txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部
街中の常設スタジオから独自コンテンツを発信する「ぽるぽるSTUDIO」
広島ホームテレビが2016年11月に開設した「ぽるぽるSTUDIO」では、広島の繁華街、紙屋町地下街「シャレオ」の中央広場にある常設スタジオとして独自コンテンツによるインターネット生配信を行っている。
総合編成局 メディアデザイン部 襟立大貴氏(左)技術局 映像技術部 岩元隆明(右)
――インターネット配信は、いつごろから実施されているのでしょうか?
襟立氏:「ぽるぽるLIVE」という名前でスタートしたライブ配信は、現在は「HOMEぽるぽるTV」という名称になりまして、通算で3年目になります。
「HOMEぽるぽるTV」の番組は、インターネット向けだけでなく、地上波テレビでも毎週放送を行っており、レギュラー番組、特別番組の中からピックアップしたものを流しています。
Roland V-1HDを中心としたコンパクトな機材構成
――スタジオの機材構成について教えてください
岩元氏:小型のアクションカム3台とスライド表示用PCをRoland V-1HDに入力しています。V-1HDの出力を、テロップ用ソフトウェアが入ったPCでテロップを合成してから、エンコード機器に送っています。
――V-1HDを選ばれた理由は?
岩元氏:コンパクトで低価格であることと、HDMI入力に対応していることを考えると、ほとんど一択と言っていい状態だったと記憶しています。
襟立氏:ぽるぽるSTUDIOでは、局の技術スタッフ以外も機材の操作をするので操作がシンプルであることも大きなポイントでした。
Roland VR-4HDを使用することで、セットアップ時間も短縮されたという
――VR-4HDも使用されているそうですが
襟立氏:デモ機をお借りして、番組舞台公演の配信時の現場で使用しましたオールインワンで、やりたいことが一台で完了するので助かりました。
岩元氏:ぽるぽるSTUDIOでは、音声はアナログのミキサー卓を使用し、テロップも専用アプリを使用する形になっているのですが、VR-4HDを使用することで、シンプルな構成にできましたし、短時間で出張配信を実現することが出来ました。接続する機械が増えると、どうしてもトラブルの原因を探るのに時間がかかってしまいますが、オールインワンであることで、出張した現場でも簡単にセットアップできました。
ネット配信では、スイッチャー上で複雑な操作を行うわけではありませんが、VR-4HDは、ネット配信向けの機材として、必要な機能が網羅されていると思いました。
日南の球場からの中継にもV-1HDが使用されている
――広島東洋カープのキャンプ中継もインターネットの独自番組で配信されているそうですが
襟立氏:日南の球場からのキャンプ中継も行っています。定点カメラの中継と特設スタジオ内からの番組配信を作っています。定点カメラの映像は、球場周辺の天候もわかると、球団関係者もチェックされていたみたいです。
岩元氏:コンテナ内に組んだスタジオではコンパクトさが重要ですので、カラーボックスにも収まってくれるV-1HDは重宝しました。
スタジオ前に設置されたモニターから各種情報を発信している
――今後の展開についておしえてください
襟立氏:ローカル局として地元を盛り上げることは重要だと考えています。コンパクトな機材を使ったシステムを構築できたことで、県内の色々な場所に出張することができるようにもなりました。
出張での配信と、人通りの多いところに常設スタジオも持っていることの両方を活かして、公開収録に連動したイベントの実施や、地域のスポーツ大会に合わせた特集など、地方局の強みを生かして様々な発信を行っていければと考えています。