アワードと言うより気になった物?!
ネットもTVも年の瀬ムード!師走である。やはり師走は、忙しい!非常に多忙だ。11~12月の撮影終了した物の後処理(編集等々)に毎日が翻弄されている日々。PRONEWSでも恒例のアワードを開催している。この1年の最後に「ミドルレンジ的2013アワード」と題して、2013年を振り返り、個人的に気になった物をチョット取り上げてみたい。
EDIUS Pro 7
NLEとしてはイマイチ認知度が少なかったEDIUSもここに来て完全に盛り返したと言える。日本が開発拠点になり、EDIUSは本当にバージョンが上がる度にワクワクする物ばかりだ。EDIUSのバージョンは、奇数ナンバーが本命、偶数ナンバーが開発バージョンと噂されてきたのだが、この秋に発表された物は当に「7」の奇数番号。
今回のバージョンはI/Oを含めた表面的に大きな進化は見られないが、その分内部構造的に64bitに完全対応し、その恩恵はCPUを効率よく使用してネイティブ編集を可能にしている。今時のNLEならネイティブ編集は当たり前かも知れないが、EDIUSは特にMPEG系の素材なら何でも構わず放り込めばタイムライン上でそのまま編集作業に入れる所が魅力だ。
もちろんプロジェクトも編集中に変更しSDからHDへのアップコンもレンダリング無しでそのまま出すことが出来る。更に今回のバージョンから4Kへの正式対応(実際は前バージョンから可能)でSDから4Kまでをシームレスに行うことが可能になった。EDIUSはGPUよりもCPUにそのウェイトを置くために、VGAの弱いノートPCでもCPUが早ければ4Kも編集が可能になる。
筆者の4K編集環境は一世代前のノートPC(Core i7)だが重いと言われるXAVCフォーマットでもネイティブで動かせてしまう。カメラではハンドヘルド4KとしてSONYのZ100やJVCのHMQ10のように、ミドルレンジでも簡単に手が出せる物も出現し、これらとEDIUSを組み合わせることで街のビデオ屋さんでもしっかりと4Kフォーマットに手が出せるようになったのは本当に嬉しく思う。
RIGセットアップ
今年は色んなカメラに触る機会が非常に多い年だった。とは言えARRIやF65などシネマ系カメラではなく、ミドルレンジでも扱うことが出来そうなカメラを中心にだ。最上位機種でいうとF55とC500というラインアップ。中でも多いのはハンドヘルド系だろう。ハンドヘルド=ハンディカメラと言う図式は、今は通用しない。例えばノートPCといえども17inchモニター採用の物は既に“ノート”感覚で持ち運び不可能な様に、ハンドヘルドといえども片手で安定撮影はかなり難しい。
そこでRIGを組み込むことになる。今までこの手のRIGはシネマカメラをショルダー使用する考えが一般的だったが、最近のRIGメーカーはそこから一歩出たガジェットが多くなっている。しかも中華製の安い剛性の無い物ではなく、しっかりとしたメーカーでも安価になり揃えやすくなっている事は嬉しいところ。
今年の機材レポートで写真の5セット、更に色々なテスト撮影、技術協力を入れると10種類以上のカメラにRIGを組み込んで運用している。海外風に言うと「カメラテクニシャン」と言うポジションにもなるらしい。色々セットアップした中で一番印象に残ったものは、4KハンディカムでもあるZ100をショルダータイプに運用した物だ。InterBEEでの取材がかなり楽になった。もう一つはCanon EOS-1D Cをショルダー運用するための物。所謂DSLRスタイルをバランス良く組むのは中々難しい。この時に役立ったのはマンフロットSYMPLAシリーズ。特に電動フォローフォーカスは数あるE・フォーカスの中でも使い勝手が良い。既製品を組み込んでもしょうがないだろ?と言う意見も聞くがその組み方によっても色々違いが出る物なのでその辺は各々試して貰いたい。
シネマウェディングスタイルの隆盛と未来
個人的な見解から行くと、“無し”だと思っている。但しそれは一部の努力している方の事ではなく、9割くらい居るモドキの方の事だ。何が駄目なのかというとクライアント(新郎新婦)を騙していると言っても良い位の事を言っているのを良く聞く…。つまり「映画の様な映像=深度の浅い後ろの惚けた映像」と言う様に断定している。しかしそんな映画って少なくとも筆者は見た事がない。効果的な演出方法で深度の前後で移動距離を表現したり等の事で、それが映画の様と言うのは映画を作っている方に失礼だ。しかも浅い深度の映像と言うのは1/3inchカメラでも十分に撮影可能だ。
技術を持って更に勉強している技術者が居る現場にチャラっとしたネットの知識だけで参入してくるのは不快きわまりない。Facebookの中にもブライダル撮影従事者と言うグループが在る。そこでは昔ながらのENGでの記録を主としている方の技術論が熱く語られている。DSLR系の方は全くそれに参加してこない、と言うか入って来られないのだろう。
良く勘違いされるが、筆者はその方達と喧嘩をするつもりは全く無い。むしろともに手を取り、一緒に良い方向に向かえば、ブライダル分野の規模から言うとまだまだ稼げるはず。この分野は頑張れば個人単位でも1000万円稼げる市場なのだ。双方でぶつかるのではなく、上手く融合したいなというのが筆者の考え方だ。
しかし自分だけが儲けようと言う考え方は大嫌いだ。簡単に参入し、ブライダルの分野を安易に考えている個人や企業の方を見つけたら、徹底的に排除する方向で動きたい。個人的に少なくとも日本国内で「これはシネマスタイルだ!」と思われる物、特に技術的に素晴らしい物に出会った事がないのだ。是非それを見せて頂き筆者の考えを否定して頂きたいと思う。そこから新しいカタチが産まれてくると思うのだ。
最後に
今年一年で気になった事を羅列させて貰った。最後はやや毒を吐いてしまったが、この辺りの事は小さなグループで集まると確実に話題になっている事なのは経験が在る方も多いと思う。映像業界がやや変な方向に向かってしまうのは、他業種からルールもマナーも無視して参入してしまう方が多少なりとも居るからかも知れない。2014年は吐いた毒が綺麗に浄化される様に個人でも努力していきたい。それでは良いお年を!