効率化と省人化、その先に見えること?

3日目になると参加者からの声も多様性に満ちてくる。耳を傾けると「今年のNABは面白いね」とか「イマイチだね」と様々な感想や所感が聞こえてくる。現場に足を踏み入れ、体感することで見えてくるものもある。今回は、その中でも会場を歩きながら感じ取れたトレンドを紹介したいと思う。

振り向けばPTZ。そこから始まる用途

それは、PTZカメラだ。PRONEWSでものトレンドの一つとして多く取り上げている。しかしNAB 2023の会場では、ことのほか多くのPTZカメラが見受けられた。ソニー、キヤノン、パナソニック、JVCなど元々のカメラメーカーを始め様々な分野からのPTZカメラ参戦も見られる。用途も映像制作、配信需要、エンタメ、遠隔操作、監視分野など様々ニーズからPTZが盛り上がっていることは言うまでもない。

ユーザーによって目的と手段がそれぞれ違う分野であるのも面白いところだ。実はこれまでのカメラの中では、効率化と省人化が一番大きいかもしれない。PTZの定義は広く捉えられる。今年のNAB 2023では、PTZカメラが前面に推し出されているのも面白いと感じだ。

キヤノン、CR-N700と自動追尾アプリケーション展示

キヤノンは、CR-N700のカメラ機能を拡張する「アドオンアプリケーションズシステム」に対応した「自動追尾」アプリケーションの展示を行っていた。「CR-N500」「CR-N300」に関してもアドオンアプリケーションズシステム対応ファームウェアアップデートを2023年8月上旬に公開だという。

まさに人要らずのカメラワークは視聴者にとっては見分けはつかないだろう。実は会場各所で実施されていた公開収録もカメラがPTZだという見せ方も多かった。確実にスマートに見せられる。

拡張アプリケーションシステムにより、ユーザーはアプリケーションをカメラに直接インストールしてカメラから実行可能。ブース内では異なる画角で2つの異なるカメラを表示し、画像品質がどれだけ正確かつ優れているかのデモを行った。

強力なスタビライザー機能に注目のパナソニックAW-UR100

「AW-UR100」では、光学式画揺れ補正(O.I.S.)、電子式ROLL補正(E.I.S.)、パンチルト式画揺れ補正(D.I.S.S.:Dynamic Image Stabilizing System)の3つの揺れ補正を搭載し、ブースでは揺れ補正のデモを行っていた。あえて激しい揺れのデモだったが、自然な補正が効いていた。外の強い風や振動などぐらいは、効果的に抑制されるだろうと思えた。

ライブ配信が推し支えるBirdog

BirdDogは、配信側からのニーズで急成長している企業だ。人気の「P240」は、NDI、SDI、HDMIの3つの出力に加え、オンラインミーティングのZoomやTeams向けのUVC接続オプションを備えている。IPビデオ伝送はフルNDIとSRT、フルNDIとNDI HX3といった同時に2つのIPストリームを送信することが可能だ。

レンズ交換式PTZカメラ、ソニーCinema Line FR7

ソニーのは、レンズ交換式でシネマ的な映像撮影をPTZで行える。フルサイズの裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、拡張時の高ISO感度409600や15+ストップの広いダイナミックレンジを実現している。

PTZカメラ専用周辺機材も

PTZカメラ用電動台座 Libec LX-ePed

この潮流に合わせ、LibecはPTZカメラ用電動台座「LX-ePed」を発表。PTZカメラのパン・チルト・ズーム機能に昇降機能を追加するもので、上下のロッカーで400mm昇降し、下部は三脚になっているので、実際に昇降させドリーで最大261cmの高さにすることが可能。また、オプションの「VM-12V」を使用することで、屋外にACコンセントがない場合、Vマウントバッテリーから製品全体に給電が可能。

さていよいよ最終日…。


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