ATOMOSのクラウドベース新サービス「ATOMOS Cloud Studio」無料ベータ版公開
ATOMOSは、ポータブルモニタリングとRAWレコーディングで映像業界に話題を起こしたビデオテクノロジーメーカーだ。劇場公開作品の制作でしか手の届かなかったRAW映像ワークフローを、ミラーレスカメラで実現したProRes RAW収録対応はあまりにも有名だ。そんなATOMOSは、2023年映像業界のトレンドである「クラウド」で再び映像業界にイノベーションを起こそうとしている。
ATOMOSの新サービス「ATOMOS Cloud Studio」は、クラウドからデバイスを認識する機能と、クラウドで収録したビデオやストリーミングの送信先を設定できるセットアップポータルだ。現在、無料ベータ版を公開中である。
ATOMOS Cloud Studioの魅力は、送信先にYouTubeやFrame.ioなどを設定可能なところだ。Atomos Cloud Studioにはデスティネーションと呼ばれる行き先を定義する項目があり、YouTubeやTwitch、Dropboxなどの選択肢が可能。その1つとして最近話題になりつつあるFrame.ioを選ぶことが可能だ。
NINJA V+とNINJA V、SHOGUNは、ハイクオリティなオリジナルファイルと、プロキシファイルを同時にSSDに記録が可能で、プロキシファイルは自動的にFrame.ioに転送されて、いろいろな人たちと共有できる。アプリケーションがなくてもスマートフォンのブラウザで確認可能だ。
また、プロキシファイルはダウンロード可能で、プロキシで完パケを先行して作り、Frame.ioに上げてクライアントでディレクターなどと確認のやり取りが可能だ。OKとなった段階でハイレゾオリジナルファイルをリンクさせることで、オリジナルコンテンツを効率よく制作できるのは便利だ。
送信先にSNSを選べば、FacebookライブやTwitch、YouTube、カスタムを含む様々なソーシャルプラットフォームにライブストリーミングが可能になる。ATOMOS Cloud Studio上にはモニタリング機能も搭載しており、どんなコンテンツが配信されてるかをブラウザの中で確認可能だ。
ただしSNSへの配信は、録画済み映像の配信には対応しない。配信は映像入力された映像のみに対応する。配信映像のバックアック記録は、ATOMOSレコーダー側にて可能だ。
3種類のクラウド対応デバイスをラインナップ
ATOMOS Cloud Studioは、「ZATO CONNECT」「ATOMOS CONNECT for NINJA V/V+」、「SHOGUN CONNECT」の3種類のCONNECTデバイスに対応する。
ATOMOS CONNECT for NINJA V/V+とSHOGUN CONNECTは、プロキシと同時にオリジナルファイルの記録が可能。ZATO CONNECTはプロキシのみで、基本的にオリジナルファイルに相当する記録機能はもたない。エンコーダーは、ATOMOS CONNECT for NINJA V/V+とSHOGUN CONNECTはH.265対応で、ZATO CONNECTはH.264となる。
オリジナルコンテンツの収録や外付モニターレコーダー、CONNECTの機能を使いたいという前提であれば、ATOMOS CONNECT for NINJA V/V+やSHOGUN CONNECTがお勧めだ。CONNECTの機能を使わないときは、ProRes RAWの使い方もできるし、従来のNINJA V、NINJA V+と全く同じ機能が使える。
ZATO CONNECTはプロキシのレコード記録は搭載しているが、H.264での記録となる。どちらかといえばコンシューマー向けといっていいだろう。
Atomos Cloud Studioは、2023年3月23日よりサブスクリプション版がスタートする。無料プランはFrame.ioへのアクセスやFacebook、YouTubeなどへのストリーミングは可能だが、プロキシ品質はFHD 1080PからHD 720Pとなる。新ATOMOS Cloud Studioは、4つの月額プランを用意し、より多くの機能を追加可能としている。
Vol.02では、実際にATOMOS Cloud Studioを使用した現場の様子をレポートしていく予定だ。