txt:岡英史 構成:編集部

2017写真の祭典だが…

昨年に比べるとメーカーブースの間の密度が高く、平日初日の割には人が多く感じた今年のCP+2017。写真の祭典の代名詞でもあるこの展示会だが、実はムービー製品も数多く出ている。InterBEEやCESでモックだった機材が、実動機としてひっそり展示されていることもある。FS7やC500などはその良い例だろう。

今回も、その目論見もあり前日の仕込みから参加し、目ぼしいところに話を聞きに行くと前評判通りシネマ系ズームレンズがいろいろ出ている。なるほどなぁと思いつつ見ていると、なんだこれ?的なものも。午前中はスイッチャー侍こと小寺氏の撮影隊で動いていたので午後のわずかな時間ではあるが少し紹介したい。

グラスバレー

今回全くノーマークだったグラスバレーの新製品「Mync」。もともとEDIUSに付属していたGV Browserを単体にして更にバージョンアップさせている。タイムラインというより、ストーリーテラーの考え方は視覚的にも解りやすく、一度に複数の中身をざっくり感覚的に見ることが出来るのは、ブライダルの撮って出しのような使い方にはまさにぴったりだ。

しかも期間限定ではあるが、今回は無償ダウンロード版も用意されている。正式には3月上旬になるが、これは是非実製品を見て触ったほうが良い。筆者的に今回のCP+ではNo.1の展示だ(グラスバレーとしての出展はないためにパナソニックかキヤノンブースに展示されていた)。

富士フイルム(FUJINON)

噂のシネマ系ズームレンズが2本、ケースに鎮座している。そのコンパクトさには驚くはずだ。しかも予価がこれまたびっくりの価格でミドルレンジ的にも十分射程距離に入るもの。会場では実機を触れないが、とにかく話を聞くだけでも良い。いろんなサプライズがあるかもしれない…?!因みにマウントはXマウント及びEマウントの2種類で、さすがにEFマウントは無いw

パナソニック

噂のスーパーDSLR「DC-GH5」の実機がついに登場した。4K/4:2:2 10bitを内部RECで、しかもSDカードに記録できるというのはただ驚くしかない。出てくる映像はGH4とは比べものにならないくらいの詳細さ。

なぜこのような機材が出来たのかと言うと開発責任者の中に、物凄く機材愛が全身から染み出している方が好きなものを本気で作ってみたという単純な回答。この筐体の大きさもく含めこの機材も注目すべきだ。

カールツァイス

カールツァイスと言えば“高級機種”の代名詞と言っても過言ではない。しかもその価格以上の性能を発揮する数少ない機材だ。そのかわり「物凄く高価!」というのも正直なところ。

しかし今回展示された21-100mmズームレンズはその高価なレンズを手の届く価格まで下げたもの。とはいえ、ツァイスの名前に恥じないその描写力と安心感はそのまま受け継がれている。これも個人的には欲しくなる困った機材だ。

銀一

日本初の取り扱いとなるReally Right Stuff製品を展示。そのラインナップ全てではないが、DSLR系には非常に便利とされるステーやボールヘッド、また、カーボン脚をもつモノチューブの三脚を展示している。これらの製品の一番の特長は、全てUSA製品でしかも精度が高いということ。それは強度にもつながり、見た目以上の高強度な製品ばかり。価格は同列の他社製品に比べれば高価になるが、その意味がわかる人にはお勧めの一品だ。

総評

EDIUSユーザーならずとも、今回のグラスバレー製品は一度見てほしい。ただのブラウザソフトからもう一歩いろいろなものを詰め込んだにも関わらず、直感的にわかりやすいUIは素晴らしい。現に開発者のお子さん(9歳)もこのソフトで簡単なつなぎは出来てしまったというから驚くが、それも何となく納得が出来る。エンジン自体はEDIUSと同系列を使っているのでその動きは想像できるだろう。これも製品がでたら別途レビューしたい。

補足

今回プロ動画エリアは別棟の3Fにひっそりと追いやられていた。非常に解りにくい場所はチョット問題なのでは?と筆者的には疑問符を隠すことが出来ない。非常に残念だ。

WRITER PROFILE

岡英史

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。