Ustream Producerを数字ショット名にしてファンクションキーでスイッチングするという方法
ライブ配信でマルチカメラ中継の場合、スイッチャーをどうするか?というのは大きな問題です。テレビ局の仕事や業務用ライブ映像などに慣れている人なら業務用スイッチャーを借りてスイッチングするのが一般的でしょう。しかしコンパクトな機材でマルチカメラを行う場合、ローランドのVR-3などを使うかUstream Producer Pro/StudioやWirecastなどを使ってスイッチングすることになります。
後者の場合、ソフトウェアでスイッチングするのでマウス操作が基本となりますが、オートGoにしてあったとしてもハードウェアスイッチングのようなタイミングではなかなか出来ません。そこでオススメなのがUstream Producer Pro/StudioとWirecastで使えるショートカット機能です。これはショットを数字からはじまるショット名に書き換えておくことによってファンクションキーでダイレクトにスイッチングできるようにするもの。MacでもWindowsでも共通です。ショット名を1、2、3としておけばF1、F2、F3でダイレクトにスイッチング出来るのです。これならば瞬時に切り替えたい音楽ライブなどでも使えそうです。ただし、リアルタイムにそれぞれのショットが動画としてプレビューされているわけではないので、カメラの位置をきっちり把握した上で現場を見ながら切り替える必要があります。マルチモニターを使わない場合のV-4やV-8のような感じ、と言えばVJ経験のある人ならわかってもらえるでしょうか?
キーボードによるスイッチングはファンクションキーだけではなく、Alt+10キー(Macはoption+10キー)でも可能です。パソコンのコントロールパネルでこれを1キーで動く設定にしておけば、Bluetoothなどのテンキーでも切り替えることができます。こうすると配信から撮影、スイッチングまでひとりでやらなければならない中継現場でも、カメラを操作しながらBluetoothテンキーでスイッチングすることができて便利です。
中継現場の裾野はどんどん広がっていますが、まだまだカメラの台数分のスタッフを手配できるほどの現場は少ないのが現状。ひとりでどれくらいのことを同時に出来るか?は人員節約の苦肉の策ではあるものの、ある種のトレーニングにもなります。スイッチングをすることで、どこにカメラを置いたらいいかを考えることができるようになります。また撮影をしているとどこでどのカメラの絵をスイッチングしたらいいかもわかってきます。
予算が潤沢にある場合にどう分業したらいいかも考えられるようになるので便利です。Facebookにある「ネット配信部」ではこのTIPSから様々な応用が生まれ、プログラマブルテンキーなどを使ってショットの中に含まれる特定のタイトルレイヤーをテンキーから呼び出す方法なども生まれています。
ソフトウェアによるマルチカメラの可能性はMonsterX
Liveなどの安価なHDMIキャプチャーデバイスの登場で可能性も広がりつつあります。たとえば2台のHDカメラを2台のMonsterX Live経由で配信パソコンにUSB接続することで、デジタルキャプチャー2カメがスイッチャーなしで実現できます。簡単なセミナーや講演会などは2カメでも充分ですから応用範囲も広がります。
私はUstream関連書籍の著作も多いのですが、配信ソフトは半年ごとに進化してインターフェイスが変わりますし、書籍では初心者向けに基本的なことを中心に書くことになります。中継を何回もやっているとより本格的な、しかし手軽な方法でテレビや映画で見慣れている手法を真似したくなるものです。その時に必要な情報をコンパクトにまとめて掲載したい。それが「ライブ配信手帖」の目的でもあります。今回ご紹介した知られているようで知られていない「Ustream Producerを数字ショット名にしてファンクションキーでスイッチングするという方法」も掲載予定です。手帖は鋭意編集中。春ごろにはお披露目できそうです。