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txt:鈴木佑介 構成:編集部
鈴木佑介、AU-EVA1を使ってみた
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筆者がメディアに露出させて頂くきっかけがSonyのカメラを使用している事だったため、Panasonicのカメラを使う、という事を意外に思う方も多いと思うが、筆者は元々Panasonicユーザーであり、Panasonicのカメラが映し出す画が大好きなのだ。
すこし昔のことを言えば、名機と言われる「DVX-100B」を2台、初期のHVX-200(P2カート搭載モデル)を所持していたくらいで、毎日のように撮影に使用していた。実際、一眼動画もSonyのα7S IIを使用する前はPanasonicのGH4を、その前はCanonのEOS 5D Mark IIIを使っていた。何を言いたいかというと、「撮りたいものがあって、その時最適な機材を選んでいる」ということ。
もはや、機材が変わったところで撮れるものが変わることは無いこの時代、馴染んだEFマウントのレンズと大好きだったPanasonicのカメラを捨て、SonyのカメラとEマウントに完全移行してもうじき3年目の筆者が、「C200、URSA Mini Pro、そしてAU-EVA(以下:EVA1)の登場で2017年はEFマウントの再ブランディングの年になる」と自ら定義していたタイミングで、もう一度PanasonicのボディとEFマウントのレンズを触れることで自身が一体何を生み出すのか、生み出せるのか。何を感じる事ができるのか。
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今回はただの使用感レビューでなく、一本の撮りおろし作品を作ることにした。協力いただいた方々、メーカー様に改めて感謝すると共に、彷徨える多くのEFマウントユーザーへカメラ選びのひとつの道しるべとなると幸いだ。
12個の機能紹介でわかるEVA1の良さとは?
(1)外観・ボディ構成とサイズ感
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EVA1はボディ(本体)・トップハンドル・バリアングルのタッチパネル液晶モニター・回転式のサイドグリップと、近年のシネマカメラの定番の組み合わせで構成されていて、ボディとレンズだけ、サイドハンドル無し、トップハンドルだけつける、など使用状況に応じて好みにカスタマイズできる。
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同じようなタイプのカメラであるSony FS5より優れている点として、EVA1は液晶に折りたたみ式のフードが付属されている事と、ボディ本体に内蔵マイクが搭載されているのが良い。端子類はXLR端子が2つ、HDMIとSDI端子がある。RECボタンは本体側面とサイドグリップのみ。珍しくトップハンドルにRECボタンが無い。収録メディアはSDカードでリレー記録、同時記録が可能。センサーは5.7Kの解像度を持つSuper35mmセンサー。
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4K30pであれば10bit 4:2:2 LongGOP 150MbpsのMOV収録が可能(4K60p内部収録は8bit 4:2:0/HDMI出力は10bit 4:2:2)。来年の春予定のアップデートで400MbpsのIntraでの内部収録が可能になるという。同じくアップデート対応となるが外部出力での10bit RAW収録(最大5760×3072/29.97p)にも対応するとのこと。
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EVA1にはファインダーが無く、付属の液晶モニターか外部モニターを使用する事になる。ボディ自体は0.8kg、トータル1.2kgとかなりの軽量で、全てのパーツを付けても十分軽いのだが、使用するレンズによって、かなりの前重心になる事は否めない。特に重いレンズが多いEFマウントを採用した事もあり、手持ち撮影など、使用する用途によってはバランスを工夫しないと手首に負担がかかる。
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同じく4K60pが収録できる愛機のSony FS7とサイズ感を比較してみた。EVA1の方が一回り小さい。サイズ感でいうとFS5と同じくらいのサイズ感である
※画像をクリックすると拡大します
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持った印象はとにかく軽い
軽量・コンパクトのEVA1はバラしてEFマウントのSIGMA Art Lens5本と一緒にカメラバッグはおろか、中型のカメラリュックにも収納可能だ。
(2)片手ジンバルにも搭載可能
