txt:岡英史 構成:編集部

LIBEC ALLEXとなって新たに登場

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写真手前からALX S4(40cm)、ALX S8(80cm)、ALX S12(120cm)。捻りの無いネーミングは解りやすい

今やカメラを載せるガジェットを製作販売するグローバルなメーカーへと躍進を遂げたLibec。Libecと言うブランドがメジャーになって既に数年が経っているのは誰もが異論が無いだろう。ユーザーが欲しい物をちゃんとユーザーの声を聞いて製品化している姿勢は本当に素晴らしい。その中の立役者的な名物社員が居ると言うのもその一旦を担っているのでは(KOH.S氏の事)。

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冗談はさておき、昨年Libecの油圧ヘッドと組み合わせるとパン方向とスライド方向の力のベクトルが同じ方向になり誰もがパン&スライドが可能になるスライダーを販売開始した。その長さ80cmと言うのは小型スライダーの中では標準的な長さなのだが、筆者を含め自分が本当に欲しい長さというのは撮影形態によって異なるはず。とは言えそれを全部聞き入れるのは不可能。

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今回テストした全ての機材。これだけの機材が台車一台で済む

そんな中で一番要望が多かった3種類が先日ALXブランドに名前も変わりリニューアル発表があった。今回はその全てを試してみた。

LIBEC ALLEXベーシックシリーズ

今回長さ違いで3種類のスライダーシステム(ALX S4/S8/S12)が発売されたのは前記した通り。では実際にその長さはどうやって分けるのがベストなのかと言うと、大は小を兼ねるの言葉通りS12を買うのが最良の…と言う訳にはいかない。確かにS4ではどんなに頑張っても40cmしか動かないが、S12なら最大120cmまでの距離なら無限に使うことが出来る。

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ではS12がマストなのかと言えば、今度は持ち運びが大変になる。一番良いのはレンズの焦点距離に合わせて選ぶ事だ。ワイドレンズほど長距離移動、テレレンズほど短距離移動という感じだと思ってほしい。前モデルから定評のあったスライダーの動きは今回リニューアルしており、より扱いやすくなった。スライドの粘りも更に自然になり、これなら少しの練習で本番での使用が可能だ。

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載せるカメラの大きさにもよるが、S8はシングルレッグでも対応可能で、S12はダブルレッグでの運用が必須だ

また今回のモデルから寒冷地仕様が登場した。気温の低い冬場にはグリス自体も抵抗が多くなるので、特に寒いオープンでのロケには寒冷地仕様をお勧めしたい。

SLAID&PAN

今まではスライドだけ滑らかに動けば良かったスライダーも、今はプラス三脚ワークが必要となるシーンが多い。S8はシングルレッグでの運用も十分に可能だが、重心の高いカメラなどで運用する場合はS12と同様にダブルレッグでオペレートをした方が確実だ。

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長いスライダーには電動移動装置がよく似合う

ALX KIT&Syrp Genie

筆者の身長は165cmと今の平均的な男性としては低い方だろう。日常的には不便は無いのだが、スライダーを動かすときには腕の長さ=絶対的な移動量となる為、特にS12モデルを滑らかにフル活用するというのは結構苦心する。

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それを補うために電動移動装置であるSyrp Genie(以下:Genie)を組み合わせてみたがこれが丁度良い。Geine自体はスライドとタイムラプスの両方に対応しているが、そのプリセットが移動距離85cmでS12だと前後のマージンを入れると完全にポン付け出来る。動き自体もスタートから定速で走るモードと徐々にMAXスピードまで走るモードがある。この時スライダーの台車には標準仕様よりも寒冷地仕様を使うことでより軽く動く分、モーターの負担は少なくなるはずだ。

ALX S12&Syrp Genie(タイムラプス)

タイムラプスにはオプションのカメラコントロールケーブルを使うことで、フルオートで撮影が可能になる。殆どのDSLRならGenieからコントロールが可能だ。ただ一部のカメラやミラーレス用に赤外線での接続が可能なオプションもあると言う事は殆どのカメラで誰でも設定値通りのタイムラプスが出来る。また平行移動だけではなく、標準装備のアタッチメントを付け替えることにより回転運動も可能になる。

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ALX H&Syrp Genie(SK8dolly)

このガジェットは前後に張ったロープを巻き取りながら移動するので、土台が動く物なら何でも良い。今回はSK8dollyとの組み合わせでサンプルを収録したが、ワイヤーを2本空中線に張ることで不整地でも使用が可能になる。またオプションで最大100mのロープが用意されているので、長めの移動台車と組み合わせれば100mの長距離を引っ張ることも可能だ。

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この様な場所でも移動は可能だ

Genie&SK8dolly

Genieは巻き取りトルクが意外と大きい為、中型ハンドヘルド位の重さなら大体40°前後の坂は上れてしまう。今回はこの様な不整地において実験してみたが多少の障害物での乗り越えて行く位にトルク感は強い。

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このサイズのカメラとS4の組合せなら常に付けっぱなしでも全く問題がない。えっ、それよりも乗っかってるカメラが気になるって?それは次号で!

総評

今年の秋頃には、マンフロットからNABで出品していたスライダーが登場予定だと聞いている。実際にNABで見た物が登場するなら間違いなくALX KITとはガチで同じ土俵に載ることになる。双方色々と長所・短所があると思うが、撮って出しが増えたミドルレンジの現場では何を買って良いのか、不思議と自問自答を繰り返している。

しかし、現状では価格帯もさることながら価格以上の性能を発揮しているのはLIBEC ALLEXでしか無い。少なくとも雲台との連携性を考えるなら現状ではALXシリーズだろう。更にS4は常時三脚に付けっぱなしで運用しても全く気にならない。この先、更に色々な製品も考えているらしいので非常に楽しみな一品になってきた。

WRITER PROFILE

岡英史

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。