txt:飯田雄平 構成:編集部

独創的かつ革新的な製品を生み出しているFILMPOWER

今回比較したジンバルの中でも、かなり個性的な特徴をもつ機種が、このFILMPOWER Nebulaシリーズだ。FILMPOWERは、アメリカ・サンフランシスコにある2010年創業の新興メーカーで、カメラ周辺機器を販売している。2013年にNebula 5000ジンバルを初めて発表。その後、一眼向けジンバルとしてNebula 4000シリーズと、一回り大きいNebula 5000シリーズを展開している。

DJI
RONIN-S
ZHIYUN
CRANE 2
FEIYU TECH
a2000
FILMPOWER
Nebula 4100
Slant
FILMPOWER
Nebula 4500
5-Axis Slant
最大積載量 3.6kg 最小500g
最大3.2kg
最小250g
最大2.5kg
最大1.8kg 最大4kg
バッテリー
駆動時間
12時間 最小12時間
最大18時間
12時間 最大10時間 最大8時間
重量 約1.5kg(ジンバルのみ)、約1.85kg(ジンバルとグリップを含む) 1.25kg 約1.1kg(ジンバルのみ) 716g(ジンバルのみ)、約810g(ジンバルとグリップを含む) 1.2kg
軸数 3軸 3軸 3軸 3軸 5軸
価格 税込92,800円 税込84,000円 税抜99,500円
税込107,460円
税込89,100円 税込98,820円
国内問い合わせ先 DJI JAPAN VANLINKS Grow

小型軽量、ミラーレス機に最適なNebula 4100 Slant

Nebula 4100 Slantは、本体・パッケージングともに圧倒的にコンパクトだ。ペイロードは1.8kg、重量は約700g。今回評価した中でもっとも小型のジンバルである。

Nebula 4100の内容物一覧。本体、クイックシュー、バッテリー、小型三脚、チャージャーがコンパクトに収まっていた

一番奥がNebula 4100のケース。DJI Osmoと同じくらいだろうか。非常にコンパクトだ

■APS-CやMFT機などのコンパクトミラーレス向き

ペイロード1.8kgとあるが、安定したカメラワークのためにも乗せるカメラの重量には余裕を持つのが良いだろう。重量に余裕を持つことで、バランス調整も楽になる。コンパクトな代わりにモーターのパワーはそこそこであるため、セッティング時にしっかりとバランスを取ってあげることが重要になる。

ペイロード1.8kg 重量700gのため、a6500やGH5といったコンパクトミラーレス系との相性が良い

FUJIFILM X-T1を載せて使ってみた。非常に取り回しが良く、街中でも気軽に撮影できる。また、Nebula 4100 Slantは、名前にもSlantとあるように、軸受け部分が斜めになっているところがポイントだ。これによって、非常にモニターが見やすい。カメラとの干渉もしにくくなり非常に使いやすい。

■ロックレバーやスイッチ類などは、全体的な作りに癖があり慣れが必要

スイッチやロックレバーなどの機構は大雑把に作られており、使い始めはバランス調整にも少し手間取った。軸受けは左側にあるときのみ正常に作動する。ロックレバーはしっかりと締めないと落ちやすいので注意だ。

操作部の様子。モード選択ボタンを押す回数によって、正面モード→フォローモード(ロール固定)→ロックモード→ロールフォローモードと切り替えができる

5軸のデュアルハンドルを搭載したNebula 4500 5-Axis Slant

■本特集唯一の5軸補正ジンバル

続いて紹介するのがNebula 4500 5-Axis Slantである。Nebula 4100や、今回比較した機種との大きな違いは、5軸補正という点である。Nebula 4500 5-Axis Slant以外はすべて3軸の補正だ。

5軸補正は両手持ち専用となり、ロール・ピッチ・ヨーに加え、ハンドルと本体との間のバネで縦横の動きを吸収し補正する。このバネの効果は、スライダーのようなゆっくりしたワーク時に非常に有効である。逆に走り回ったり歩きながらの動作は、バネの動きで弾みやすくなってしまうためあまり向いていない。忍者歩きの如く、上下動をなくすよう意識して歩く必要がある。

軸受が45度の角度になっている「Slant」タイプだ。ペイロードは4kgと、かなり安定したスタビライズが得られる。

バッテリーは大きい。最大駆動時間8時間。

簡易的なものになるが、3軸タイプに変更できる片手持ち可能なハンドルも付属する。

■個性的なラインナップは使いこなせば武器になる

このFILMPOWER Nebulaシリーズは、ずば抜けてコンパクトな4100 Slantや、5軸でしっかりと補正する4500 5-Axis Slantなど、他のメーカーには持っていない特徴がある。設定に慣れが必要であったり、5軸ならではのオペレーションが必要であったりと、万人受けするわけではないが、マスターすれば強力な武器となるだろう。


txt:飯田雄平 構成:編集部


Vol.04 [10万円以下のジンバル選び] Vol.06