txt:井上晃 構成:編集部

同特集は、本稿よりEDIUS Xの注目すべき各機能へと深くダイブしていく。Vol.02となる本稿では、Vol.01でも語られた「新しいアーキテクチャーを採用した新機能」について深く探求してみよう。

まずはEDIUS Xの基本機能を確認しておきたい。EDIUS Xには従来より映像制作を強力にサポートする各機能が実装されているが、その一つ一つも着実にブラッシュアップされている。

より多くのフォーマットをネイティブサポート

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ソニーXAVC、パナソニックP2、キヤノンXF、EOSムービーやREDフォーマットなど一般的に使用されているすべてのファイルフォーマットをネイティブにサポートしており、また H.265/HEVC、Blackmagic RAWなど新しいフォーマットのサポートも積極的にサポートしている。

これにグラスバレーの高性能な中間10ビットコーデックHQXを活用してあらゆる場面で最適なワークフローの構築が可能であり、EDIUS Xがあれば、どんなフォーマットでも編集できることがうたわれている。

更にEDIUS Xでは独立したサービスで処理することで、タイムラインエクスポートやタイムラインのレンダリングをバックグラウンドで処理可能。更なる効率化が図られている。

他に類を見ないリアルタイム編集

他銘柄のビデオ編集ソフトをご使用のユーザーには信じられないだろうが、上記の多彩なフォーマットを他に類のないリアルタイムビデオデコーディング技術を持って、4K/HD/SD解像度、アスペクト比、フレームレートを「すべてリアルタイムで」処理し編集することがEDIUS Xでは可能だ。

HDのタイムライン上に4:3 SDビデオを配置したり、NTSCとPALソースをミックスしたり、4Kを追加したり、はたまたHDRへの対応など、変換やレンダリングに一瞬たりとも時間を無駄にすることなく、他の解像度やフレームレートのプロジェクトに組み合わせたりすることができる。

このレンダリング待ちという無駄な時間を作らないという思想は、EDIUS登場時から大切にされている思想ではあったが、EDIUS Xでは、NVIDIAグラフィックカードを活用したH.265/HEVCエクスポート、そして従来からあったH.264とH.265のデコードにIntel Quick Sync Videoを使用することの強化など、積極的にGPUを活用することで4Kを含む超スムーズな再生が可能になるようにさらに強化されている。

Windows 10&選択可能なハードウェアI/O

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/10/EDIUS-X_VOL02_06.png NVIDIAグラフィックカードを積極的にサポート
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https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/10/EDIUS-X_VOL02_05.png Blackmagic Design社、AJA Video System社のI/Oハードウェアを積極的にサポート
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Windows 10用のネイティブ64ビットアプリケーションとして新設計されたEDIUS Xは、レイアウター、モーショントラッキング、マルチカム、4K HDRマルチトラック編集などの集中的なメディア操作のために、最大512GBのシステムメモリ(Windows 10 EnterpriseとPro用)をフルに活用する。

上の項でも述べたが、EDIUS XからはNVIDIAグラフィックカードを積極的にサポートし活用することでH.265/HEVCエクスポートの効率化が可能となり、そして従来からあったIntel Quick Sync Videoの活用など、PCハードウェアを隅から隅まで全活用することになった。

また、Blackmagic Design社、AJA Video System社のI/Oハードウェアを積極的にサポートすることで、4K HDRを含むあらゆるプロジェクトにおいて、正確で安定したビデオモニタリングがお手頃なハードウェアIOで行えることも嬉しい。

※参考 EDIUS X Proサードパーティー製ハードウェア対応情報

Myncとの連携強化

Myncは、EDIUSでの編集に備えて、ビデオ、オーディオ、静止画などすべてのアセットを管理することができる強力なEDIUS支援ツールだ。リムーバブルドライブやカードリーダーをPCに接続すると、Myncはサポートされているフォーマットを自動的に検出し、自動的な転送やスマートにクリップビンウィンドウに表示することが可能だ。

これを更に一歩進めると、MyncによってOKテイクの確認、必要なカットの整理、はたまたシナリオ化などある程度の事前編集を行ったり、編集前の整理をグループ管理で行うことによって、効率的なグループワークも可能となるのだ。これらは従来より定評のあった機能群だが、EDIUS Xとなってよりブラッシュアップされ、機能の強化や動作の最適化が図られた印象が強い。

バックグラウンドレンダリング/ファイルエクスポート機能

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/10/EDIUS-X_VOL02_01.png バックグラウンド処理の進捗を新ツール「GV Job Monitor」で監視できるようになった
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Vol.01でも真っ先に紹介されていたバックグラウンドレンダリングは、まず編集作業に先だって必要な作業、波形キャッシュの作成、プロキシファイルの作成、そして編集中に起こる作業、クリップのレンダリング、そして編集後に必要な、シーケンスのエクスポート、バッチエクスポートの作業などが、バックグラウンドでのレンダリングとなり、編集作業の妨げとならないようになった。これはまさにレンダリングエンジンがEDIUS本体から切り離されたEDIUS Hubアーキテクチャの成果の一つだ。

これらバックグラウンド処理の進捗は「GV Job Monitor」という新しいツールで監視することも可能だ。

強力なプラグイン群

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/10/EDIUS-X_VOL02_30.jpg Acon Digital社のプラグインを無償でダウンロード可能
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今回のEDIUS Xでは、かなり力の入ったプラグイン群が装備された。従来から弱いと言われてきたタイトラーはデザイン性豊かなテンプレートを数多く搭載した高機能タイトラーが装備された。視聴者をハッとさせる、インテリジェンスなスムーストランジションを含む多彩なエフェクトを持ったビデオトランジションが実装された。

また、実用的で効果の高いコンプレッサー、ノイズリダクション、リバーブリダクション、リミッターといったオーディオ系プラグイン群の装備は、ビデオ編集ソフトとして派手な部分を彩る存在が加わり、一皮向けた成長を見せてくれた。

ドラフトプレビュー

ビデオフィルター系のいくつかの新機能はプレビュー再生に負荷をかけることになり、それは機能の向上とスムーズな再生が相反する存在なのだと再確認させてくれるだろう。

だがEDIUS Xはそれを良しとはしない。新機能のドラフトプレビューは再生時の解像度やBit深度を下げて、高負荷部分の編集を快適に行うことが可能となる。

次回からは新しく加わった新機能群に焦点を当てて、さらに深くEDIUS Xへダイブしていこう。

txt:井上晃 構成:編集部


Vol.01 [ぼくらのEDIUS X] Vol.03