パナソニックブースのカメラシステムソリューションエリアではリモートカメラを展示していた。

パナソニックではいわゆるボックスカメラとそれを載せる回転台という組み合わせは20年以上前から提供しており、現在のような一体型も2008年には開始しているので長年にわたって実績のあるカテゴリーだ。

Inter BEE 2021では、既存のAW-UE100、UE150といったハイエンドモデルに加えて、よりリーズナブルなスタンダードモデル、エントリーモデルの新製品5機種の展示・デモが行われた。

最上位スタンダードモデル「AW-UE80W/K」

デザインはドーム型でレンズが奥に位置しているため、カメラの動きが目立ちにくく、撮影される側にも意識されにくい。ハイエンドモデルと同様にHigh Bandwidth NDI、AR/VRでカメラトラッキングデータを出力するプロトコルであるFreeDにも対応している。また、広角74.1°という広さと24倍ズーム、そして精度の高い動作と静音性を兼ね備えた新ダイレクトドライブモーターシステムもハイエンド機種と同じだ。

ハイエンドであるAW-UE100との違いは、AW-UE100は12G-SDIとHigh Bandwidth NDIで4K60pに対応しているのに対して、最上位スタンダードモデルのAW-UE80では、3G-SDIとHigh Bandwidth NDIではHD60pまでの対応となる。HDMIでは4K60pでの出力が可能だ。UE100が4K制作モデル、UE80はHD制作モデルという位置づけになるだろう。

スタンダードモデル「AW-UE50W/K」「AW-UE40W/K」

AW-UE50、AW-UE40は企業のオンライン会議、オンラインセミナー、大学の講義収録などでの使用を想定している。そのため、FreeDには対応せず、またNDIについてはH.264ベースのNDI|HXにアップグレード可能としているが、その代わりUSBでの出力に対応している。新ダイレクトドライブモーターシステムはUE80と同様に搭載。AW-UE50、AW-UE40ともにHDMIで4K30pに対応している。AW-UE50とAW-UE40の差は3G-SDI搭載の有無となる。

ハイクオリティなエントリーモデル「AW-UE20W/K」「AW-HE20W/K」

なるべくコストを抑えたいというニーズに応えた製品で、広角は上位製品とほぼ同等の71°だが、レンズの倍率は12倍となっている。また、NDIには非対応だが、USBと3G-SDIに対応している。3G-SDIはコストは抑えたいがカメラとの距離を延ばしたいというニーズには非常にありがたい機能だろう。AW-HE20とAW-UE20の差は、AW-HE20がHD出力、AW-UE20が4K出力となる。

ワンハンドオペレーションを実現するコントローラー「AW-RP150GJ」

それぞれのリモートカメラは無償のソフトウェア「PTZコントロールセンター」や、WebブラウザでGUIを使った制御も可能だが、ライブなどでの直感的な操作の場合はハードウェアのコントローラーが必要だろう。AW-RP150GJにはパン、チルトなどが可能なジョイスティックにズームまたはフォーカスのスイッチも搭載しており、ワンハンドで直感的な操作が可能だ。

パン、チルト、フォーカス、ズームといったパラメータを登録して動かすことも可能で、シリアル接続では5台、IP接続では最大200台のカメラを制御可能。また、省スペースを優先する場合は、必要最小限の機能をコンパクトに搭載したより小型のコントローラー「AW-RP60GJ」もラインナップされている。

高精度な自動追尾を実現するソフトウェア「AW-SF100G」

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登壇している出演者などをカメラで自動追尾させるためのソフトウェアAW-SF100Gは、事前に登録した顔だけでなく、数万パターンの人体画像を学習させたディープラーニング技術によって精度の高い人体検出も可能。会場を演者が動き回るようなライブシーンで活躍するだろう。

ハイエンドモデルの機能をスタンダードなモデルにも採用しリモートカメラのラインナップが刷新された。予算、目的に応じて幅広く選択できるようになったといえるだろう。