txt:茂出木謙太郎 構成:編集部
Return to The SXSW!
去る3月11日から18日の一週間、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)に参加してきた!SXSWとは、アメリカのテキサス州、オースティンで毎年行われている「Music」「Film」「Interactive」の3つのカテゴリを軸にしたビッグイベント。オースティンは、あまり馴染みのない街かもしれないが、インテルやデル、サムソンなども拠点を置くなどIT分野が顕著に伸びていることでも知られている街である。
メインストリートは歩行者天国!セグウェイの集団も
そんなオースティンの街が、3月の2週間まるごとイベント会場になってしまうのがSXSW。コンベンションセンターだけではなく、ホテルやライブハウス、レストラン、バーが様々な企業の展示会場、イベント会場、パネルディスカッションやトークセッションの会場となる。街一つがイベント会場なので、移動手段も大変。午後になればメインストリートを封鎖して道の真中で演奏を始める人も出始め、車での移動はとっても不便だ。レンタサイクルや自転車タクシーで移動する人もいる。
トレードショー会場入口
お祭り騒ぎに便乗している筆者w
今回私たちは財団法人デジタルコンテンツ協会のご協力を得て、自社で開発したVRプロモーションプラットホーム「ルクルク」の展示を行ってきた。日本からの出展はかなり多く、ニュースなどでも放映されていたので、見た人も多いかもしれない。
場所はイベントの中心部、オースティンコンベンションセンター。ここでは、トレードショーと銘打って、世界中から様々なICT分野の企業がブースを出展。特徴的なのは、大企業がほとんどいないこと。大企業はもっと盛大に、ライブハウスなどを借りきって展示を行っているという点と、トレードショーではやはりシーズのようなネタを持ち寄っているところを集めているからではないかと思われる。
VR分野のピッチは大盛況
IBMの会場。ワトソンやVRの展示などで盛り上がっていた
VRでオースティンの街を走破中!
SXSWの特徴の一つとして、チケットが高い!という何かハードルにも似たものがあり、3つのカテゴリどれか一つのチケットだけで10万円以上する!これは早期登録での金額で、直前だと17万円くらいにも! また、周辺ホテルが貸切状態になるので、とにかく高い。一泊1万円くらいのホテルが10倍の金額になっていることもある。
そういったことから、企業の中でも上位の役職の人や、自分でそれくらいの金額を払えるような仕事の人が多く集まっているため、機会を作るにはとても良いチャンスになっている。実際、私達も展示中に「来週ニューヨークでミーティングしないか!」とか「開発費用はいくらほしいんだ」などといったフランクな会話なのにとてもシリアスな内容が飛び交うことも多くあった。
チケットが高価なのはトレードショーの入場だけでなく、SXSW期間中開催される数百とあるイベント、パーティー、ミートアップ、トークセッション、パネルディスカッション、ライブなどに入り放題だから。私もチケットを購入して、展示の合間を縫ってパネルディスカッションやイベントに参加した。
うろうろ歩いたり、しゃがんだり
VIVEで瞑想中
さて肝心のVRだが、SXSWの中で見かけたVR展示はおもにGear VRを活用したもの、またはHTC VIVEが中心。
Gear VRは閲覧する人の管理、コントロールが楽なので、イベント活用が本格化してきている印象。VIVEはVR空間の中を歩ける体験が、これまでのHMDと違うところ。Hiltonの会議室での体験会会場は、VIVEをつけて歩き回っている人が大勢。そしてその隣のパネルディスカッションでは、VR動画の可能性や、演出方法、NASAが考えるVRの活用方法など、熱い議論が繰り広げられていた。
VRの可能性に関しては、多くの人が確信を持ちつつ、その演出方法や撮影技術など、まだまだ途上であるという認識は世界共通。そのため、多くの人が最先端を走っているひとの議論を聞くために行列を作ってた。
パネルディスカッション「NASAのVR利用について」
ディスカッションの中で面白かったのは、VRと360ムービーを議論の中であまり切り分けていなかった点。360ムービーは、映像というリアルな環境にありつつ、その中を移動することが難しいためにVRをCGで作っている人からは敬遠されがちという印象が日本にいた時にはあったが、こちらでは「映像の中もそのうち自由に動けるようになる」くらいの意識で取り組んでいるようにさえ思えた。いわゆるLight Fieldで撮影するような感覚かもしれない。
オースティンの夕日に誓うw
出展企業として参加したために、他の展示を見ることがあまりできなかったのが残念だが、出会いや気付きも多く勉強になった一週間。会社の出張許可が取れないなら有給を使って自費で参加している人も多く、SXSWの魅力に取り憑かれる理由がよくわかった。中には三年間自費で参加して会社にレポートを出し、ついに出張許可が出た人も。日本に戻ってきて、わたしたちもかなり影響され、来年も出展参加しようとチームで誓った。