会場で見つけた注目製品をレポート

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毎年梅雨時期の最後と重なるためか荒天が続いた九州放送機器展。今年も例に漏れず前日迄は豪雨が続いていたが、開催当日はなんとか雨も上がり曇天でのスタート。しかし会場の中は外とは違い、出展数も昨年から比べると増えコロナ前の様子に戻った様だ。

今年もアルファー・ビジョン猿田氏と共に参戦。QBEEには驚かされる機材が確実に何点か展示されているが、それを見つけるためだけに博多まで通っていると言っても過言ではない。それではメーカーごとに簡単に見て行こう。

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キヤノンマーケティングジャパン:デジタルシネマカメラ「EOS C400」

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CINEMA EOSからはEOS C400がメイン展示、C100やC300のスタイルから無駄を削ぎ落とした正方形のスタイルに変更。マウントもEFからRFマウントになりより、正確なAFを手に入れることでワンマンOPがし易くなった。

またボディ形状が変わったことにより、RONIN等のジンバルに乗せた時のバランス感が非常に良い。スモールバジェットでいろいろな映像を撮りたい方にはオススメのカメラだ。

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アツデン:シネママイクロホン「SGM-250LX」

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既に発売されている「SGM-250MX」の後継機種「SGM-250LX」の展示。カメラマイク(小型ガンマイク)の出力端子を従来のストレートからL字のキャノン端子に変更したのみだが、これまで発売されているどのコネクターよりコンパクトなため、そのままカメラバックに入れても全く邪魔にならなく秀逸な製品と言える。

また参考出展としてソニーのワイヤレス対応の単一指向マイクの展示。従来の無指向性と比べるとより音源がはっきり聞こえてくる。

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VANLINKS:RGBWフルカラーライト「FS-300C」

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PRONEWSにも登場するビデオグラファーの鈴木佑介氏絶賛のNANLITE。その中でも今回は従来バイカラーだった「FS-300」がフルカラーとなり登場。色温度だけではなくRGBカラーになったことで照らす照明から演出の照明にも使用可能になった。

更にバラスト内蔵のために3P100V電源を本体に挿すだけの簡単運用、スマホからアプリで各種調整可能となる。DMX非対応だが、個人での小さい現場なら全く問題ないはずだ。

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シグマ:フルサイズ用ズームレンズ「28-45mm F1.8 DG DN | Art」

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このレンズはかなり気になってるビデオグラファーが多いのでは?28-45mmと言う人を撮るには丁度良いズームが全域F1.8と言う明るさなのが凄い。10年位前に某技術者に28㎜スタートで良いから3倍ズームf2.0全域で作れない?と質問した時は前玉が120㎜無いと駄目ですと言われたことがあるが、このレンズは一般的な82㎜径で抑えてあるのはSIGMAの技術力の高さを感じた。

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ブラックマジックデザイン:デジタルカメラ「Blackmagic PYXIS 6K」

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話題のBlackmagic PYXIS 6Kは九州地区初上陸。従来のポケットシネマカメラを寄り制作カメラ的にリファインした結果、やはりスクエアな筐体になるのは自然なことだろう。マウントもトレンドにあるライカLマウントを採用。本体とはUSB-Cで繋がるEVFも、従来品より更に見やすく感じた。

更にその隣にはスロー出しのシステムを展示。DaVinci Resolveをコントロールの核とした構成なので、DaVinci OPなら直ぐに運用が可能だ。基本はHyperDeck StudioとCloud Store組合わせの運用なので これらを既に持っているなら投資額も少なくできる。筆者が担当しているPIST6(公営競技)のスローにも問題なく使えるクォリティなのでぜひ使ってみたい機材だ。

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ローランド:ビデオ・スイッチャー「V-80HD」

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型番の通り8系統(SDI×4/HDMI×4)を持つ新型スイッチャー。V-60HDの後継機となるがその中身はかなりアップグレードしていてVRシリーズとの垣根がかなり低くなった印象を覚えた。今回の目玉はGraphics Presenterとの連携だろう。簡単に言えばテロッパーになるのだがサイズ/配置はもちろん、動きまでも表現できていて、現場でのLIVEスイッチャーとしてこれ1台で完結できるものだ。このソフトは無償提供され、対応スイッチャーも2020年以降の物に随時対応予定とのことだ。USB-C出力はそのままWEBカメラ認識されるので、zoomやTeams等の配信系にもダイレクトに送れるのが秀逸。

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富士フイルムイメージングシステムズ:FUJINON DUVOシリーズ「HZK24-300」

