txt:岡英史 構成:編集部
映像に関わる人間がCP+2016を楽しむ方法
Sony PXW-Z150
国内における映像の祭典がInterBEEなら、CP+は間違いなく写真の祭典だ。カメラマンの中には器用な方が多く、今映像で活躍している方の中にも、写真出身の方も多く、当然写真にも造詣が深い。筆者は写真はホント笑っちゃうレベル。それなりの機材も持っているが1秒以下の世界で勝負しているプロフェッショナルにはまったく敵わない。まぁその分映像なら自信はある。
そんなCP+、5年くらいまで全く興味が無かったが、マンフロットブースでのセミナー収録のお手伝いを機会にこのイベントにも毎年顔を出すようになった。当時は写真の範疇で動画と言えばDSLRムービー位しかなく、その中でムービーで使えそうなモノを探すのが楽しみだったりした。もちろんその中でスチルもムービーも三脚のラインナップがあるマンフロットは面白い存在だった。
それが3年前から会場の一角にプロ動画エリアが設立し、小さいながら写真とムービーの融合を感じることが出来た。また時期を同じくしてSony、Canon等のメーカーもひっそりとながらビデオカメラの展示も行うようになった。この“ひっそり”が実に重要で、InterBEEで参考出品になっていた物や1月のCESで出ていたモノが展示されている場合が非常に多い。しかもこのイベントは写真メインなのでいくらムービーの新製品が出ていても注目度は低くブース前が混んで実機に触れないと言う事はほぼ無い。
そんな中、今回ブースの端でそーっと息を潜めてる機材を見つけてきた。NAB前にSonyが出してきた業務用ハンディカムPXW-Z150だ。
PXW-Z150の真価を探る!
筐体はNX100とほぼ同じ
まず今回はCP+のSonyブース内でプレスセッションの短い時間で触れる目一杯を使っての所感である。実際の現場運用とは少々変わるかも知れないのを先にお断りしておこう。
先ずはその外観だがこれはSonyの方でさえ「NX100と同じですw」と言う位類似している。
ボタン配列はNX100と殆ど同じ。なのでトップハンドル廻りは少し寂しい
特にトップハンドル付近はNX100の特徴でもあるサッパリとしたスイッチレイアウトがそのまま採用されている。それは同時にメニュー画面の操作もNX100と同じでロータリー等でのカーソル移動は出来ないのが残念な所だ。音声関係のスイッチ類もNX100に準拠、それはメニュー画面も殆ど変わらない。逆にメニュー画面に関しては4Kフォーマットが在る分、X70(4Kオプション入り)と同じと思って良い。外観上で大きく違うのはボディ後方のBNC端子から出てくる信号だ。NX100の時にここからSD信号を出しているのが不思議な位だったが、最終的にNXブランドからXDCAMブランドになってHD信号が来るならNX100と言うカメラの意義をココでようやく理解した気がする。
NX100ではビデオOUTだったBNC端子はHD-SDIに変更されている
リトルモンスター再び
Sonyはカメラも白物も小さくコンパクトに作るのが得意なメーカーだ。ただ小さく作るだけじゃなく強力な何かをいつも実装してくるが、今回から心臓部である撮像板にX70のExmor R(裏面照射)ではなくて、業務用機としては初搭載となるExmor RS(積層型)を新搭載する事により1ラインの読み出し速度の向上、つまりは動体歪みの少ない映像を記録できることになる。
NX100の筐体にX70のエンジンを積み込んだドーピングカメラ
更にLCDモニターとVFもNX100と同形状ながらX70と同様の高解像度パネルに交換されている。X70と同様のエンジンを搭載していると言うことは映像出力(4K)も同様で外部出力をする為には内部LCDを潰す事になる。同時出力は回路的にこの機種では無理なために次期モデルに期待したいところだ。さてこのサイズのカメラは既にPXW-X70と言うカメラがラインナップにあり、NX100とは4Kと言う事とXDCAMと言う部分で線引きが出来ていたのだがこれで完全に同じ土俵になってしまった。
しかし実物を見れば分かるのだが、X70が基本オートの部分を積極的に使って収録するのに対してZ150はマニュアルをベースに収録が出来るカメラになってきた。絶対的な大きさはX70より一回り位大きいので一般的な成人男子なら手の大きさも考えるとZ150の方が使い勝手は良いかも知れない。
総評
もの凄く簡単に言えばPXW-Z150は名機DSR-PD150の再来と言って過言ではない。4Kが収録できるPD150でありそれ以上でも以下でもないと言うのが筆者の感想だ。そう考えるとPD150も発表当初はこれしかないと言う感じでブレイクしたが、やはりチョットだけ使いにくい部分があった。それをマイナーチェンジでPD170になることでそれを解消してきたがZ150も同じ様にマイナーバージョンアップが在るかも知れない。多分このカメラを見て想像するのはZ5Jの様な3CMOSでの4Kカメラだろう。Z200の筐体ナンバーを今回敢えて使わなかったと言うのも気になる所。とは言えNABでそれらのカメラが登場するとは考えにくい。となると今年もInterBEE辺りに何か変化があるのかも知れない。そう思うとそんな帝國の逆襲もまんざら悪いモノでは無いだろう。
アクションカメラにオプションとしてサムグリップが参考出品されていた。これも中々使いやすく早期の商品化を期待したいところだ