明日9月17日、富山で「北陸放送機器展2026」が開幕する。

今年で3回目。第1回から追いかけている身としては、「もう3回目なのか」という気持ちと、「ここまで来たか」という気持ちが入り交じる。そして今回、富山にやって来て最初に感じたのは、やっぱり富山はいい、ということだった。

東京から富山までは北陸新幹線「かがやき」で約2時間。遠そうに思える富山だが、実際に来てみると決して遠くない

東京から北陸新幹線で富山駅に着く。駅を出れば街の向こうには山があり、少し足を伸ばせば海がある。そして食べ物がおいしい。放送機器展の取材で来ているはずなのに、機材を見る前から富山という場所そのものに気持ちを持っていかれる。

富山は街がきれいで、どこかゆったりとした空気が流れている。展示会取材で訪れても、少し立ち止まって街を歩いてみたくなる場所だ

第1回の頃は、「北陸で放送機器展をやる」ということ自体に新鮮さがあった。しかし3回目となる今回は、北陸で開催される機材展示会という枠を超え、映像、音声、伝送、ネットワーク、IP、配信、PAなど、現在のメディア制作を取り巻くさまざまな技術が集まるイベントへと育ってきた。

そして今年、大きく変わったことがある。会場だ。昨年までの富山県民会館から、今回は富山駅北側にある「オーバード・ホール/中ホール」へと舞台を移した。

今回から新会場となったオーバード・ホール/中ホール。富山駅北口から徒歩圏内というアクセスの良さも特徴だ

富山駅から会場へ向かいながら、「今年はここでやるのか」とちょっとワクワクした。展示内容はもちろん重要だが、会場が変わればイベントの見え方も変わる。3回目というタイミングで新会場へ移ったことで、北陸放送機器展が次の段階へ進もうとしているようにも感じられる。

さらに面白いのが、その会場そのものだ。オーバード・ホール/中ホールは、普段は演劇やコンサート、バレエなど、さまざまなイベントに使われている劇場空間である。その場所が今回は放送・映像機器の展示会場へと姿を変える。普段は観客が舞台を見つめる空間に展示ブースや機材が並んでいく光景は、なんとも不思議で新鮮だ。

開幕前日のオーバード・ホール/中ホール。翌日の開催に向け、劇場空間で各社の展示ブースや機材の設営が進められている

今年のテーマは「Smart Link:/広がる。メディアの新たな可能性」

今回のテーマは「Smart Link:/広がる。メディアの新たな可能性」。今年の展示内容をかなり素直に表しているテーマのように思う。個人的に今回注目しているのは、単体のカメラやモニターといった「機材」だけではない。カメラから映像をどう送り、どうつなぎ、どこで処理し、どう届けるのか。その一連の流れまで含めて見ていくと、今年の北陸放送機器展はかなり面白そうだ。

例えばIIJは今回初出展となり、MoIP(Media over IP)を見据えたネットワーク基盤の構築や映像伝送、監視・運用など、放送のIP化に向けたソリューションを紹介する。日本ラッドはAV over IPやNDIを含むネットワーク映像伝送に加え、48倍ズーム対応の全天候型PTZカメラや5Gボンディングエンコーダーなどを実演展示する予定だ。

エーディテクノでは、12G-SDI光延長器シリーズ、HDMI to 12G-SDIコンバーター、10倍ズーム対応オートフォーカスライブカメラ、Dante AV Ultra関連製品などを展示する。さらに音響分野では、キクタニミュージックがElectro-VoiceやDYNACORDのPA関連製品を展示する。カメラだけを見て終わる展示会ではない。撮影から伝送、IP、音響まで、一つの会場を歩きながら現在の制作環境を横断して見られる。そこが今年、特に楽しみにしているところである。

スペック表だけでは分からないものを探したい

東京の大規模展示会では、とにかく出展数が多く、「全部見なければ」と歩き回っているうちに一日が終わってしまうこともある。しかし北陸放送機器展では、メーカーや担当者との距離がもう少し近い。気になった機材を触り、「これ、実際の現場ではどう使うんですか?」と話を聞く。そこでさらに気になるものを見つけて、次のブースへ向かう。そんな展示会ならではの楽しみ方がしやすい。

特に今年は、IBC 2026が終わった直後というタイミングでもある。アムステルダムで見てきた最新技術の流れと、富山に集まる機材やソリューションがどうつながるのか。世界規模の展示会を見た直後だからこそ、今度は北陸の現場に近い場所で見比べてみたい。

