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AJA、IBC2018で8つの新製品と現行製品のアップデートを発表

AJAは、IBC2018にて8つの新製品と現行製品のアップデートの発表を行なった。今回はIBC開催時にAJA社APACジェネラルマネージャー Robert Stacy氏直々に見所やポイントを解説してもらった。

――今回のIBCのAJAブースの見所やポイントを教えていただきますか?

AJA社APACジェネラルマネージャー Robert Stacy氏

Robert Stacy氏:AJAからは今年も、IP、12G、HDRなど、最新のソリューションに対応した新製品とアップデートが発表されました。IBC2018では、「HDR Image Analyzer」、「FS-HDRファームウェアv2.6」、「HELOファームウェアv3.0」「KONA 5」「Desktop Software v15.0」、「Ki Pro Ultra Plusファームウェアv4.0」、IPミニコンバーター「IPR-10G2-HDMI」「IPR-10G2-SDI」の8項目がリリースされました。その中でも特に注目していただきたい製品についてご紹介します。

今回のIBCでは、KONA 5という新しいキャンプチャーカードを発表しました。12G接続を4系統備え、4Kのキャプチャーとプレイアウト、HDRのワークフローにも1本のケーブルで対応できます。また、AJAのI/O製品で使えるDesktop Software v15も同時リリースされています。

今回のリリースでControl Roomは、I/Oデバイスを通さずに、独立したビデオ再生ソフトウェアとしても使えるようになりました。ProResやDNxHDなどのプロコーデックに対応しているため、映像製作のどのような環境でも重宝されるでしょう。

今回注目の新製品は、HDR Image Analyzerです。Colorfront社によって開発されたソフトウェアで動作し、クオリティコントロール(QC)やマスタリング向けに、HDRコンテンツをベースバンドのビデオ信号でリアルタイムに解析します。

ログ機能が備わっているため、例えばHLGなどのHDR規格で解析した際に、基準値を超える部分があれば、そのフレームにタイムスタンプが挿入され、ログが残ります。波形を見ながら目視で確認するのではなく、異常値の記録を参考にすれば早いアナライズが可能になります。また、Colorfrontの特性で主要なLogカーブを実装しています。例えばARRIのカメラで撮影すれば、Log Cに対応しているので正確なアナライズが可能になります。

また現行の製品では、FS-HDRの新しいファームウェアv2.6がリリースされました。今回のアップデートにより、S-Log 3/BT.2020とARRI LogCの出力に対応し、さらにBBC v1.2 HLG LUTへの対応が追加されています。また、WOWOW社のWonderLookProと連動できるようになり、リアルタイムで動的な調整が可能になりました。ギャング(一斉操作)機能も追加され、4台のFS-HDRを一斉に操作することができます。これにより、8Kの変換処理にも対応しました。

Ki Pro Ultra Plusも新たにバージョン4.0が出ました。Ki Pro Ultra Plusは、4つ同時にファイルを収録可能ですが、ファイルネームを個別にカスタマイズできるようになりました。また、日本のユーザーから要望を受けていた出力画面上のタイムコード(TC)表示位置を変更する機能も加わりました。これまで固定の位置(画面下部のセンター)にしか出せなかったタイムコードのスーパー出力を、6箇所の中から選択可能になりました。

さらに、キャプチャー中にいつでも2番目のスロット(Pak Media)に収録先を変更できる、強制ロールオーバー機能も追加されています。例えば、2時間番組で1時間終わったタイミングで、収録先を変更することができます。

さらに、アナログオーディオチャンネルのマッピングが可能になりました。UI側で入力に対して選択するだけで、再ケーブリング(配線)する必要がなく、素早くチャンネルペアをマッピングできます。

次にHELOは、バージョン3.0になり、Facebook向けのRTMPEやAppleデバイス向けのHLSストリーミングにも対応しました。加えて、Web UIが日本語、韓国語、中国語に対応したので、日本ユーザーにとってさらに使いやすい製品となっています。

――2020年に日本はオリンピックを迎えます。これからの日本に向けてのマイルストーンなどお教え願えますか?

