全方位クリエイティブのチューナーとして機能するDVJ BUZZ TV始動!

いつの時代にも、創造者たちの『ものづくり』への情熱は、新たな技術やアイディアに刺激されながら、次の何かへと突き進む新たなイマジネーションから生まれてきた。

映像を創る人たちには、いま大きな変革期が訪れている。従来のビデオ機器からSilicon Imaging社やRED Digital Cinema社といった、ファイルベースでデータを扱う新たなデジタルシネマカメラの台頭は、いまやハリウッドのみならず日本の映画製作者たちにも大きな変革をもたらしている。さらにキヤノン5D MarkⅡなどのデジタル一眼レフで動画収録という手段もある。大型CMOSカメラはこれまで多くの制作者が待ち望んでいた画質や個性的な画作りを実現出来る。しかし、それを流暢に使いこなすのは至難の業だ。編集環境もファイルデータベースのノンリニアエディットシステムが主流となり、これまでのノウハウがそのまま使えない。テレビ制作者は、ドラマ収録等ではもともとポストプロダクションでのカラーコレクションという概念が無かったが、こうしたカメラの台頭により、すでに新たなテクノロジーの習得を余儀なくされている。さらにはFLASHに代表されるWebテクノロジーやモバイルといったデリバリーにもマルチな配信技術の共有と、そのプロデュース能力が求められる。とにかく!映像制作者を取り巻くこれからの制作環境は、更なる複雑なデータとその使い方を、常に更新しつつ操りながら、それから導かれるセンスを磨く修練を求められる。

この多くの情報量とどうつきあえばいいのだろうか?そして自身のクリエイティビティをどうコントロールしてゆけばいいのか?それが、今という時代である。

コラボレーションで生まれる力を信じて

時同じくして、筆者が編集長だった映像雑誌DVJ(DVJAPAN)が2009年3月に休刊した。デジタルビデオの進化とともにクリエイター達の真実の軌跡を、時代のセンスと呼応しながら描き続けてきた。しかし、クリエイティブのレーダーとなるべき存在への要求は、いまこそ切望されている。そこに託されたミッションを試行錯誤した結果、DVJ BUZZ TVを始動した。リアルなライブイベント×モバイル×Webコミュニケーションを活用した、というコミュニケート・チューナーである。ラジオ電波のように、無造作に流れる情報とトレンドを、自身の周波数にチューニングするための「場」、それがDVJ BUZZ TVだ。

ライブイベントの定例開催を基本活動に、いまクリエイターが必要としている情報をオーガニックにつなぐ新たなスタイルのコミュニティとして存在させたいと思っている。さらにイベントはクリエイターだけでなく、一般の人の誰でもが楽しめるエンターテインメントな参加型イベントとして、『映像的ものづくり』の楽しさを伝えて行きたい。リアルな感触はライブイベントで体感し、必要なデータはモバイルそして、Pronewsをはじめとするwebが用意されている。また場所の共有が難しい人にはライブストリーミングでの参加もOKだ。

しかしこれはメディアとは言い切れないかもしれない。DVJという冠はあるがこれまでの雑誌とは全く別物である事をお断りしておく。現にwebメディアであるPRONEWSとはコラボレーションをしている。今は、旧時代的な囲い込むという時代ではない。自分の得意な領域でコラボレーションする方が賢明であり、ミッション完遂への近道だと思っている。

イベントで感じるリアルな手ごたえ

先日4月8日にアップルストア銀座で行った初回イベントが大盛況となったことは、さらに確信を得る結果となった。さらにストリーミングサイト『Stickam』協力のもと、ライブストリーミングを敢行!総視聴者数1110人を超えたという。何かしらの手応えと可能性を感じている。とりあえず船出は上手くいったようだ。さてここからどうして行こうか?新たなクリエイティブ・コミュニケートの姿を追い求め、次々と面白い企画を投げかけて行きたいと思う。見えない明日を考えるより、いま出来る事をやって行く、結果は何かしら付いてくるだろう。この連載とイベントの幸せな関係を通して、創造者たちの『ものづくり』への情熱を応援していこうと思っている。


次回開催は5月8日(金)アップルストア渋谷にて開催予定だ。

次回開催は5月8日(金)アップルストア渋谷にて開催予定だ。

WRITER PROFILE

石川幸宏

石川幸宏

映画制作、映像技術系ジャーナリストとして活動、DV Japan、HOTSHOT編集長を歴任。2021年より日本映画撮影監督協会 賛助会員。