巨大なシステムや華やかな新製品だけが「最新」ではない。少人数の現場で本当に使えるもの、地方局やCATV、映像制作会社にとって現実的なもの、人手不足を補えるもの、これまで面倒だった作業を少し楽にしてくれるもの。そういう「現場に持ち帰れる最新技術」がどれだけあるのか。明日は、そこを細かく見て回りたいと思っている。

そして展示会で面白いのは、事前には予定していなかったものとの出会いだ。完全にノーマークだった製品の前で足が止まり、「何だこれ?」と思って触ってみたら妙に面白い。担当者に話を聞くと、実はかなり尖った製品だった。PRONEWSの展示会取材では、むしろそんな瞬間が一番楽しかったりする。

今年の富山では、何が出てくるのか。カメラなのか、IPなのか、音なのか。それとも、まったく予想していなかった何かなのか。第3回を迎え、会場も新しくなった北陸放送機器展。明日から2日間、オーバード・ホールを歩き回りながら、カタログやプレスリリースだけでは分からない「実際に見て面白かったもの」を自分の視点で探していく。

富山まで来たからには、スペックだけを並べた記事にはしたくない。触って、聞いて、驚いて、時には「これは何に使うんだ?」と首をかしげながら、今年の北陸放送機器展を楽しんでみたい。

さて、第3回北陸放送機器展には何が待っているのだろうか。明日の開幕が楽しみである。

北陸放送機器展2026 開催概要

  • 名称:北陸放送機器展2026(HokurikuBEE 2026)
  • テーマ:Smart Link:/広がる。メディアの新たな可能性
  • 会期:2026年9月17日(木)10:00~18:00、9月18日(金)10:00~17:00
  • 会場:オーバード・ホール/中ホール(富山県富山市牛島町9-17)
  • 主催:神成株式会社 AVC事業部
  • 協力:株式会社PRONEWS
  • 入場料:無料(全来場者登録入場制)

北陸放送機器展2026 出展社一覧

北陸放送機器展2026には、オーディオ/アクセサリー、クリエイター、ネットワーク/ソリューション、映像制作/放送関連機材の各部門から出展社が集結する。出展社およびブース番号は以下の通り。

ブース 部門 出展社
A-01 オーディオ/アクセサリー部門 ノイトリック株式会社
A-02 オーディオ/アクセサリー部門 シュア・ジャパン株式会社
A-03 オーディオ/アクセサリー部門 サンワサプライ株式会社
A-04 オーディオ/アクセサリー部門 花岡無線電機株式会社
A-05 オーディオ/アクセサリー部門 キクタニミュージック株式会社
C-01 クリエイター部門 じおらま富山
C-02 クリエイター部門 TOYAMA MUSIC FORCE
N-01 ネットワーク/ソリューション部門 ネットギアジャパン合同会社
N-02 ネットワーク/ソリューション部門 株式会社インターネットイニシアティブ
N-03 ネットワーク/ソリューション部門 ティーピーリンクジャパン株式会社
N-04 ネットワーク/ソリューション部門 エレコム株式会社
N-05 ネットワーク/ソリューション部門 TOA株式会社
V-01 映像制作/放送関連機材部門 LYNX Technik
V-02 映像制作/放送関連機材部門 アツデン株式会社
V-03 映像制作/放送関連機材部門 株式会社アプコット
V-04 映像制作/放送関連機材部門 ブラックマジックデザイン株式会社
V-05 映像制作/放送関連機材部門 株式会社ブレーンズ・システム
V-06 映像制作/放送関連機材部門 エヌ・イー・ピー株式会社
V-07 映像制作/放送関連機材部門 ヴィデンダム株式会社
V-08 映像制作/放送関連機材部門 日本ラッド株式会社
V-09 映像制作/放送関連機材部門 株式会社RAID
V-10 映像制作/放送関連機材部門 株式会社JVCケンウッド
V-11 映像制作/放送関連機材部門 株式会社エーディテクノ
V-12 映像制作/放送関連機材部門 ローランド株式会社
V-13 映像制作/放送関連機材部門 キヤノンマーケティングジャパン株式会社
V-14 映像制作/放送関連機材部門 パンダスタジオレンタル
V-15 映像制作/放送関連機材部門 富士フイルムイメージングシステムズ株式会社