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3.2kgまでのカメラに対応し、FS5やC200も搭載可能な片手ジンバル「Nebula 5100 SLANT」がちょうど手元にあったのでEVA1を搭載してみた。ボディに直接モニターを付け、EF16-35mm F2.8を付けてジンバルに設置してみた。バランスは取れたものの、前後に長く、バランスが悪いためギリギリ動くには動くがボディの軽さに対して、どうしてもレンズが重いので、3.2kg以内の重量にもかかわらず、使用していて、制御しきれなくなった。実戦で使用するならばもっと軽いレンズを使った方がいいだろう。この辺りにEFマウントを採用したディスアドバンテージがある。ボディが軽量な分、残念な点だ。
(3)サイドスイッチとUI
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操作系はボディ側面に集まっている
UIは一言、使いやすい。ユーザーが「ここにあるんだろうな」「これってあの機能だろうな」というものがちょうどよく配置されている。EVA1のスイッチ類はボディの側面に集約されていて、ここでほとんどの機能を操作する。合計9つのUSERスイッチとマルチダイアルは任意の設定が可能。
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グリップの内側にUSER9がある
USERスイッチの初期設定(変更可能)
- USER1:ONE PUSH AF
- USER2:PEAK/SQUEARES F.A(ピーキング)USER3:SPOT METER
- USER4:E.I.S(電子式手ブレ補正)USER5:WFM(ウェーブフォーム表示)
- USER6:AWB(オートホワイトバランス設定)USER7:SLOT SEL(SDカードスロットセレクト)
- USER8:EXPAND(拡大フォーカス)
- USER9:OPEN IRIS F.A マルチダイアル:MONITOR VOL
初期設定でもある程度使いやすいが、正直あまり使用しない機能もあるので、好みで変更するのが良いだろう。SonyのFS5と同様、サイドグリップを握った際の薬指のあたりにUSERボタンがあるのが個人的には好感触。後述するが、筆者はここに「D.ZOOM(デジタルズーム)」を設定した。さらに好感を持ったのが、ボタン類やメニュー画面でのレスポンスが良い、ストレスを感じず、割と直感的に操作が可能だ。内蔵NDフィルターは3段階。+と-のボタンを押すことでメカニカルに動く。面白い機能として「IRシューティング機能」があり、USERスイッチに割り当てることで赤外線撮影が可能だ。
(4)まずは「FREQUENCY設定」から
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選べる「センサーモード」
■S35 5.7K
イメージセンサーの全画素を使用する■S35 MIX 2.8K
イメージセンサーの全画素から2.8Kの画素混合読み出しを行う120pまでのHS撮影が可能(10bit 4:2:2)■4/3 CROP & MIX 2.2K
イメージセンサーの中心部からフォーサーズのイメージサークルを切り出し、2.2Kの画素混合読み出しを行う240PのHS撮影が可能 (1.4倍程度の画角変動がある)※120pを超えるフレームレートは8bit 4:2:0となる
EVA1の特徴としてまずは「FREQUENCY(システム周波数)」から設定する。要するに基準となるフレームレートを選んだ上で他の項目を設定する。例えば60pで撮影したい場合はここで60p(59.94p)を選択する必要がある。設定を変更するたびにカメラが再起動するのが少し難点。その上で使用するセンサーモードや収録サイズ、コーデック、を選ぶ。さらにHS撮影をする際、フレームレートは別の項目で設定しないといけないのが、正直使いづらい印象。これは慣れなのだと思うが、撮影中に4K60pや30pへの切り替え、HD120pへの切り替えをする際に必ずこの設定を行わないといけないことが若干のストレスになった。事前に設定したものを前述のUSERスイッチにアサイン出来たら、利便性は高まると思う。基本的なインターフェースが良いので、この辺りの改善を期待したい。
コーデックを選ぶ際に嬉しいのは「422LongGOP」など、自分が現在選択しているコーデックのカラーサンプリングレートがきちんと表示される点だ。ソニーなどはカラーサンプリングレートが表示されないので、正直な話、カタログやサイトなどで細かく調べないといけない事を考えると、これはわかりやすく、ユーザーライクと言える。早い段階でGH5のSDカードに4k60pや10bit 4:2:2を搭載したPanasonicの自信とも取れる。
(5)選べるガンマ設定
EVA1は選べるガンマが大きく5種類。最大14ストップのV-Logを選択するか、EVA1独自の「V-25570L1」「V-504580L1」という2つのガンマ、普通のビデオガンマ、HLG(ハイブリッドログガンマ)を選ぶことになる。一通り撮り比べてみるとパっと見た感じ、Logを嫌って手っ取り早く広めのダイナミックレンジを得るならば「V-504580L1」が良さそうだ。ただ、今回の作例制作は筆者にとって初めてのV-Logということもあり、10bitで撮れるLogならば大きな問題は無いので、敢えてV-Logで撮ってみることにした。V-Log素材をコントラストと彩度を簡単に調整した感じ、バンディングもなく、さすが10bitという印象だ。
