全天球ではない?半球?超魚眼?

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フィルムの箱か?と思うような黄色いボディのユニークな全天周カメラがKodakブランドから発売される。このジャンルではリコーのTHETAが先行しており、文字通り死角のない全天球写真が撮れることでマニアックなユーザーを集めている。これに対してKodak SP360は半球写真と映像を撮ることができる。水平方向に360°垂直方向に214°となっており、全天周というより超魚眼(35mm換算8mm)と言ったほうがよさそうだ。タイムラプス動画をカメラ内で作成できたり長時間のビデオ撮影も出来るということで早速発売前に借りて使ってみたのでレポートしたい。

タイムラプスと長時間録画が売り!

このカメラに興味を持ったのはノンインタラクティブでも面白いかもしれない?と思ったからだ。THETAなどのサンプルを見ているとグリグリとインタラクティブな専用ビュアーを使ったりオキュラスなどのVR系ヘッドマウントと組合せて使うとその本領が発揮されてるように感じた。THETAの写真は切り出し方によってはスモールプラネット風になったりするのも面白い。新型では動画も撮れるようなったが長時間の録画には対応していない。これに対してKodak SP360は撮影される動画は1440/1440というやや中途半端な解像度ながら、時間制約もなく普通のビデオカメラにように長時間録画できる。タイムラプスに関しては1秒/2秒/5秒/10秒のインターバル設定がある。そして画角は半球で形状はウルトラマンのカラータイマーやへぇ~ボタンを彷彿とさせる。映らない面が半分あるという制約であるがセッティングに関しては考えやすいとも言える。

ソーシャルメディア映えする球体動画!

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Kodak SP360で動画やタイムラプスを撮ると正方形の画角にまあるい映像が記録される。これを専用のアプリで見ることでインタラクティブにしたり様々なレイアウトの動画に書き出すことが出来る。つまり見方は選べるがもともとのデータとしては円形の映像ということになる。これはそのままYouTubeやFacebookにもアップロードできる。YouTube動画の場合は左右にマスクがついて16:9の動画として公開されるがFacebook動画はアスペクトフリーのため正方形のままタイムラインに出現する。ソーシャルメディア的にはインスタグラムっぽい正方形になるわけだ。製品は本体だけで防滴防塵仕様だが標準で様々なアタッチメントがついている。GoProではオプション販売されているようなものがすべて標準でついており、ヘルメットマウントから自転車マウント、より本格的な防水ハウジングまでほとんとのニーズに対応出来る。また本体に三脚穴がついているので三脚や吸盤雲台にもすぐつけられるのもうれしい。

人間の意識に近い独特な画角!

Kodak SP360の肝は水平方向が214°あることだ。半球なら180°だがそこからさらに映り込む。このプラス34°が面白い。例えばチェストマウントハーネスにつけてウルトラマンのカラータイマーのように装着したとしよう。すると装着者の顔や足も入るのである。まるで映画「マルコヴィッチの穴」や「ストレンジ・デイズ」のようだ。

カフェなどで対面して座っているシチュエーションがあるとしよう。テーブルにこのカメラを置くと天井や人物が入るのはもちろんのこと、カメラを置いてある机の上の珈琲やフードも写りこむ。つまりその場でその人が視界に捉えているものを残さず映像に記録できるのである。GoProで見慣れた170°の超広角映像が人間が視界として捉えているものの中から意識が集中しているエリアを切り出している映像だとすれば、SP360は記憶している空間認識をそのまま映像にしてるような感じ。また、カメラとしての佇まいも球体っぽくポップな黄色と相まって面白い。撮っていたとしても撮っているように見えないのだ。百聞は一見にしかず、なんでもない日常から旅先のカンボジアのアンコールワットまで様々な状況で撮影した動画をご覧いただこう。

このカメラは俯瞰が面白い!

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使ってみて面白かったのが自分撮り棒の先につけ、下に向けて傘のように持つ幽体離脱アングル。自転車でも歩行でも移動しながら撮ると自分がこれから向かっている方向と歩いてきた方向、つまり未来と過去が同時に見え、かつリトルプラネット的な湾曲効果もありファンタジックなイメージになる。タイムラプスは自動で日付と時刻のタイムカウンターが入るのも気が利いている。俯瞰で回転させると宇宙っぽさも醸しだす。ドーム型のレンズカバーがついてるがこのカバーに少しでも指紋などの汚れがついていると映像に映り込んでしまう。撮影前には入念にこのカバーを磨く必要がある。

エンドレス録画や動体検知録画などにも対応しているので動物を撮るのも楽しそうだ。ホワイトバランスは色温度の設定はできないがオート、晴天、曇天、蛍光灯、水中の5種類から選べる。動画撮影時の音声はステレオマイクで風音低減モードもある。HDMIのスルーは出来ずライブ配信などには使えないが、超魚眼の正方形映像はノンインタラクティブでもソーシャルメデイア映えするのでこのレビューを見て使い道がピンと来た人は買ってみてはどうだろうか?国内ではマスプロが販売を行っておりダイレクト通販で41,500円となっている。

WRITER PROFILE

ヒマナイヌ

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頓知を駆使した創造企業