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パナソニックブースのメインステージでは、SITE4D(株式会社サイトフォーディー)およびJPBA(公益社団法人 日本プロボウリング協会)協力のもと、リモートプロダクションのデモンストレーションが行われた。東京都内にあるボウリング場2カ所(東京ポートボウル(田町)、永山コパボウル(永山))と、幕張メッセのInter BEE 2021会場を繋ぎ、各会場にいるプロボウラーがリモートで対戦する様子をパナソニックブースで観戦できるようになっていた。
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各ボウリング場にはリモートカメラが3台ずつ、さらに定点用としてAG-CX350を設置。現場には専任カメラマンはおらず、パナソニックブース側でリモートカメラのカメラワークを操作できるようになっていた。
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このようなリモートプロダクションを可能にするのが、パナソニックのKAIROSだ。今回は2022年春にサービス開始予定の「KAIROSクラウドサービス」を用いて、各ボウリング場からの4本の映像をクラウドにアップし、クラウド上でスイッチングしてその内の2本計4本をパナソニックブースにあるKAIROSオンプレミスに送っていた。
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パナソニックブースでは、メインステージ横のカメラスタジオで対戦を実況するMCを映すカメラ、そしてKAIROSオンプレミスのコントロールパネルを来場者に見せるためのカメラがあり、合計で6本の映像とあらかじめ用意されている選手紹介などのCGを、メインステージに設置された32:9のプロジェクターで投影する映像に合成していた。
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各ソースの配置や調整を行うKairos Creatorの画面は、既存のハードウェアのスイッチャーよりも映像合成ソフトのそれに近く、パソコンで映像制作を行なっているスイッチャー経験のない層の方がとっつきやすいのではないかという印象だ。
ボウリング会場では、選手の後方やレーン側にリモートカメラが設置され、自動追尾機能を駆使した撮影や、定点用のAG-CX350で幕張メッセのパナソニックブースにいるMCとのやりとりなどを行った。後方に現場を管理するスタッフはいるが、カメラマンはいない。AG-CX350での撮影時にはタリーが点灯するため、カメラマン不在でも選手の方は安心して遠隔地とのやり取りができた。
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東京ポートボウルの会場で参加されたプロボウラーの姫路麗プロに今回の中継方法について伺うと、「中継のための人員が最小限で良いという環境は、選手の試合中の集中力をより高められるという面と中継をすることでより多くの方々に試合を観て頂けるという両方をクリアできるとてもよいシステムではないでしょうか」と良い印象を持って頂けたようだ。
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今後のリモートプロダクションの展開について
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パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社 パブリックシステム事業本部システム開発本部プロセスソリューション事業センター センター長の梶井孝洋氏に今後のリモートプロダクションの展開についてお話を伺った。
Inter BEE 2021では「制作現場を変える ライブIP×リモートプロダクション」というコンセプトを掲げて、現場業務の効率化と映像コンテンツの質の向上を両立させてお客様に付加価値のあるコンテンツづくりにパワーを割いて頂くための価値提供のご提案を目的としています。
リモートプロダクションにおいてオンプレミスとクラウドサービスそれぞれに特徴があり、オンプレミスは低遅延高画質で放送局様中心に推進させて頂きますが、クラウドサービスについてはプロダクション、ネット配信をされる企業様など、もう少し軽いコンテンツを扱われる現場の方々に使っていただきたいと考えていますので、この2つのハイブリッドを必要に応じて提供させて頂きたいと考えています。
いずれにしましても、リモート先の人員をできるだけ減らし、本部からリモート操作ができれば、例えば今まで放送や配信のニーズはあるがコストがかかってしまうことで諦めていた大学やアマチュアのスポーツリーグなどのコンテンツにも、改めて価値を持たせて可能性を広げることもできるのではないかと考えています。
このような付加価値のあるコンテンツづくりのお手伝いをしていければと考えています。
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