txt:岡英史 構成:編集部

リークと憶測

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XC10が音声まわりの強化で業務用機材にバージョンアップしてXC15へ

9月は、ヨーロッパ最大の放送機器展示会IBCが開催される。InterBEE、NABと並ぶ国際放送機器展示会だ。IBC前はいろいろな憶測が飛ぶ。時期が近くなればなるほど、真偽はともかく、どこでリークされるのか、ピンポイントの情報が海外から飛んでくる。その中にはビッグメーカーの機材も含まれている。なぜ日本のメーカーなのに海外から情報が降りてくるのかイマイチ納得出来ない部分もあるが、まぁそれはおいておこう。

8月下旬に、DSLRムービーの先駆者的な「EOS 5D Mark IV」が発表され、ついに4Kが撮れるようになったとSNSのタイムライン上でも話題になった。しかも今回はムービーキットと銘打って、完全に動画を撮ると言う部分を前面に出してきている。

そしてその登場は次なる憶測が出てくる。C500の上位機種Canonフラッグシップ的なカメラが登場するのか?はたまたC100もMark IIIとなって4K対応になるのか?いろんな憶測の中、最初に飛び込んできたのは、XC10に丸いコネクターが付いて登場する?!と言うものだった。この記事をSNS等で見つけた方も多いだろう。そして9月2日に発表されたのは、XC10に最も必要だったバランス入力が出来るXLR端子を持ったモデル「XC15」だった。今回は無理をお願いして短時間ながら現場に持ち込むことが出来たので、ファーストプレビュー的に読んで頂きたい。

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今回の目玉、XLR端子、従来の3.5mmマイク端子も装備

マルチパーパスカメラから業務機器へ

今回は型番が10から15へとなり、マイナーバージョンアップに思えるが、よく見るといろいろと変更されている。工学系から撮像素子、その後のDIGIC DV 5エンジンまではXC10と共通だが、実際に使ってみると、昨年2週間ほどのフランスロケで使った感覚とは若干違う印象に思えた。微妙な製造工程の差、または数字には出せないチューニングがあるのかも知れない(メーカーに確認してみたが数字的な変化は無い)。一番大きく変わったのは音声の入力だ。専用ユニットを新規に作ったにしては、販売価格がかなり抑えられているのが不思議だったが、既にC300 Mark II用にも使用されている、MA-400を取り付けられる様にしてある。そのため、XC10ではホットシューだった物がコールドシューに変わっている。

マルチコネクターの増設とともにシュー周りのカバーが幾分大型化されてるところを見ると、本当にギリギリの増設だと言うのがわかる。しかし、このユニット自体が大型なので3軸ジンバル等に載せるのが厳しい場合は、XC10同様の3.5mmマイク入力も備えている。外見上の大きな違いはこのマイクユニットであり、これが全てと言っても良いが細かい部分、ソフト的にはもう少し業務仕様として搭載されているものは、CINEMA EOSと同じく波形モニターが搭載された。これでLog収録するときの目安になる。タッチパネルの誤動作を防ぐロック機能も、業務では当たり前のように欲しい部分で、XC15では搭載済み。

また、シャッターが速度だけではなく開角度も選択出来るようになった。逆に、XC10に搭載されている物でXC15で省かれた物は、先にも書いたホットシューとFHD時のMP4収録が無くなった事、細かい部分では、リモコンが省かれた事。なお、Logに関しては従来のCanon Logに準拠、残念ながらCanon Log 2/3の搭載は無い。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/09/Oka_60_006.jpg Canon Log
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/09/Oka_60_007.jpg EDIUS Pro 8での標準LUT(REC.709)
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/09/Oka_60_008.jpg EDIUS Pro 8でのLUTにプラスしたもの
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XC15での使用環境を考えれば4:2:2/8bitでも十分だろう。ルックを作り込むと言うよりちょっとした補整を、と言う考えが正しいと感じられた。XC10に搭載されたCanon Logに比べると若干扱いやすく感じられた。

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ロケでの一コマ。小さい筐体は場所を選ばない

奥多摩での伝統芸能

実際の現場で、サブカメ的な感じで少しの部分を使いまわしてみた。XC10は昨年の海外ロケで使用しているので、今回は、その違いを感じる為に限定しての使用だ。XC15はマイクホルダーが同梱されているが、マイクはメモリーカードと共にオプションキットとして用意されている。マイク自体はAZDEN製SGM-PDIIが用意される。このロケでは同梱マイクが間に合わなかったので同様のマイクを用意して使った。

XC10ではワンオフのファンタム給電出来るマイクホルダーを使用したが、本体との接続が3.5mmのマイク端子なので、この部分の接続不良のノイズが心配だったが、XC15はXLRでの接続、更に本体とはロック機能付きマルチコネクターなのでその心配は無い。勿論+48Vやマニュアルでの録音レベルダイヤルが搭載されているので、しっかりと収録が出来る。ただし、マイクホルダー自体にはアクセサリシューが無いのでワイヤレスマイク等をプラスするには若干の工夫が必要だ。また工学系まわりはXC10と同じなので、ワイド端は約28mm弱(動画時)、出来ればもう少しワイドが(24mm程度)欲しいところ。この辺はXA10等のワイコン(58mm)が使えるのでお勧めしたい。

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ATOMOS SHOGUNとの連携も問題ない。HDMIケーブルでトリガーとTCが引き継げる。小型軽量なボディはスライダー等の特機との相性も良い。写真はマンフロットSKU MVS060A

総評

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今回収納に使ったカメラバック(マンフロットMB MA-M-AS)はピッタリな大きさ。同梱のミニ三脚にも載せることが出来た

XC10の時もその価格に驚いたが、XC15もこれだけの装備+オプションキットを付けても、販売価格は30万円の前半位と予想される。この機種をメインとして最初の1台目の購入と言うよりも、サブ的な小型4Kカメラという使い方が正しい。XC10の時はマルチパーパス的な使い方も想定出来たので、初めての4Kカメラという意味合いが強かったが、完全に業務使用になったXC15は、使い方が変わってくるはずだ。

1inchの撮像板とFIXのレンズは制作の現場よりもENGよりな現場で使いやすい。その考えで言うならば、バランス入力できる音声まわりは当に必須の項目であり、XC10の最大の弱点をXC15は補ってきた。コンパクトで低価格の業務用カメラの位置づけを考えれば、カメラバックに簡単に放り込めるXC15は、いろいろなシーンで使えるはずだ。

WRITER PROFILE

岡英史

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。