今、実戦で活躍できる映像編集向けクラウドソリューションとは?

映像制作においてのクラウドサービスは、映像ファイルの保管・共有・編集を効率化するために、近年注目を集めている。ここでは、実際に今活用されている代表的な5つの映像編集向けクラウドサービスを紹介していこう。PRONEWS編集部でも実際に導入し、効率化した実績がある。


Frame.io【Adobe】

Adobe社が提供するクラウドベースのコラボレーションプラットフォーム。映像ファイルのアップロード・共有・レビュー・コメントが可能で、場所と時間を問わず複数で作品制作が進められる。Adobe Premiere ProやAfter EffectsなどのAdobe製品との連携もシームレスに行えるのも特徴だ。

また「Camera to Cloud(C2C)」は、撮影カメラの録画ボタンを押すと同時に同期し、撮影データを自動的にクラウドへアップロード共有するシステムだ。同システムは、制作とポストプロダクション間のやり取りの手間を削減できるため、時間コストの大幅削減が期待できるという。 デジタルシネマからミラーレス、スマホまで、あらゆるカメラをクラウド接続可能にする部分も興味深いところだ。

Ci Media Cloud【Sony】

ソニー社が提供するクラウドベースの映像制作プラットフォーム。元々ハリウッドの映画制作などで使用されていたものがソリューション化された歴史を持ち、メディア共有や共同作業による制作ワークフローを実現している。

カメラで撮影しながら素材のアップロードが可能で、伝送からアーカイブまでをワンストップで実現する。統合されたメディア管理機能に加えて、幅広いコーデックに対応している点も見逃せない。

メディア管理機能だけでなく、複数の異なる場所で作業する制作スタッフ間の共同作業を可能にする機能も搭載。特に、素材共有のための「メディアボックス」や試写・レビューで便利な「ビデオレビュー」によって円滑なコミュニケーションと、チーム作業の効率向上を可能にする。

他社との連携もTeradekの4K HDRエンコーディングソリューションである「Serv 4K」および「Prism Flex」とネイティブに統合される。これにより、撮影現場、スタジオ、リモートで使用されるどのカメラも、Teradekのエンコーダーから直接Ciへの映像アップロードが可能となる。 またATOMOS CONNECT製品を使用しているどのカメラからでも、直接ファイルのアップロードが可能となる。

ATOMOS Cloud Studio【ATOMOS】

ATOMOS Cloud Studioは、Atomos社が提供するクラウドベースの映像ファイル転送サービスで、Atomos製の外部レコーダーから直接クラウドに映像ファイルをアップロードすることができる。そして、その送信先には前述のFrame.ioやYouTubeなどを設定可能だ。また、映像ファイルの暗号化や転送の履歴管理などの機能も備えている。

ATOMOS CONNECT | SHOGUN CONNECT | ZATO CONNECT

Blackmagic Design Cloud【Blackmagic Design】

DropboxやGoogleドライブでメディアを同期・共有できるストレージBlackmagic Cloud Storeを繋ぐことで、クラウド上コラボレーションの可能性が広がる

Blackmagic Design Cloudは、Blackmagic Design(以下:BMD)が提供するプロジェクトファイルをクラウド上において、どこからでもインターネットさえあれば編集ができるというサービスだ。複数人でプロジェクトを共有して、同時にコラボレーション(共同編集)もできる。 当然だがBMD製のカメラや編集ソフトウェアとの連携が充実しており、映像ファイルの暗号化やアクセス権の管理などの機能も実装。また、超高速の高性能ネットワークディスクであるBlackmagic Cloud Storeを使用することでさらに作業が簡単に行える。

PresentaitonsやDaVinci Remote Monitorなど付属機能も興味深い。PresentationsはBlackmagic Cloudのツールのひとつで、映像をリモートで共有しながら、ビデオチャット機能でオンライン会議が可能。そしてDaVinci Remote Monitoringのリモート視聴ツールも大きく進化。これまでは遠隔地に映像音声を送るにはVPNなどが必須だったが、インターネット経由で誰でもどことでも接続可能になった。

DropBox Replay【DropBox】

DropBox社が提供するクラウドベースの映像ファイル共有サービス「DropBox Replay」は、2023年5月に正式リリースされた。DropBoxの既存アカウントで利用可能なのは実にありがたい。また、映像ファイルのコメントやレビュー機能も実装している。特にヴァージョン違いの比較が容易にできることは嬉しいところだ。

先に公開されているが、「DropBox Replay」については、こちらのVol.03を見ていただくと良いだろう。