思うが、こちらの時間で26日水曜日、NASAの協力のもと、宇宙ステーションとラスベガスのNAB会場を結んで、4Kのライブ中継が行なわれる予定だ。これに使われるカメラが、PanasonicのAK-UC3000をベースにしたものだという。
ソニープレスカンファレンスの模様一方ソニーのプレスカンファレンスで感じたのは、高解像度としての4Kが当たり前のものになりつつある今、次の狙いはHDRとITU-R BT.2020対応になりそうだ。
だがつい数年前に「次は4Kだ」として機材導入したのに、またHDRだ高色域だとして新しい機材を導入するのは、制作側としても厳しい。そのためにまた新しい機材を投入するわけではなく、現行機種でいかにこれらのソリューションに対応して行くか、というところがメーカーの腕の見せ所になってくる。
ソニーではモニターをはじめ、カメラもファームアップデートによってHDRと高色域対応していこうとする戦略のようだ。またHDRワークフローも、シネマスタイルではなくテレビ放送を見据えた簡易ワークフローの提案など、現実的なソリューションが数多く見受けられた。 詳しくは明日から始まる展示会でご報告したい。お楽しみに。
HDR映像に期待すること
猿田守一
例年に比べ比較的過ごしやすい気候のラスベガスとなった。明日からいよいよNAB SHOW 2017が始まる。 今日は一般の会場前のプレスカンファレンスの日に当たりプレス関係者のみの来場となった。今回はPanasonicとSonyのカンファレンスにお邪魔した。
今年はPanasonicは特に目新しい新製品の発表は無かったのだが、ECOでSMARTな街やエンターテインメントなどを目指したプレゼンテーションが印象的だった。SonyはHDRを前面に打ち出してきている。カンファレンス時の背景スクリーンは最新鋭のNEWクリスタルLEDによるHDR映像が上映され、4Kサイズを横並びにした横長の大画面からは眩しいくらいの高輝度から、締まった黒までの階調豊かな表現が今までのデイスプレイとは一線を画す表現となり、まるで現実の世界を見ているかのような錯覚に陥る映像美を見せてくれたのが印象に残る。Sonyはすでに発売されているFS5やZ150に対してHDR撮影ができるBT2020、ハイブリッドログガンマを新ファームで対応するという発表を行った。実際にHDR映像を見てみるとSDからHDに変わった時のような興奮に近い何かがあるようだ。今後が楽しみである。
今年も駆け抜けるための一日
岡英史
今年で個人的に7回目(年目)の出陣となったNAB SHOW。当初はベテランライター陣に引き連れられ右往左往しながらのスケジュールもそれなりに勝手がわかり、何とか方向性をもって…と言うわけにも行かず、未だにあっちへフラフラ、こっちへフラフラの状態。しかも初日の前日に、乾燥からか若干の風邪の症状が。イマイチ調子も全開ではないが、めちゃめちゃ効く薬を飲んで乗り切るかと…。
今年の取材用機材はすでにFacebookなどで公開してるように、Sony FS5+FUJINON MK18-55にJVC GY-LS300CH+Canon CN-E18-80の2セット。共にやや小ぶりとは言え、CINE系のレンズに属しているもので、それなりの大きさはある。スーツケースに放り込んで緩衝材で保護するのはあまりにも怖いので、今回はマンフロットPL-RL-55をお借りした。
既存のローラーバックからデザインをリファインし、タイヤなどの消耗品を自分で修理できるようになった。もちろん中身もハイトが若干高くなり緩衝材も厚く、今回のような移動には多少乱暴な移動でも安心感がある。実際にこちらのホテルで開梱した時に何も問題はなかった。
本日のプレスカンファレンスは、PanasonicとSonyの2社。今年は、グラスバレーは特になし。会期中にブース内での説明となった。さて今年のこの2大メーカーは特に大きな機材系の発表は今のところなく、ファームアップの案内と事例集の紹介がメインに。
そのファームアップはなかなか面白いものがあり、筆者も使っているスイッチャーMCX500にスライダーバーが使えるようになったのは良い。まだβバージョンなのでアップデート時期は正確には未定だが、楽しみな部分でもある。また、Panasonicは意味深なシルエットの紹介があった。今回は出ていないようだがシネギア辺りではその全容が見えてくるのかも知れない。
スライダーバー付きのMCX500
意味深なPanasonicの大判センサーカメラ
このほかにも、α9の実物展示やマンフロットの新ビデオヘッドなどを一歩先にSonyブースで見ることができた
今年のNABは大きいメーカーよりもむしろ、中小メーカーの方が業務レンジには面白い物が多く出そうな予感がある。これを書いてる時間もすでに深夜2時過ぎ…さっさと寝て明日からの3日間を駆け抜けたいと思う。