txt:井上晃 構成:編集部

オーディオ用ボーナスコンテンツ「Acon Digital EDIUS Editions」が無料で使用可能

第4回目となる本稿では、EDIUS Xで強化されたオーディオ関連機能を探る。

EDIUS Xではボーナスパックとして多数のプラグインが装備されたが、オーディオ関連機能の強化ポイントの本質はそこではない。EDIUS Xでは、VSTプラグイン対応の改良を行い、VST2(64bit版)のプラグインを幅広く利用できるようになったのは大きい。

このため、多数のオーディオプラグインがボーナスパックとして提供された、ということ以上の可能性を秘めている。今回はそこを探求していこう。

EDIUS XでVST2プラグインを利用したい場合には、EDIUS X本体が格納されたフォルダー内のVSTフォルダーにVST2プラグインをセットアップすることで利用できる。EDIUS Xを標準的にインストールした場合のVSTフォルダーは下記の場所だ。

VSTをざっくり説明すると、Steinberg社が開発したオーディオソフトウェアで使えるプラグインの規格だ。初代のVST1規格(X以前のEDIUSで一部対応)からVST2規格を経て最新版はVST3という規格となっている。

このVST2は本家のSteinberg社では2018年に開発終了が宣言されており、VST3への移行が推奨されている。だがVST2プラグインの全てがVST3へ移行したわけではなく、現在もVST2プラグインが多数が流通している。将来的にはEDIUSのVST3対応を期待したいが、EDIUS XではVST2の64bit版が利用できると覚えておこう。

さて今回EDIUS Xではオーディオ用のボーナスコンテンツとしてAcon Digital EDIUS Editionsが提供された。強力なオーディオ処理を提供してくれるプラグインだ。ぜひダウンロードしてインストールしよう。

ダウンロードはEDIUS Xのヘルプメニューからダウンロードが行える。

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AconDigitalEDIUSEditions_1_0_3.exeをダウンロードしインストールが完了すると、エフェクトパレットのオーディオフィルター内に、

  • Acon Digital Compress EE = コンプレッサー系プラグイン
  • Acon Digital Denoise EE = ノイズ除去系プラグイン
  • Acon Digital DeVerberate EE = 空間残響除去系プラグイン
  • Acon Digital Limit EE = リミッター&エンハンサー系プラグイン

以上4つのプライグインが登録され利用可能になる。

この音響プラグインの効果を文字で表現するのは難しいので効果については、YouTubeのEDIUS.NETチャンネルで紹介されている、「EDIUS Xプレビュー|主な機能 Part 2:オーディオ」動画をぜひご覧頂きたい。

ノイズゲートとボイスブーストが便利

筆者が特に有用だなと思ったのは、Acon Digital Compress EEの“ノイズゲート”及び“ボイスブースト”の機能だ。

どちらもコンプレッサーの使い方としては代表的な使い方ではあるが、有用なコンプレッサーが装備されてなかった旧バージョンのEDIUSでは、セリフ間のノイズなどをこだわれば積極的にラバーバンドで下げるか、音声トラックの無音部分を削除するなどの処理が必要であるが、その作業が“ノイズゲート”によって大幅に簡略化ができる。また小声でうまく収録できなかったセリフなどでは“ボイスブースト”も大いに役に立つ。

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各プラグインは細かく調整することも可能だが、一通りの機能が弱中強の3段階でプリセットとなっている。ざっくりとここから選んで効果を確認したら微調整して効き目を追い込む。という作業の仕方が良いだろう。

ノイズ除去系のDenoise EEと空間残響除去系のDeVerberate EEは効果的に適用できれば相当な効果が期待できる。ただ強めの適用は元音声の艶もそぎ落とすので、適用は控え目から追い込んでいこう。軽い適用を複数のフィルターに分けて適用する重ねがけが良い結果をもたらすことも多そうだ。

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フリーVST2スプラグイン「Youlean Loudness Meter」でラウドネスを確認

さて、このAcon Digital EDIUS Editionsだけでも筆者はEDIUS Xへアップグレードする価値はあると思ったが、EDIUS Xのオーディオ部分の進化はこのサードパーティのブラグイン部分だけではない。先にも述べたようにVST2規格に対応したことによって、世の中にある優秀なVST2プラグインが使えるようになったことも大きな出来事だ。その実例をいくつか紹介する。まずは「ラウドネス」だ。

以前のEDIUSには「ラウドネス測定」機能が実装されたバージョンがあったが、現在はライセンスの関係でEDIUS Workgroup版のみの搭載となり、残念がる声が大きかったのは事実だ。

そこで EDIUS XがVST2規格に対応したことによって、VST2版のラウドネス測定プラグインが利用出来るようになった。まずはフリーのVST2ラウドネスプラグインである、Youlean Loudness Meterをご紹介しよう。

▶︎Youlean社「Youlean Loudness Meter」

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フリー版でもLU、INT、TP、LRA、TV用のラウドネス測定が可能であるが、有償版「LOUDNESS METER 2 Pro」では、ストリーミング用プリセットが追加されるなど、高機能なラウドネス測定プラグインとなっている。

フリーのVST2スプラグイン「Sanford Reverb」で聞きやすい声に調整

次にもう一つ簡単なリバーブプラグインも紹介したい。これも標準状態のEDIUS Xにはない機能なのでフリーの簡易な版でもあると助かる。Sanford Sound DesignのSanford Reverbを紹介する。

▶︎Leslie Sanford「Sanford Reverb」

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このプラグインも多種なプリセットを持つ。ここからざっくりと選んでから、細かな調整で追い込んで行きたい。

次回はトランジション/ビデオエフェクトプラグイン、そして新しく加わった高機能タイトラーに焦点を当て、深くEDIUS Xへダイブしていこう。

txt:井上晃 構成:編集部


Vol.03 [ぼくらのEDIUS X] Vol.05