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txt:川井拓也 構成:編集部
有線LANがない現場からのライブ配信というニーズ!
ライブ配信の前提として専用の有線LANを確保することは最優先事項ですが、会場側の条件や時間的な問題から使えないことがあります。そんな時に複数のLTE対応USBモデムを束ねて映像をクラウドに送り込みそこから配信サービスに配信する「LiveU」が頼りになります。こうしたサービスには現場から映像を送出して受信するスポットにも人が必要なタイプと現場からクラウドを介して直接配信サービスに送り込むタイプがあります。「LiveU Solo」は後者のタイプで現場の配信スタッフのみでオペレーション出来るのが特徴です。
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最大4回線!今回は2回線で運用!
LiveU SoloはUSBスロットが2つあり、後述するWi-Fiおよび有線LANを含めると最大4回線で運用することが出来ます。今回はUSBスロット2回線で運用しました。映像の入力はHD-SDIとHDMIがあり選べます。
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本体は518gと軽くちょっとしたオーディオレコーダーくらいのサイズ感です。側面にUSBスロットがあり有線LANやWi-Fiアンテナも内蔵されています。モバイル回線だけではなく使えるネットワークをすべて使って束ねることが出来るので、有線LANが会場にあるけれども非常に低速で心もとない場合などにも使えます。バッテリーだと2時間稼働します。今回は電源がある環境なのでACアダプターで使いました。
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ショッピングセンターの広場からのイベント中継!
今回の現場はショッピングセンターの広場で行われるダンスイベントをYouTubeライブするというもの。カメラはいろいろなポイントに設置し5カメでスイッチングです。たくさんの観客が取り囲むイベントなのでカメラマンは一人だけにしてその他は往復運動する電動スライダーに広角カメラなど仕込みカメラを4台使いました。
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配信管理に1人専任スタッフをつけることが重要!
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今回の現場には4人のスタッフを配置しました。どんなライブ配信の現場でも同じことですが配信管理に1人専任スタッフをつけることが大切です。機材の進歩でワンマンでもスイッチングからオーディオミキシング、配信管理まで出来る時代ですが、万が一トラブルがあったときにそれ以外の部分の作業が止まってしまうという問題があります。ワンマン配信というのはあくまでベストエフォート型なのです。それを避けるためにも業務系の配信では最低でも映像(スイッチング・収録)、音声(オーディオミキシング)、カメラ、配信管理はわけるべきです。
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こうした通信装置を使う場合に重要なのが電波をつかみやすい位置に機器を設置することです。ノートPC用のプレートをつけた三脚に、本体とLTE対応USBモデムを設置して高めの位置に設置して回線速度が出る位置を探り設置します。公共空間では通信速度も変化しますがその中でもベストな位置を限られた時間で探します。映像ケーブルはHD-SDIである程度延長できるので、通信装置は見通しがよく電波の受信感度のよい場所に設置しましょう。今回はLiveU社から借りた機材そのままの仕様で使っていますが、LTE対応USBモデムであればUSBケーブル部分を延長してアンテナのように高い位置に設置することも出来ます。
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このイベントは4時間の長丁場でしたが「LiveU Solo」は安定して有線LANのない会場からの中継をこなしてくれました。カメラバッグにも入る小型サイズと現場のスタッフだけで中継できるクラウドシステムがコンパクトな配信現場にぴったりです。ライブ配信は今後急速に普及すると期待されていますが、現状では年に数回だけ利用する方も多いと思うので、レンタルサービスを行ってくれるショップがあると嬉しいですね。
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以上、ショッピングセンターの現場からLiveNinja川井がお送りしました!
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