■V-25570L1
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■V-504580L1
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※画像をクリックすると拡大します
■ビデオガンマ
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※画像をクリックすると拡大します
■HLG(ハイブリッドログガンマ)
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※画像をクリックすると拡大します
■V-Log
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※画像をクリックすると拡大します
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4K 24p V-Log収録(10bit 4:2:2)※画像をクリックすると拡大します
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ノーマライズ※画像をクリックすると拡大します
ちなみにガンマの変更はV-Logの設定を外した上でメニューの「SCENE SETTING」から「GANMA」を選んで他の4つのうちから選ぶ。1作品の撮影の中でガンマを変更することは少ないかもしれないが、このあたりも一手間が多いので、改善してもらいたい。また、EVA1はSDIやHDMI、LCDなどへのガンマの出力を選ぶことができる。この辺りはさすがだ。ホームボタンで現在の設定などを確認することができるあたりも素晴らしい。
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ガンマの変更がちょっと一手間
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各出力先へのガンマを選べる
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見やすいホームボタンでの設定確認
(6)画質劣化しないデジタルズーム
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デジタルズーム OFF(ガンマはV-504580L1)
※画像をクリックすると拡大します
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※画像をクリックすると拡大します
5.7Kの大きなセンサーを持つEVA1は画質劣化しないデジタルズームが使用可能。ただしデフォルトではメニューから選ぶことになるので事前にUSERスイッチに設定しておくといい。拡大率は1.4倍(固定)。細かいことだが、1.1~1.4倍の間も設定できてもいいのにな、というのが正直な感想だが、そのままでも案外使いやすかった。ただ、REC中はデジタルズームのON/OFFが出来ないので、撮影する前に使用するか決める必要がある。これはアップデートで対応して欲しい点かもしれない。なんにせよ、三脚でアングルをがっちり決めたものの「ちょっと寄りたい!」という時に便利な機能だ。実際、撮り比べてみたが、画質に劣化は感じられない。5.7Kセンサーの恩恵である。
(7)シネマカメラ史上初のE.I.S(電子式ボディ内手ブレ補正)
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EVA1で一番筆者が好きな機能が「E.I.S」電子式ボディ内手ブレ補正だ。筆者は手持ち撮影が基本的に大好きだ。一番自分が本質的に被写体と向かい合って撮影ができる手段だと思っている。そんな側面からも手ブレ補正があるEVA1は最高の一言に尽きる。まさかPanasonicが先に載せてきたか、と。画角こそ1.2倍となるが、かなりブレを押さえ込んでくれて擬似ドーリーなども問題無くできた。
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安定して手持ち撮影が行えた
ただ、あくまで手ブレ補正の無いレンズに対応しているようで、レンズ側の手ブレ補正がONになっていると使用できないので注意だ。ただ、手ブレ補正がなくても、EFマウントのレンズをつけたEVA1はそこそこ重くなるので、案外持ち方と焦点距離次第では手ブレ補正が無くても、あまりブレずに撮影できるかもしれない。なんにせよ、この機能は全シネマカメラに搭載して欲しい能だ。
(8)高感度性能(デュアルネイティブISO)
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EVA1というかVARICAMの特徴として「デュアルネイティブISO」が挙げられる。状況に合わせてベース感度をISO800かISO2500に設定することで、ノイズを減らし最適な結果を得ようというもの。単純に高感度が必要な場所では同じISO2000前後だとしてもISO800ベースのISO2000よりも ISO2500ベースのISO2500の方がノイズが少なくなる、ということだ。実際かなり暗い状況で撮ってみて改めて実感した。