日本は2020年に向けて8K需要が急速に増加すると思います。AJAはすでに、この需要に寄り添ったソリューションを提案し続けています。例えばFS-HDRは、一斉操作に対応したことで8K HDR対応という強力なソリューションを実現できますし、OEM向けカードのCorvid 88や、今回リリースしたKONA 5を開発に組み込むことで、8Kソリューションを構築することも可能です。すでに多くの企業やメーカーが、AJA製品でのOEM開発により、8Kソリューションを実現しています。今後も業界を先進していくAJAの最新製品とアップデートにご期待ください。

Grass Valley

4K撮影の普及に伴い、現在世界中で使われるようになりつつあるEDIUSがIBCのタイミングに合わせて新たなVerをリリースした。新バージョンは9.3となり、今回のIBCでお目見えしたCanon XF705の新たなコーデックXF-HEVCに対応する。その他にも、スローモーションを滑らかにするためのハイクオリティースローモーションアドバンスドマッチングモードが追加された。

また、今回SAM社が開発したグレーディングソフトのRIOが、BELDEN社に統合された事でGrass Valleyから販売されることになった。今後はEDIUSとRIOを併売するが、それぞれのソフトの持ち味の良いところをお互いに取り入れられるように変わっていく可能性がある。今回EDIUSのクラウドモデルも展示されており、強力なクラウドサーバーによる処理により、ネット上でありながら今までのデスクトップ以上のパフォーマンスを引き出すことが可能となった。

■Grass Valley動画レポート

SENNHEISER

SENHNEISERブースでは新型のアナログワイヤレスシステムの展示が行われていた。G3シリーズの後継機種となっている。なぜアナログなの?という感じではあるが、日本と異なる電波事情があるようだ。ヨーロッパではバンド幅が広いようでこのモデルは88MHzという帯域に32ch運用できる仕様になっている。ただし、実際に32ch同時使用ができるのかは不明。日本仕様のモデルも8月から販売され始めたようだ。また、このコーナーの横にはENGカメラへスロットインするタイプのレシーバーのモックが展示されていた。残念ながらこのレシーバーの資料は一切なかったのが残念だ。

HITACHI

IBCの会場でふと目に止まったのがHITACHIの文字。日本で行われるInterBEEではお目にかかる事が無い。かつてはTOSHIBA、NEC、HITACHIなどの放送用システムカメラが局のスタジオや中継現場で使われている事が多かったが、今現在の日本ではお目にかかる事が無くなってしまった。しかし、ヨーロッパではまだまだ使われているようで、日本人として何か安堵感が込み上げてきた。

今回出展していたのは既に発売されている機種だそうで、4K HDR対応とHD HDR対応のカメラでHDカメラではカメラアダプターの仕様がファーバータイプと3Gトライアックスタイプの組み合わせとなっている。またこれらのカメラをコントロールするCCUユニット群の展示も行われていた。

ZOOM

ZOOMからはH3VRがIBCに合わせて発表され、今回展示されていた。4ch収録できるVRコンテンツ向けの立体音場収録機だ。収録モードはVR用アンビソニックオーディオバイノーラル3Dステレオ標準ステレオ5.1chサラウンドのモードがある。

本体には音声記録部以外に6軸モーションセンサーが搭載されておりH3-VRを縦、逆さま、横向きとカメラに対する設置状態を校正すれば正しい音場をカメラの収録にシンクした形で記録できる。アンビソニックB形式に対応したファイルをエクスポートすることが出来るのでVRヘッドセットに対応した立体音像を収録することが出来る。本体サイズは写真ではわかりにくいが高さはおよそ10cm程度と小型なイメージであった。

txt:猿田守一・編集部 構成:編集部


Vol.05 [IBC2018] Vol.01