Grass Valleyプレスカンファレンス動画

360°全天球動画

RICOH THETA Vで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)

これまでのEDIUSのレスポンスと変わらないクラウド対応のEDIUSを展示

一番目を引いたのは、アマゾンウェブサービス(AWS)で動作するEDIUSのクラウドバージョンだ。ブースに展示されていたクライアントはMacBook Proの2015年版で、一見macOSでEDIUSが動作しているように見えるが、実際にはリモートデスクトップで動作している。実際に触ってみると、クラウドにもかかわらずディレイがなく、手元のPCにEDIUSをインストールした状態で使っているのと変わらないといった感じだ。リモートデスクトップで動作をするので、Androidでも操作は可能。しかも、ネットの帯域は、1Mもあれば動かすことができるという。

Mac版がリリースされていないEDIUSのMacBook Proでの動作を実現

MacBook ProのOSはもちろんmacOSだ

従来のクラウドのEDIUSは「やっぱりちょっと遅いね」とか「サクサクうごかないね」と評価されることがあったが、それから丸一年半かけてチューニングを続けて、ようやくベーターサイトのユーザーからも「これなら使える」と言われるものが完成したという。

また、これまでのバージョンはアマゾンのストレージゲートウェイというクラウドのストレージとEDIUSの間で中間の受け渡しをするためのサーバーを置いていたが、NABで展示をしたEDIUS9.2からS3を直接見るためのブラウザをサポート。大きなファイルでも入れることができて、即編集を実現するように改善されている。

実際に、その場でiPhoneのカメラでその場の様子を撮影した映像をアップロードして、クラウド版のEDIUSで編集できるまでのレスポンスを実演していただいた。

iPhoneのカメラで5秒ぐらいのカットを撮影。iPhoneでS3サーバにアップロード。昼間の時間帯は通話している人が多いのでアップロードに時間がかかるが、取材時は夕方だったために順調なスピードでアップロードができた

アップロードが完了したら、クラウドのEDIUSで開く。ソースブラウザを開くとS3サーバの中身を確認することができる。iPhoneの映像をクラウドのEDIUSで開くことができた

このデモで感じたことは、何か起きたときにすぐに撮ってアップロードをすれば瞬時に開けて編集ができる形になるということだ。例えば、事故現場で撮ってすぐにアップロードをすれば、これまで以上に短時間で編集から放送までを実現できそうだ。

クラウド版の料金は、EDIUSのクライアントのライセンス料金とクラウド上に置くためのライセンス料が一端末で月額20万円程度で、それ以外にS3サーバの容量が必要になる。

例えば、地方局の高校野球の収録業務は大量の機材を持ち込んで関西で行われてるが、今後は撮影した素材をクラウドに上げることにより、地方局の地元で編集をしてそのまま放送できるようになる。このようになれば、機材費だけではなくて人件費や交通費を考えてもトータルの費用は抑えられる。また、オリンピックなどでも一ヶ月間限定でEDIUSを借りたいといった使い方も考えられるとのことだ。

EDIUSとRioが義兄弟へ

今年2月にBeldenがSAMを買収してGrass Valleyと統合することになったが、NABの会場でその続報を聞くことができた。価格は3,000万円から、8K120p対応で1億6,000万円までの放送・映像制作向け|4K/8Kハイエンド編集システム「Rio」がグラスバレーに統合されてどのようになるのかが注目となっていた。

ブースでは、EDIUSとRioが並べて展示されていた

まず、Rioの開発はやめることはないとのことだ。RioはEDIUSと義兄弟になるという。プロジェクトファイルを完全に共通化し、EDIUSで編集をしたものは即Rioでフィニッシングできるようになる。例えば、EDIUSはオフラインで使って、最後のフィニッシングや最後のひと味をRioで付けて完パケというワークフローが今後増えていくかもしれない。

Rioの開発は引き続き継続し、次期バージョンの4.5を5月に出荷予定。SAMにはGo!と呼ばれるブラウザベースの編集機もあり、これからはGo!、EDIUS、Rioと3つのラインナンプが揃う。松、竹、梅のような関係で、すべて上位互換性を実現するファミリーが年内に完成する。

フルIP接続の「GV K-Frame X」を展示

フルIPのスイッチャーのエンジン「GV K-Frame X」も注目を集めていた。世界初のフルIPで4Kのプロセッシングができるビデオ制作エンジンで、4Kで192インプット、96アウトのプロダクションスイッチャーを実現できる。カメラからスイッチャー含めてすべてIPのプロセッサーでシステムが組めるようになる。