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スーパー35センサー対応PLマウントの12倍ズームレンズ。過去にもこの位のズーム比のPLレンズは存在したがベースはシネマレンズのために操作性に難点を覚えた。しかしこのレンズは、馴染みのあるENGレンズと同形状のためにレンズワークが更にリニアにできる。最近ではLIVE収録にシステムカメラにプラスワンとしてFX9を導入することがあるが、このレンズならシステムカメラと同様のワークができるはず。個人的にも興味ある一品だ。

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エーディテクノ:Blustream社製品

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音響の現場では既にDanteのソリューションは確率されているが、遂に映像もDanteで構築されたシステムの中に組み入れ可能になったのがDante AV Ultraだ簡単に言えば既存のIP網に紛れ込ませて映像のIN/OUTをするだけなのだが、これは映像の単体と言うよりLIVEや舞台等のグループワーク的な現場で活躍するはずだ。単純に音響さんにPGM等の映像を渡すときにSDIを引き回すことなくLANケーブル1本で済んでしまうのはお互いにメリットでしかない。

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パナソニック コネクト:Media Production Suite Video Mixerソフトウェアキー「AW-SF400G」

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同社のPTZカメラに対応している基本ソフトウェアに追加するプラグインソフト。クロマキーを使わずに背景が動きの在るもの以外であればどんな場所でも合成ができる。原理的には何もない空間をキャプチャーすることによりその空間で動くものをAIで認識しキーで抜くという単純な話だがそれをリアルタイムでできるのがこのソフトの優秀なところ。

その代わりPCには(特にGPU)相当の負荷が掛かるので少なくとも最新のGPUを搭載する必要があるだろう。※今なら30日間のフリートライアル期間なので興味のある方は同社HPより確認してほしい。

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イメージニクス:HDMI–USB 変換機「CRO-H1USB」

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イメージニクスと言えば、配信系の方々であれば信号変換等をデフォルトで持っているのではないか?その中から今回はHDMI信号をUSBに載せるというシンプルな物。そのまま実践に持ち込んでも活躍すること間違い無い。

またPIP-U2と言うPinP含む2画面合成に特化したスイッチシステムの展示。これはAバスに本線、BバスにPPT等の映像を入れ最終段で簡単にPinPやサイドバイサイド等ができる。配信系セミナーを生業としている方には朗報的な機材だ。

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日本ビデオシステム:MASTERLINEシリーズ「光JEEP」

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日本ビデオシステムは、PROTECHと言った方が馴染みがあるだろう。社長が自分で必要なものを作るというコンセプトで、当然業界全体で使いたい物だったりするのが面白い。

今回のメイン展示、MASTERLINEシリーズ 光JEEPは光ケーブル1本で映像・音声・コントロール信号・アナログ・デジタル何でもありでIN/OUTできる。正に誰もが欲しい機材だ。

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銀一:カメラスタビライザー「STEADICAM AXIS」

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以前からステディカムの上位機種にはVOLTシステムと言う2軸のバランスシステムを組み込んだ製品があったがそれはあくまでもオプション扱い的な組み込み型のジンバルだった。今回のAXISは2軸に更に1軸を加えた3軸のシステム、それをさらに完全に組み込む形での計上となった。

大きさやペイロード的には筆者も所持しているゼファーとほぼ同じ、アームやベストもほぼ同じ物を使ってる。そのためなのか価格も最終型のゼファーと同じの200万円プラス位の値段。これだけの進化でほぼ価格据え置きは凄い。2系統SDIライン在るので中継リターンモニターも簡単に設置でき来る。

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平和精機工業:PTZカメラ用電動ペデスタルLX-ePed/FPR1

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昨年販売されたPTZ向けのペデスタルシステム(実は三脚の分類では無いことをQBEEで知った)のアップグレードバージョン。今までの手動でのコントロールを2ペダル式の脚踏みコントローラーが新登場。PTZのコントロールで両手が塞がるのでペデスタルのコントロールは空いている足で行うと言うもっともな理由。しかしその恩恵は大きいだろう。ケーブル長は最大で300m迄は動作確認済とのこと。大概の現場なら十分な距離だ。

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総評

4月開催の北米NABshow、5月開催の韓国KOBA SHOWとひと月ずつ放送機器の展示会はあるがQBEEは、その年のちょうど真ん中で折り返し地点のような展示会と言える。新製品は少ないかと思われたがそんなことはなく、やはり各メーカーとも出すタイミングを考えているのを実感した。

会場自体は広くも狭くもなく1日で全てのメーカーを巡回可能な広さなので九州地区、特に学生の方にはハイエンドの機材を見る機会でもあるのでぜひ来年は現地に来て欲しい。当然我々MonkeyHills(岡英史&猿田守一) も2025年も現地にいるので、気軽に声を掛けて欲しい。