txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部

Eコマース分野でVR-1HDを活用したセミナー配信を実施

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会では、会員向け定期セミナーのライブ配信を実施している。Eコマース業界における動画の重要性や、セミナー会場からの配信における機材選びのポイントなどについて、フォースター株式会社 代表取締役 JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 代表理事 川連一豊氏と、株式会社ISSUN 代表取締役 JASEC 日本イーコマース学会 専務理事 宮松利博氏にお話を伺った。

VR-1HDを中心とした機材構成

――セミナーのライブ配信を始められた経緯を教えてください

川連氏:全国にJECCICA会員の方がいらっしゃるので、遠方からはセミナーに参加しにくいという声をいただいていました。会員の方に、最新情報や知識を共有してもらうことがセミナーの目的として重要なものですし、その際にライブ配信でも行うことができれば、距離を気にせずに実施できることが魅力でした。

技術的な面でのハードルはありましたが、宮松さんがライブ配信の経験があるということで、配信をお願いしています。

フォースター株式会社 代表取締役
JECCICA 社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会 代表理事
川連一豊氏

宮松氏:2010年頃から、ネット上で映像コンテンツ制作を行っていました。当時、個人で発信していたものが、外資系企業のレギュラーコンテンツ制作へと発展し、そこで多くの経験を得ることが出来ました。

ネットでのライブ中継は、自分のセミナーやイベント中継なども行っており、その経験からJECCICAのセミナー配信もお手伝いしています。

映像機器に関しては、テレビ制作会社でのアルバイト経験がありまして、そこで映像機器やシステムに触れていたことが、いまでも役に立っていますね。

――ライブ配信だけでなく、Eコマースと映像の関係は深いものがあると思いますが

川連氏:そうですね。会員の方でも、ご自身で映像を使用した活動をされている方が増えていると思います。以前、インスタグラマーとしても活躍されている方のセミナーを実施したところ、予想以上の反響がありました。

背景には、スマートフォンや高速通信の普及などがあると思います。改めて、映像を通じてのコミュニケーションの重要性が認識されてきていると感じています。

株式会社ISSUN 代表取締役
JASEC 社団法人日本イーコマース学会 専務理事
宮松利博氏

宮松氏:私の本業はECサイトのコンサル業なので、いかにECサイト事業者が動画コンテンツを活用していけるかが重要だと考えています。

マーケテイングの4つの要素として、「テキスト」「静止画」「動画」「音声」それぞれが重要ですが、ECサイトとお客様との最初のタッチポイントとして、いまは「動画」が重要ということをお伝えしています。

現在はスマホで動画視聴する方が多くなっており、買い物に関連した情報を調べるときにもスマホで検索することが多くなっています。そして、検索結果の表示方法も動画コンテンツが上位に出てくることが増えています。

関連キーワードの動画をアップしておくことで、Web上でお客様との接点を持つことが出来るのが、私が動画が重要だとお伝えしているポイントになります。

川連氏:もちろん、団体としてライブ配信を始めるにあたっては、Web上に動画として公開されることで、発信の内容に制限が出てくるのでは?など、理事から心配の声もありましたが、実際に体験してみると、反応の大きさに驚きつつ、納得してくれている状況になっています。

宮松氏:動画での発信が有効であることは、ここ数年で浸透したように思います。また、ライブ配信の魅力は、編集しなくて済むことが大きいです。

もちろん、一定以上のクオリティは必要ですが、テレビや映画のように凝った編集や合成をすることは必要なく、ショップとしての訴求ポイントを動画で伝えることが重要になります。その時に、ライブであれば編集せずに作ることが出来るのは重要ですね。

――キーワードに合致した動画を複数アップすることがポイントということですね

宮松氏:そうですね。検索を通じて、動画を見てもらいやすい環境が出来上がったので、ちゃんと検索にヒットする動画を量産することが重要です。編集に凝った映像を時間をかけて作成しても、見てもらわなければ売り上げにつながっていかないので、継続的に動画を量産して、検索にヒットするようにする。その時に、ライブ配信のノウハウを持っていれば、生配信を一本行って、それを収録コンテンツにすることが出来るので、経験として重要なものになりますね。

――SNS・コメントなどの双方向性については、どのようにお考えですか?

川連氏:正直、まだそこまでは活用しきれてはいない状況です。海外セミナーや、日本でも若い方が主催されているイベントなどでは、コメントが表示されたり、リアルタイムにアンケートが実施されていたりと、変化を感じてはいるので、今後活用していきたいとは考えています。

テレビ通販でも購入情報に関してリアルタイム性を持たせていたりと、画面内の情報配置など色々と工夫されているので、そういった活動も参考にしつつ、Eコマースに最適化した映像配信の方法論についても発信していければと思っています。

セミナー会場内ではコンパクトでオールインワンというのは重要と語る宮松氏

――機材選定や配信方法などで工夫されている点があれば教えてください

宮松氏:セミナー会場の場合は、配信のためのスペースも準備の時間も限られていることが多いので、オールインワンでコンパクトであることが機材選びの上で重要でした。

今回のようなセミナーの場合は、ビデオカメラ2台とスライド用PCの3入力。音声に関しては、ピンマイクと会場音声の両方を使用することが多いです。現在使用しているRoland製品含め、国内外の色々なメーカーの機材を使ってきましたが、セミナー配信に関してはRoland VR-1HDに私が必要だと思う要素が詰まっています。

――特に気に入っている点などがあれば教えてください

宮松氏:現場で必要となる機能がボタンに備わっているのが、いいですね。時間がない時や本番がスタートしてからは、メニューを操作したくないですし、困っている時ほど、「このボタンを押せばOK!」というのは安心できますし、間違いも減ります。

SCENEボタンによってミスが減ったという

――音声面については、いかがでしょうか?

宮松氏:オーディオミキサーを別途用意していたこともあるのですが、一人で操作することを考えると、一台にまとまっていることで、準備も素早くできますし、トラブルも減るようになりました。

また、YouTubeの自動文字起こし機能などを利用する際に、高性能なマイクを使用できるという点でもVR-1HDは気に入っています。Web上で、キーワードを使って検索する形は今後も続いていくと思いますので、その意味でもテキストデータ化の精度がアップするように、機材をチョイスすることは、今後重要になってくると思っています。文字起こしの精度が高ければ、ブログコンテンツとしても活用するなど、コンテンツ制作の効率化もできますしね。

配信設定から音声の調整まで宮松氏一人で行っていた

Eコマース分野をはじめとして、様々な分野での動画活用は、今後ますます拡がっていくだろう。スマートフォンから簡単に動画配信できる時代だからこそ、適切なポイントで使いやすい専用機器を選んでいくことが、結果へと繋がるのではないか?そんな様子を感じることができた。

WRITER PROFILE

岩沢卓

岩沢卓

空間から映像まで、幅広いクリエイティブ制作を手がける兄弟ユニット「岩沢兄弟」の弟。 デジタル・アナログを繋ぐコミュニケーションデザイン・プランニングを行う。