上映作品ラインナップより注目作品ピックアップ

今年もSXSWでは、多彩なジャンルの作品が幅広くラインナップされ、合計200本以上の作品が上映されます。上映部門は、大きく以下の4つに分類されます。

  • Feature Film Section(長編映画)
  • TV Screening Sections(TVシリーズ)
  • Short Film Screening Sections(短編映画)
  • XR Experience Screening Sections(XR作品)

さらに細かく分類すると、全23のカテゴリーに分かれています。

SXSWの音楽フェスティバルは、インディーズミュージシャンが世界的にブレイクするきっかけを掴む場として知られていますが、映画祭においても同様に、個性的で挑戦的な作品が多くラインナップされるのが特徴です。特に近年は、ホラー作品の充実ぶりが際立っています。上映作品の一覧はこちらのページをご覧ください。

Austin Convention Centerのエントランスには、今年の上映作品のポスターが展示されています。

人気俳優やアーティストが手掛ける新作映画のプレミア公開

「ヘッドライナー」と呼ばれるカテゴリーでは、人気俳優が出演する話題作や、著名な監督による新作がラインナップされます。これらの作品は、映画祭のメイン会場であるParamount Theaterで上映され、監督や出演者がレッドカーペットに登場する華やかな演出も見どころの一つです。その姿をひと目見ようと、多くの観客が詰めかけ、映画祭全体の熱気が最高潮に達します。

今年特に注目される作品を、いくつかピックアップしてご紹介します。

Another Simple Favor

Anna Kendrick主演のPrime Videoの新作映画。2018年公開の作品「A Simple Favor」の続編となるお話で、女同士の復讐を描くホラー作品です。初日の上映にはAnna Kendrickがレッドカーペットに登場しました。

Death of a Unicorn

A24が手掛ける新作コメディホラー映画。SXSWでは、A24は2023年にEverything Everywhere All At Onceをプレミア公開し、翌年のアカデミー賞を受賞したことで一躍有名になりました。今年の作品にも期待できそうです。

Holland

Nicole Kidman主演のPrime Videoの新作映画。アメリカのミシガン州ホランドという田舎町に引っ越した家族に訪れる恐怖を描くスリラー作品です。上映は現地時間の9日に予定しており、Nicole Kidmanのレッドカーペットにも期待が集まります。

Ash

ミュージシャン、音楽プロデューサーとして活躍するFlying Lotusが監督するホラー映画が登場です。トレイラー映像からは、エイリアンシリーズのような宇宙船内で繰り広げられるSFホラー作品が想像できます。Flying Lotusは自身のライブで様々な新しい映像表現のチャレンジをしているので、映画の中ではどんな音楽と映像の表現をするのか今から楽しみです。

カンファレンスの重要テーマとシンクロするドキュメンタリー作品

SXSWで行われるカンファレンスセッションでは、先端技術や社会課題に関する議論が活発に行われています。映画祭のドキュメンタリー部門はそれと呼応するように、私達の社会が抱える課題を描き出し、問題提起やメッセージ性の高い作品が並びます。ドキュメンタリー部門の上映作品の中からも、いくつかピックアップしてご紹介します。

The Age of Disclosure

アメリカの元政府機関職員や、元軍人34名のインタビューを集めたUFOに関するドキュメンタリー。カンファレンスではNASAの宇宙飛行士が登壇するセッションが開催されたり、宇宙に関する技術的な議論が行われている一方で、映画祭ではUFOに関するドキュメンタリーが上映されるというのもSXSWの面白さと言えるでしょう。

Seen & Heard

俳優であり映画プロデューサーでもあるIssa Raeによる、アメリカの映像業界で活躍する黒人達の姿を描くドキュメンタリー作品。Issa Raeはアメリカでとても人気のある俳優で、カンファレンスのKeynoteとしても登壇が決まっています。

Deepfaking Sam Altman

Sam Altman本人へのインタビューを断られたという作者が、代わりに彼の発言を学習させたAIを作り、そのAIに対してインタビューをする様子を描くというちょっと変わったドキュメンタリー作品。OpenAIのCEOであるSam AltmanはSXSW2024のカンファレンスに登壇し、AIと人間の関係性について語っていたので、彼に対する皮肉的な意味合いが込められているのかもしれません。

Dear Tomorrow

デンマーク出身の監督による日本を舞台にしたドキュメンタリー作品で、孤独を抱えながら生きる人々の様子を映し出します。近年のSXSWのカンファレンスではメンタルヘルスの問題に関する議論が活発になっており、映画祭のセレクションにもそれが表れているように思います。また、海外から見た日本がどのように捉えられているのかについても気になります。

さらなる注目作品を求めて

今回紹介した他にも、短編作品やミュージックビデオなど、SXSW2025では様々な映像作品がラインナップされています。この中から来年のアカデミー賞や、日本でも話題となるような作品が現れるのでしょうか?

XR部門の作品については別の記事で取り上げるのでそちらもお楽しみに。