変化する展示会
米国ネバダ州ラスベガスにて「NAB Show 2023(以下NAB)」がいよいよ始まった。今年は、記念すべき100周年を迎えるNABの初日を迎えた。果たして今回は、どんな展示会になるのだろうか?
2023年となり、街中、そして会場も日常が戻ってきた感がある。やはりラスベガスそしてNABは人で混雑する方がよく似合う。この人混みを見れば、昨年の厳戒態勢でのNAB2022も遠い昔のように思えるくらいだ。そんな100周年を迎えるNABのトレンドはどうなのだろうか?初日だけでは全貌は推しはかれないが、見えてくる物ある。
会期中の会場の雰囲気もすっかり様変わりした。言葉にすると殺風景とでも言おうか?これは、世界的な傾向かもしれないが、展示会の装飾などはSDGsの観点から、印刷物からサイネージに置き換えられるなど、省力化する傾向にある。
あれほど会場の周りを彩っていた巨大なバナーや膨大なチラシなどもすっかり影を広め数カ所のみ。通りに面した展示会のサインも全くなく紙の配布資料もほぼなくなり、プレスルームの掲示板にもQRコードのみが貼られている。そんな2023年のNABが始まった。
未来よ、いらっしゃいませ
クラウドはすでにパワーワードから定番の存在となり、ソニー他、各ブースでも昨年以上に大きく取り上げられている。2023年はさらにIP化やAIの波も感じられる。そういう意味でAIは、今年のパワーワードと言えるだろう。
2023年になりChatGPTなどAIが身近になり映像業界にもその兆候が見えている。
AIの進化が著しく我々が思うより早く、Adobe Premiere Proの機能の一つである動画からの文字起こしは、文字を扱う編集者にとっては非常に重宝している。
ブラックマジックデザインのDaVinci Resolve 18.5のリリース発表でも、エディターは自動音声テキスト変換機能でクリップ内の音声を文字に起こし、物語の内容に基づいてメディアを検索や、タイムライン用の字幕をすばやく生成が可能となる。まさしくここでもAIが登場してくる。
さらに、AdobeはAIによって文字から映像の編集を行う機能をNABでアナウンスした。近い将来実装される。これまで夢物語と思われていたことが実現する未来を感じる動きと言える。
中国からの出展も復活基調
DJIが久しぶりNABに帰ってきた。ちょうどRONINが発表されたとき以来になる(代理店による出展はあったが…)。今回大きなーブースを構え、発表されたばかりの、Inspire 3の実機や、Ronin 4D Flexなど、新しい映像機材の提案も数多く行われていた。
かつての中華企業のイメージはなく、洗練されたブースのデザインで一見どこの国の企業なのだだろう?と思うことも多くなった。今回会場を見渡しても中華企業少ないのでは?思ったのは、そういう理由があるのかもしれない。
NAB100周年に何を思う。
さて100周年のNABでは会場内でさまざまなイベントがあるのかと予想していたが、こじんまりと歴史を振り返るものがいくつか会場内に用意されていた。またお土産のNAB shopも100周年グッズが用意されている。
この数年で大きく変わった世界と言われるが、変わらないと100周年も続かないものだろう。時代とともに現れる新技術と向かい合い取り入れるからこそ前進すると言える。毎年NABでは多くの驚きと感動があるが、まさにその現場に立ち会える刺激に毎年この地を訪問するのかもしれない。クラウドが広まり、AIが日常的に使われはじめているからこそ、ますますその刺激を求めるのかもしれない。
さて2日目に備えよう!