配信卓スペースマネージメントを考える
最近、個人的に頭を悩ますのは、ZoomやTeamsのようなビデオ会議システムを用いた「ウェビナーにおける配信卓スペースマネージメントの難しさ」です。いざ現場へ行ってみると予想以上に配信卓となるテーブルのスペースが狭く、必要となる機材たちをどのように配置するか?で最初に頭を悩ませることがあります。
もちろん、依頼された要件を満たすために必要な機材の配置スペースがどれくらい必要となるかを予測し、事前の調整(=現地下見の段階など)で知らせておく事前の根回しは大切です。ただその段階からプロジェクトには参加することができなかったり、諸々の調整をしている人が不慣れな場合は、意思疎通もままならず、結果的にお互いで齟齬が起こるかもしれません。
そもそもZoomやTeamsはPCやスマートフォン一台で手軽にできるものです(相手へ伝わる自身の映像や音声のクオリティはさておき)。製品発表会や講演会などでZoomなどのウェビナーの配信現場へ機材を並べると「こんなに機材が必要なのね」とビックリされることも多いです。長いテーブル(横180cmぐらい)ひとつあれば十分なのだろうと、クライアントの方達が思ってしまうのは無理のないことです。
そんな現場で長いテーブルひとつだけ置かれていた場合、まずは配信卓スペースを広げることができるかどうかのお願いをさせていただくことがスタートでもあります。とはいえ、現場によってはレイアウト上、スペースに限りがあって配信卓が狭くなってしまうこともあります。配信の業務を担当する私たちがトラブルなくミッションを遂行するため、与えられたスペースをいかに機材を効率よく配置し、配線をして操作をできるようにするかは、毎回毎回現場が変わるごとに頭の中でシミュレーションをし、工夫を重ねることは楽しくもあり、難しいところです。
この「配信卓スペースのマネージメント」はライブ配信やウェビナーの配信のプロジェクトをトラブルなく終えるための重要な要素のひとつであると思うのです。
ウェビナーの現場ではなぜPCが並びがちなのか?
YouTube Liveなどのライブ配信の現場に比べ、ZoomやTeamsのようなビデオ会議システムを用いたウェビナーの現場ではPCがとにかく多く並びます。
いや、ライブ配信の現場でもPCが多く並ぶことはもちろんあるのですが、カメラやマイクも少なく、ビデオスイッチャーもコンパクトで済むような小規模のウェビナーの配信であっても、PCはなぜか台数を必要とすることが多いのです。
ライブ配信の現場では近年、専用のストリーミング機器を用いることで、配信の安定性を得て、スペースも比較的コンパクトに収めることができ、結果、現場へ持ち込むPC台数も減るようになりました。とはいえ、やはりウェビナーの現場では配信の役割を担うのはPCだからです。
ホスト権限PC1台だけならまだしも、パネリスト権限のPCや視聴者権限のPCが必要となり、これに加え、これまでのライブ配信の現場と同じように、進行用スライドが入ったPCや、ビデオスイッチャーをコントロールするためのPCも置けば、気がつくと3台、4台、5台…と配信卓スペースに並べるPCの数は(規模のわりに)増えていくのです。もう、ウェビナーの現場では配信卓スペースがとにかく必要となることが本当に多いのです(悲)!
「機材たちを配置したらどのぐらいのスペースが必要となるのかは予測し、事前の調整(=現地下見の段階など)で知らせておく」ことで、スペースが許されるならば予めテーブル(横180cm×奥行60cm程度)を横並びで2つ、縦に2つ重ねてもらうことでなるべく広い配信卓スペースを確保することができると、2台のノートPCを手前と奥に並べて(重ねて)置くことが可能となります。
でも、横幅はもちろん、奥行きが広がったことで、上の写真のように2台のノートPCを手前と奥に並べることはできるものの、この状態では、奥のノートPCをコントロールしたいときに手前のPCのディスプレイを少し閉じて操作をしなければならないため操作性が悪かったり、手前のノートPCのディスプレイが邪魔してしまうことで奥のノートPCのディスプレイの視認性が悪くなってしまいます。
そこで、最近は奥に配置するノートPCやモバイルモニターをスタンドを用いて上へ持ち上げ、スペースを有効活用する試みをしています。
試行錯誤で限られた空間を広げてみる
最近、私が導入したのが、折りたたみ式の「DJ用のPCスタンド」です。「高さをあげる」ことができ、「できるだけコンパクト」で、「パッと広げたりたためる」ことができる、そして、「なるべく軽い」という点などを総合的に考慮した結果、私はいまのところ、上の写真のRELOOP Stand Hubという折りたたみ式のDJ用パソコンスタンドがお気に入りです。
RELOOP Stand Hubがお気に入りとなった理由のひとつに「高さがちょうど良い」ということがあります。
コの字型に開くタイプの折りたたみ式のDJ用のPCスタンドはそれぞれの製品で高さが異なります。RELOOP Stand Hubは下段に15インチのノートPCのディスプレイを開いたちょうど良い高さのところに、上段にノートPCをおくことができ、「高すぎず、そして低すぎない」ところがとても良いのです。
ちなみに、RELOOP Stand HubにはUSBのハブポートも備わっています。わたしは使う機会がまだありませんが、用途によってはこうしたUSBのハブポートを活用することで、ケーブルの煩雑さも少し軽減することができるかもしれません。
RELOOP Stand Hubは残念ながら多くあるDJ用PCスタンドの中でも値段感がちょっとお高い。お高いけれども、他のものと比べると質感も良いように感じますし、現場でパッと開いてすぐに設置ができたり時間もかからないことを考えると個人的には買ってみて良かったと思える、現場では欠かせないアイテムのひとつとなりました。
もちろん、上(うえ)空間の有効活用としてはもちろん機材を入れるプラダン(=プラスチックダンボール)などを使って高さを上げる方法もありますが、プラダンの場合はその下の空間はプラダンで完全にスペースを取られてしまいます。
RELOOP Stand HubのようなDJ用パソコンスタンドのほうが、奥のノートPCの位置が上がることによって、その下の空間にはケーブルを通したり、ちょっとしたコンバーター類を置くこともできる利点も増えます。
欠点はDJ用パソコンスタンドが必要となる数が増えれば増えるほど、当たり前ですが荷物重量が増え、運搬が大変になります。DJ用パソコンスタンドを持ち運ぶようになってから、奥置のノートパソコンの操作性や視認性が上がったことによって、現場で起こりがちな煩わしさはかなり軽減されました。
ライブ配信にせよ、ウェビナーの配信にせよ、現場における配信卓スペースマネージメントの仕方は人それぞれです。将来的には、現場での機材セッティングの所要時間を減らすためにラックマウントへ収めてしまうことも考えていますが、人それぞれの個性ある配信卓スペースマネージメントを現場で見るのはとても勉強になるのです。