レビュー動画では触れていないが、実感としてISO3200~4000くらいまでが使える限界な気がするが明るいSIGMAのArtレンズとの組み合わせであれば、ノーライトでももうすこし暗い場所でも大丈夫かもしれない。今回使用したレンズはF1.8などかなり明るい分、解放側では、フォーカシングがシビアになるが、Super35mmセンサーなら、ピーキング機能と組み合わせて、どうにかフォーカスハンドリング可能だ。忘れてほしくないのは撮影はライティングありき、だという事。どんなカメラでも、光がない場所で「美しさ」を求めるのはナンセンスだ。
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ISO800ベースでのISO2000※画像をクリックすると拡大します
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ISO800ベースでのISO2000※画像をクリックすると拡大します
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ISO2500ベースでのISO2500※画像をクリックすると拡大します
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ISO2500ベースでのISO2500※画像をクリックすると拡大します
(9)使いやすいピーキング機能と屋外では視認性が残念なLCD
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EVA1のピーキング機能は、一風変わっている。緑の正方形が表示され、ピンが合っている場所の正方形が大きく表示されるのだ。従来の被写体に色が付く方式より、直感的にわかる。ただ、非常に残念ながらEVA1の付属のLCDモニターはフードがあっても野外ではほとんど見えない。せっかくのピーキング機能もデフォルトのLCDモニターでは室内か曇天の野外以外では目視できないのが非常に残念だ。ビューファーを搭載しないEVA1を使うにはサードパーティ製のモニターやEVFを使用するのが間違いないもしれない。今回のテストロケではNINJA BLADEを使用して、モニタリングを行なった(収録はあくまでEVA1内蔵SDカード収録)。
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ちなみにピーキングとWFMは同時に表示できない
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特に晴天下ではフードがあってもまったく見えない、と言っても過言ではない
(10)ワンプッシュ・オートフォーカス
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EVA1には「ワンプッシュAF」という、ボタンを押すとフォーカスを自動で合わせてくれる機能が搭載されているが、速度的にも正直使えるとはいい難い。筆者は元々マニュアルフォーカス派だが、近年のAF性能の発展を実感していたため、すこし淡い期待をしていたがEVA1に関しては拡大フォーカスとピーキングを使用して、素直にマニュアルフォーカスで合わせるカメラだと思った方がいい。
今回の撮影は全てマニュアルフォーカスで行なった。AF関連に関してはC200に軍配が上がるだろう。EFレンズで、前が重くなるなら、いっそシネレンズを使った方が良い印象。
(11)バッテリー
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今回3本のバッテリーと2連のチャージャーをお借りした。バッテリーの持ち時間は1本で3時間くらいは持つ印象だ。充電も1本3時間程度。デモ撮影を2日間に渡って行なったが、トータル2本のバッテリー使用で済んだ。バッテリーの残量が表示できるのも、嬉しい機能。
(12)SDカード
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今回は150Mbpsでの内部収録を行うので高速の読み出し/書き出しが可能な300MbpsのサンディスクのSDカードを使用。128GBで約2時間の撮影が可能。また、専用のリーダーでPCヘの高速転送が可能約50GBの収録データをわずか3分でMacBook Proに転送できた事も付け加えておこう。
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実際の機能レビュー動画と作例動
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テスト撮影は2日にまたがって行なった。初日には機能のチェックと使用感、操作方法の確認を。2日目には実際EVA1を使用しての作品作りを行う、というものだ。まずは初日にテスト撮影した素材をレビュー動画としてまとめてみた。
レビュー動画の内容はこちら
