梅雨、あまりの湿度に自宅で1人、溺れ死にそうになっております永子ママです。さて、今月は、本当に素晴らしい仕事だなあ、と感服致してやまないCMをご紹介いたします。すでに各方面で話題になっております。そうです、ポカリスエットのCMです。
ポカリスエットCM |砂漠篇
https://www.youtube.com/watch?v=yRmZrUA7PhIただただ、かっこいい、ハイセンス、素晴らしい、の一言に尽きる!ドバイで空撮したというダイナミックな映像に、toeによるエッジの効いた楽曲、北野武の存在感、訴求したいメッセージ、すべてを30秒に凝縮させた世界観のクオリティーたるや、テレビで見かける全映像の中でも群を抜く!
CMは、大人の事情より映像制作に自由がないと解釈されることが常ですが、とんでもない誤解。経験とスキルのない未熟者には得られない、プロのみが獲得可能な自由がある。
大塚製薬という大企業の人気商品、出演者の北野武、全国区に渡るオンエア地域、オンエア回数など、かなり大規模なCMの企画に、コアな音楽ファンから絶大な人気を誇るtoeを起用し、感覚的にビューアーを引きつけて尚、訴求したいメッセージを的確に伝える、つまり、必要なハードルを全部クリアした上でスタイリッシュな映像美を提供する。これこそがプロの仕事!まさに、Good Job!
制作はライトパブリシティー、演出はサノ☆ユタカ氏、撮影は田島一成氏。さすがの手腕! 続編も素晴らしい。
ポカリスエットCM |サボテン篇
唄はKaren O、ナレーションは大橋トリオ。
ポカリスエットCM | たけしと少年 篇
こちらにはTommy Guerrero&shingo02の超ゴージャスコンビが登場!ファンタジー!
いずれも視聴覚にぐっと来る。商品のブランドイメージもぐっと上がる。完璧。
音楽と映像のマッチングが気持ち良い映像といえば、MVを思い浮かべる人が多いと思いますが、そもそも映像って「オーディオ」と「ビジュアル」で構成されている訳で、映画も、ドラマも、MVも、CMも、Webも、視聴覚情報の絶妙なマッチングによってそれぞれの世界観を構築しているため、MVだけが音感に長けた映像とはいい難い。他の分野にも適した音感があり、音感への鋭い嗅覚がなければ、映像作家を名乗れないと、私は思う。
MVが音主導であることは当然なんだけれども、故に「ビジュアル」サイドがオーディオを演出することはなかなか難しい。「オーディオ」は管轄外、「ビジュアル」のみを作る、と、両者を分断する解釈で作られたMVは「映像作品」とはいえないのでは? ましてや「自由度の高い映像」とは断言できない。
「自由に映像を作る」という表現に相応しいのは、映像を作るという目的を先行させて音楽とビジュアルを紡ぐ、下記のような作品のことを指すのではないかな。
DVD dream in midair – Trailer
ROVOのヴァイオリン奏者勝井祐二と、ROVOの映像担当作家迫田遥による共同作品。Uplinkより発売中です。
気持ちいいーね。視聴覚の両者がメルトして1つの作品を作り出す行為は、非常に美しい。音楽と映像の共存を目指して作られた「映像の自由」をひしひしと感じます。 こちらも素敵ですね。
高橋酒造の本格米焼酎「白岳しろ」Web Movie 「SHIRO Cheers System」
http://cheers-system.jp/ディレクションは児玉裕一監督。お家芸ともいえるミュージカル感覚炸裂。MVで培った音感を、他ジャンルでもいかんなく発揮。
音とビジュアルを制して初めて「映像作品」は成立する。「映像」を作る人とは、ビジュアルだけを作る人にあらず。音と映像を作る人、あるいは、音と映像をコンダクトする人。
ポカリCMも、演出意図にふさわしい音楽を作る責任を全うしている。制約も視聴覚のセンスもまるごと飲み込んだ結果、与えられし者にしか得られない自由を獲得しています。