ATOMOS竹内錬氏インタビュー説明写真

株式会社GLASのRen Takeuchi氏は、沖縄でATOMOS NINJA V+とATOMOS CONNECTを使用したロケを実施。東京などの離れた場所にいるクライアントに対して撮影中に映像を共有するCamera to Cloudや、プロキシを活用した映像編集など、ATOMOSの提唱する新ワークフローを現場で使用したという。その体験談について詳しく聞く機会が得られたので紹介しよう。

綺麗に仕上げられて、REC停止で即送信を実現

――今回の作品「Never enough」のコンセプトを教えてください。また、ロケ地に沖縄を選んだ理由も教えてください

Takeuchi氏:

沖縄の海といえば、きれいな海とその発色ですよね。海外のようなきれいな海、白い砂浜を求めて、沖縄の砂浜で撮影することにしました。ATOMOS NINJA V+とATOMOS CONNECTを組み合わせて、色を綺麗に見せたいという思いがありました。
作例はLUMIX S5 IIとATOMOS CONNECT、レンズは単焦点で1.8シリーズ、LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.、LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACROを使用しました。綺麗な色味とバレエダンサーを主に単焦点を使用して撮影しました。
バレエダンサーを選んだ理由は、描写です。S5 IIとダイナミックレンジの広さに定評のあるATOMOSの組み合わせで、シャープネスやカラーを最大限伝える撮影や編集ができると考えました。

「Never enough」本編

――ATOMOS CONNECTにはNINJA V、NINJA V+、SHOGUN、ZATOのラインナップがありますが、どのような理由でNINJA Vを選ばれましたか?

Takeuchi氏:

私にはNINJA Vがもっとも最適だからです。NINJA Vは、私の制作スタイルである綺麗なものを撮って、後から必ず綺麗な作品として仕上げるのになくてはならない存在です。現場でも安心感があります。
あと、クライアントの受けがよいです(笑)。例えばSHOGUNはSDI入出力機能などインターフェイスが充実しており、クライアントから好評です。現場のよもや話になりますが、持ち込む機材でおおよその予算感がわかります。低予算の現場でもあえて優れた機材を投入することによって「頑張ってくれる」という雰囲気を作り出すことができます。
カメラはS5 IIにリグにトップハンドル、TILTA Advanced Ring Grip for RS 2でDJI RS 2と組み合わせて運用しました。スタイル的にも格好よく、クライアントさんには大掛かりな撮影を行っているように見えて高評価を頂いています。

ATOMOS竹内錬氏インタビュー説明写真

――今回もう1本制作された「Never enough」BTS編のストーリーには、どのような思いを込めましたか?

Takeuchi氏:

ATOMOS CONNECTという新しいソリューションの特徴を伝えるためには、やはり「距離ではないか?」と考えました。制作スタッフとディレクターが沖縄に行って、プロデューサーはどうしても仕事の都合で東京に残るというストーリーにしました。撮影現場の様子をリアルタイムで確認できるのが、今回の映像作品のテーマです。

「Never enough」BTS動画

――Takeuchiさんはこれまでプロデューサーとかクライアントとどのような方法で確認を行ってきましたか?

Takeuchi氏:

基本的に現場に来られない場合は、事前に絵コンテを作成して、絵コンテ通りに撮影していきます。心配性なクライアントには撮影データをパソコンに読み込み、撮影現場からデータで送ることもありました。
ちなみに、あまりない例ですが、テレビ通話で現場から中継を行い、クライアントから指示をもらったこともありました。

確認作業が容易で、制作ストレスを軽減

――ATOMOS CONNECTを使った第一印象はいかがでしたか?

Takeuchi氏:

ATOMOS CONNECTは革新的だなと思いました。RECを止めたらリアルタイムで送ることがでるという説明を受けた時は「まじですか?」と思いました。Frame.ioにプロジェクトを作って、そこに収録したものが随時ファイルとして入っていきました。
ATOMOS CONNECTにはデュアルレコードという機能があり、オリジナルファイルのほかにプロキシファイルを同時記録が可能です。このプロキシファイルを使えば撮影現場の貧弱なノートパソコンでもYouTubeを見る感覚でプレビューが可能です。
あと、機材をいったん閉まっているような移動中でもパソコンやスマホで素材確認ができます。撮影の日程は午前と午後で分かれるのが一般的ですが、午前の撮影の反省をして午後の撮影にその反省を活かしたり、お昼休憩の短時間でもプロデューサーに素材を確認してもらうことができます。本当に制作のストレスを軽減できる印象しかない感じです。

ATOMOS竹内錬氏インタビュー説明写真

――今回の沖縄撮影の環境は海辺でしたが、どのような通信環境でATOMOS CONNECTを使われましたか?

Takeuchi氏:

スマートフォンのインターネット共有で問題なく送信できました。テザリング機能でATOMOS CONNECTにWi-Fi情報を設定し、それでカメラのRECを押すたびに、撮影素材が流れていきました。

プロキシファイルで即編集を開始でき、出張先で作業を終わらせることが可能

――編集工程でもNINJAを使ったメリットがあれば教えてください

Takeuchi氏:

私の編集スタイルですが、マスターデータで編集する時は、オフィスに帰ってデスクトップで編集します。しかし、ロケで2〜3日出張の場合は撮影が終わってオフィスに帰らなければ進まないのが現状でした。貧弱なノートパソコンでマスターデータを編集するにはさすがに無理があります。再生ボタンを押しても進むことができません。しかしATOMOS CONNECTで飛ばしてFrame.ioにあるプロキシデータをすべてダウンロードし、そのままPremiere Proで編集をすると軽快に編集が可能です。
オフィスに帰ってからは、デスクトップPCでプロキシファイルのリンクとマスターデータのリンクを入れ替えるだけで、編集がほぼフィックスに近い状態に出来上がっていることになります。つまり、出張撮影で作業を先に終わらせることが可能なのです。

ATOMOS CONNECTで飛ばした素材をFrame.ioからプロキシデータでダウンロードし、そのままPremiere Proで編集可能

Takeuchi氏:

あと、私がATOMOS製品を使ってる理由の1つに、過去に経験したグリーンバック撮影での事故があります。ATOMOS以外のモニターで起きたことですが、グリーンの抜け具合をモニターで確認したうえで現場から素材を持ち帰って確認をしたところ、抜けていなかった、ということがありました。結局、モニターの精度に問題がありました。
この問題に対してどのように対策をしたらいいのか周りの友人やディレクターに相談をしたところ、「ATOMOSならば間違いない」とのアドバイスを受けました。それがきっかけでATOMOSから実機をお貸し出し頂き、実際に現場や持ち込んだみたところ、絶対にミスのできない現場に持っていける信頼性の高い機材だと感じ、今でも使い続けています。

ATOMOS竹内錬氏インタビュー説明写真

――最後にATOMOS CONNECTはどんな人にオススメしたいですか?

Takeuchi氏:

私はどちらかというと映像業界の中間層の立ち位置だと思っています。上層になると映画やTV-CMなどのDITがいる現場と考えています。それらの現場はDITの方達が従来作ってきたワークフローのベースがあるので、1から細工して作り直すかと言ったら、それはなか難しいと思います。逆に言うとATOMOS CONNECTは中間層以下がターゲットで、おそらくビデオグラファーなどの標準的なソリューションになるのではないかと思います。
ATOMOS CONNECTは、予算やメンバーが少なくても共同作業を実現する業界標準的なソリューションになるのではないかと思っています。