土持幸三の映像制作101

txt:土持幸三 構成:編集部

動画編集ソフトを選択する上で重要なこと

映像制作を教えていると「カメラは何がいいですか?」「動画編集ソフトは何がいいですか?」とよく聞かれる。カメラに関しては「何を撮りたいか?」によって変わりますよと答えるようにしている。映像が初心者の方でも一眼レフカメラやミラーレスカメラで高画質の動画が撮れるとの認識が広がり、今までビデオカメラで撮影をされていた方も一眼レフ型のカメラでの撮影を選択肢に加えているので、オススメする対象のカメラ数は多いが、撮りたいものがわかっていたら、だいぶ絞ることができる。

一方、動画編集ソフトは無料のものから高価なものまで様々なソフトがあるうえ、撮影は慣れていても編集は初めてという方も多く、ソフトの名前も全然知らない場合もあるので、オススメするソフトは難しい。無料の編集ソフトの高機能化により、プロ用の廉価版と位置づけられ、初心者をターゲットにしていたソフトが姿を消しつつあるためだ。今回のコラムは初心者用の動画編集ソフトについて書いてみようと思う。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2017/05/tsuchimochi101_22-01_b_VEGAS_PRO13.jpg Vegas Pro 13。高性能で安価で手に入る
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現在、三つの小学校で映像授業の際、使用している動画編集ソフトは三校とも違う。学校紹介が主な学校は、以前Windows標準としてついてきた「ムービーメーカー」をパソコン室のパソコンにインストールしている。短編映画制作をしている学校は、編集用デスクトップパソコン購入時に「EDIUS Neo 3」をインストールし、街の人へのインタビュー、学校紹介を行っている学校は、パソコン室の一部のパソコンに先日「Vegas Pro 13」をインストールして使用している。ただし「ムービーメーカー」は、最新のWindows 10にもマイクロソフトからダウンロードして使用できるが、「EDIUS Neo」シリーズは販売終了となっている。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2017/05/tsuchimochi101_22-02_b_EDIUS_NEO3.jpg EDIUS Neo 3。すでに販売終了
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基本的な動画編集の場合、動画編集ソフトで撮影した素材を見て、必要ない部分を取り除き、使いたい部分をタイムラインと呼ばれる部分に並べていく。順番を並べ替えたり、カットとカットのつながりをスムーズにして色を調整し、必要ならば字幕挿入や様々なエフェクトをかけ、最後に音の調整、音楽や効果音の追加をしてファイルに書き出すかDVDなどを作成することになる。

小学校で使用している各ソフトは、この基本的なことはできるのだが、編集は試行錯誤を繰り返すことが前提なので、それらの作業のスムーズさや、よく言われる「直感的に」やりたいことがすぐできる、というのはソフトを選ぶ上で重要な要素である。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2017/05/tsuchimochi101_22-03_b_MovieMaker.jpg ムービーメーカー。マイクロソフトから無料でダウンロード可能
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さすがに「ムービーメーカー」は試行錯誤や細かい微調整、つまり素材を数コマ削ったりするのは難しいうえ、音の調整機能の少なさや、ある程度編集が進んだあとで修正すると字幕や音がズレたりする致命的な部分がありスムーズに編集が行えない。イメージビデオ等、場面の切り替えのタイミングが緩い作品でないとおススメできない。

一方「EDIUS Neo 3」「Vegas Pro 13」は、プロの使用にも耐えうる高性能な編集ソフトだ。最新バージョンでは「Vegas Pro 14」となっているが「Vegas Pro 13」でも4Kファイルを編集でき、初めて使う映像編集ソフトとしては超がつくほど高性能だが、年に数回行われるキャンペーンによっては5000円ほどで手に入るのでおススメできる。

ただ、元が音楽編集ソフトなので、タイムラインで素材を再生してスペースキーで停止という、他のソフトと共通のことが初期設定ではできず、停止しようとすると素材の頭に戻ってしまう。これは「ユーザー設定」で変更したほうが初心者には良いだろう。

スマホでの動画編集も含め、無料の動画編集ソフトも多数出てきている。今までのようにただ動画を撮影してテレビで観るだけでなく編集して、より良い映像が簡単に創れる環境になってきたことは非常に喜ばしいことだが、編集した動画を多くの人に見せる機会も増えている。その場合、動画編集ソフトの機能や使いやすさよりも、見せた相手にどう感じて(考えて)欲しいのかを整理して編集することが重要であることは言うまでもない。ぜひ皆さんも動画編集にトライしてみてはいかがだろうか。

WRITER PROFILE

土持幸三

土持幸三

鹿児島県出身。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。