- ガンマ比較(適正露出にて)
- ガンマ比較(露出を変えずにガンマを変える)
- ノーマライズ比較
- デジタルズーム比較(1.4倍ズーム)
- S35 5.7Kセンサー モード 30p
- E.I.S (デジタル手ブレ補正)
- S35 2.8K MIX モード 120p
- 4/3 Crop & MIX 2.2Kモード 240p
- 高感度性能(ネイティブISO 比較)
■Hayato Yoshida “Just Move Forward”
作例作りは、朝の海で2時間一本勝負。EVA1と5本のSIGMA Artレンズでダンサーのイメージ映像を制作した。ぜひ4Kで視聴してほしい。
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編集とグレーディングはDaVinci Resolve 14にて<※画像をクリックすると拡大します
実際に使用してみて
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筆者が新しいカメラを試すとき、必ず決めていることがある。それは「カメラを手持ちで逆光条件で撮影する」事だ。
カメラが変わっても撮るものは変わらない、そんな自負があるからこそ、いつも同じ条件で、好きなものを撮る。人を撮る事を専門としている筆者は今回、昔からの付き合いのあるダンサーの吉田隼人氏をモデルに、イメージ映像を制作する事にした。撮影当日は、あいにくの曇り気味の天気だったため、完全な逆光撮影こそ難しかったが、陽が昇って、時間が経過して光が変わっていくなかで、14stopの広いダイナミックレンジを試すには最適な条件で撮れた気がする。
今回の撮影は
- 三脚と手持ちだけで撮る
- ノーライティング
- SDカード内部収録
- 10bit 4:2:2のV-Logで撮る
- 4K素材にHDのハイスピード撮影素材を混ぜる
という条件を課した。LCDモニターが野外だと見にくかったため、外部モニターこそ必要なものの、概ねの条件を問題なくクリアしてくれた。
作品作りを通しての印象として、5.7Kの全画素読み出しによる4K映像は美しい、ということが第一に挙げられる。また、10bit 4:2:2の内部収録を前提としていたので8bit 4:2:0になってしまう4K60pは避けて、HDでの120pでのハイスピード撮影を行ない、4Kベースのシーケンスで混在編集を行なったが、4K素材に負けず美しい仕上がりだったと思う。カラーグレーディングに関しても、さすが10bit。8bitでは破綻してしまう箇所をよく知っている分、改めて10bitで収録できる強みを感じた。高ビットレートで収録可能になり、外部RAW収録ができるアップデートが今から楽しみだ。
本作で使用したシグマのArtレンズの描写の素晴らしさも伝えておきたい。「画はレンズで変わる」これを地でいくのがシグマのArtレンズだ。今回は軽量のEVA1を考えて、シネレンズではなく、少しでも軽い敢えてスチルレンズをお借りしたが、描写は変わらず、美しい。ただマニュアルフォーカスで使用する事を考えるとやはり、シネレンズのフォーカス操作に勝るものは無いと感じた。特にシグマのシネレンズは6K、8Kにも対応して作られている。先を見たらシネレンズの導入がいいだろう。
どちらにせよ、CanonのEOS C200、ブラックマジックデザインのURSA Mini Pro、Panasonic AU-EVA1と、100万円以下のEFマウントのシネマカメラが出揃い、どれにするか悩んでいるEFマウントユーザーに送るメッセージとしては、「“仕事”は一番しやすいカメラ」だと言えるかもしれない。収録データの種類、扱い、拡張性、全体的なバランスが良いと思う。
筆者個人の意見だが、100万円以下のシネマカメラで「仕事をする」ならFS7かEVA1、「作品づくり」をするならURSA Mini、その中間がC200(AFが優秀だが、収録形式がmp4かCinema RAW Lightという中間コーデックが無い部分で)という位置付けになる印象だ。
その中でも収録メディアがSDカード、という点でEVA1は一番ユーザーが手を出しやすく、4Kが撮れ、カラーグレーディング耐性のある素材を収録できるシネマカメラ入門機としては最適かもしれない正直、筆者はEVA1の映し出すは画は好きだ。
使っていてしみじみ感じた事を最後に記したいと思うのだが、EVA1のM4/3マウントやマウントアダプターで出さないの?と節々で思う。Super35mmセンサーで4/3のクロップモードもあるわけだしせっかくの軽量ボディを活かすなら、M4/3マウントがあっても良い気がする。もちろんEFマウントでも良いとは思うのだが、M4/3のレンズ資産を持ち、10bitのV-Logを使い慣れたGH5のユーザーがシネマカメラへ移行を考えた際の最適なカメラがEVA1の気がするのだ。
アップデートを含め、EVA1含め、Panasonicの動向から目が離せないのは間違いない。そしてここまでのスペックを持ってきたEVA1に対し、いま沈黙を保っているソニーのFS7やFS5の後継機への期待も逆に高まる。
txt:鈴木佑介 構成:編集部
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