外は強風、中は熱風な会場から
NAB会期中強風が吹くことはあるものの2日続くのはめったにない。POPが飛ばされたり歩道にあるチラシスタンドが転倒するなど例年に無いほどだ。ただ、その分体感的にはそれほど暑さを感じないのは有り難いことではある。
さて、3日目ともなると初日のような殺気立った混雑はなくなり、比較的ゆっくりブースを見て回わる事ができるようになる。会期は明日までだが最終日は2時までなので、気の早いブースは最終日の午前中には撤収作業を始めてしまうところも多い。実質今日が最後なのである。
さて、HDから4Kへは結構長い道のりを必要としたが、それは単に解像度だけアップしたということだけではなく色域やダイナミックレンジが変わったことやそれに連れて伝送系も従来のように同軸ケーブルだけでは伝送するべき情報量をさばききれなくなり、IP化されてきた。変更される項目が多くなり、規格化するべきことも多く時間が必要になった。
そうした流れの中でレンズもHDから4K、8K対応へと新製品が出てきたが放送系で使われるレンズは一通り出揃った感がある。一方でデジタルシネマ系のレンズはフィルムからデジタルへの移行時からラインナップがデジタル対応になり、カメラの機種が増えたこともあり老舗はもちろんだが、新規参入もあり現在では選択に迷うほど豊富になってきている。今日はこうしたレンズを中心に取り上げてみよう。
放送用のレンズはAngenieuxなどが扱っていた時代もあるが、現在ではキヤノンとフジノンの2社だけと言っていいほどで、ラインナップを考えると他のメーカーの追従は今後もありえないといっていいだろう。オリンピックを控え高倍率ズームなどを新規投入しているが、シネ用のレンズもラインナップを順調に増やしている。
富士フイルムブースでは4K用に設計されたレンズとHDレンズの描写の比較ができるコーナーが設けられていた
富士フイルムはラージフォーマットセンサーに対応するシネマカメラ用ズームレンズとしてPremista28-100mmT2.9とPrermista80-250mmT2.9-3.5を発表。46.3mmのイメージサークルをカバーするもので、ARRI ALEXA 65には対応できないがREDなどのカメラが対象になる
Premista28-100mmT2.9はカメラに装着して試用できるようになっていたが、Prermista80-250mmT2.9-3.5は現在開発中で、国内公開はIntreBEEになりそうだ
キヤノンはPLマウントを採用したデジタルシネマカメラ用単焦点レンズシリーズSumire Primeを新たに展開。2019年6月上旬より順次発売予定
ZEISS Supreme Primeは新たに21mmと135mmが加わり15/18/21/25/29/35/50/65/85/100/135/150/200mmの13本がラインナップとなった
今回ZEISS Supreme Primeのラインナップに加わった21mmT1.5と135mmT1.5
Cookeは他のレンズメーカーとは異なり我道を行く印象のメーカー。今回新製品として出展したレンズはAnamorphic / i Full Frame Plusシリーズのレンズ。i Technologyメタデータシステムの最新バージョンであるi3(i Cubed)も発表された
40mm、50mm、75mm、100mmが4月から出荷開始予定で 32mm、135mm、180mmがその後になる予定
ズームレンズも写真の35-140mmのほか近日中に45-450mmが登場予定
ライカのシネ系レンズはSUMMILUX-C、SUMMICRON-C、M 0.8、THALIAがあるが今回Leitz Zoomが発表された
Leitz Cine Zoom VistaVision 55-125mm T2.8と25-75mm T2.8の2本を出品。マウントはPLマウントで、Cooke/iおよびARRI LDS-2メタデータインターフェースに対応
SchneiderはTrue-Net BlacksやTrue-Net Grayフィルターなど7つの新シリーズのフィルターを出展。またBurbankへの事務所移転も発表された
Angenieuxは12倍の高倍率ズームのシリーズとしてOptimo Ultra 12x FF/VV、Optimo Ultra 12x U35、Optimo Ultra 12x S35がある。Angenieux Optimo Ultra 12x 24-290mmを新製品としてアナウンス
Optimo Ultra 12x FF/VVで36-435mmT4.2
シグマシネマはIBCで発表された28mmT1.5や40mmT1.5、105mmT1.5などの新製品のほかマウントアダプターMC21などシネマレンズ13本や写真用レンズを出展
Tokina Cinemaは、プライムレンズの新製品VISTA ONE T1.5VISTA ONE T1.5やCINEMA 50-135mm T2.9 MKIIなどを新製品として出展
P+S TECHNIKというと日本ではDOFが流行った時代に有名になったメーカーだが、Technovision Classic AnamorphicsやEvolution 2X Anamorphicsなどのレンズなども扱っている。
P+S TECHNIKの新製品Technovision Classic 1.5X 40-70mm
TRUE LENS SERVICESはレンズの改造を行う会社で古くなったレンズのリペアのほかマウントの改造や写真レンズをシネレンズに改造などを専門に行っている。オリジナルのレンズやマウントアダプターなども販売している