txt:土持幸三 構成:編集部
ニーズに合わせてパーツの入れ換えが可能な自作PC
筆者は自作したPCで動画編集を行っているが、今回、ある仕事で現在のシステムでは対応できない事がわかったので新しくPCを組むことにした。Windows7のサポート終了に加え、期末のセールに便乗できるタイミングでもあったのとWindows10が登場して5年近くになり、さすがに2世代前のOSであるWindows7では動作しないソフトが増えてきたのだ。
約1年前のコラムでも書いているが、自作PCの魅力は自分のニーズに合わせてパーツを入れ換え、PCをアップグレードできる点である。最近はひと昔前にはあった様々なパーツの相性によって動作しない、ということがだいぶ少なくなり自作PCのハードルは低くなったといえる。
現在まで使用している自作PCは組み立てて10年以上使用しているが、最初から残っているパーツはマザーボードのみであることを考えると、マザーボードが主要なパーツであるCPUやビデオカードなど、今後のアップグレードに大きく影響するので慎重に選ばなければならない。
ただ、マザーボードはインテル製のCPUか、AMD製のCPUかのどちらを選ぶかによって選択肢が分かれ、さらにそのマザーボードに取り付けられているチップセットと呼ばれる、それぞれのパーツをつなぐ役割りをするものの、性能によって差がでてくる。この差は拡張性の差であることが多い。
AMDのCPUを使うのは20数年ぶり
今回はコストパフォーマンスが良く、久しぶりに勢いに乗っているAMD製のCPUであるRyzen9 3900Xを選んだ。マザーボードはASRockの上位モデルであるX570 Phantom Gaming X。このマザーボードに載っているAMDの新しいチップセット、X570はPCI Express 4.0に対応しているので従来よりも速いSSDやビデオカードが使用できるのが大きいことと、Macintoshではお馴染みのThunderbolt 3が追加できるので、今後、安価で登場するであろう外付けのSSD等などをつなげるのに重宝するだろうとの思いで選んだ。
ビデオカードは映像編集のクオリティに大きく貢献する場合が多い
ビデオカードはPCI Express 4.0に対応するGPUがAMD製しかないので悩んだが、実績のあるNVIDIA社のGPU、GeForce RTX 2070 SUPERを搭載したものを選んだ。最上位のRTX 2080Tiも考えたが3倍近い値段と、もしこのRTX 2070 SUPERが非力だと感じた場合でもNVLinkという新しい技術でもう1つRTX 2070 SUPERを搭載すればビデオメモリの倍増にもなったうえRTX 2080Ti単体よりも値段が抑えられるようなので、とりあえずこのビデオカードでどこまで編集がスムーズにできるかを体感してみようと思う。
メインメモリは16Gを2枚の32G。これも足りないと感じたらあとで付け足す予定だ。ストレージはすべてSSDとし、OSとキャッシュ用はPCI Express 4.0対応でNVMe接続のM.2でアクセス速度が一番速いものにし、素材はSATA接続のSSDでRAIDを組むことにした。このマザーボードにはM.2が3スロットあるが3スロット目を使うとPCI Expressスロットが1つ使えなくなる排他仕様なのでストレージをすべてM.2で揃えるのは断念した。
自作PCで注意しないといけないのはこの排他仕様がよくあることで、空いているスロットやコネクターが全て使える訳ではないのと、メモリは決まったスロットに差さないとパフォーマンスが活かされないところだろうか。このあたりは各マザーボードのマニュアル等で確認する必要がある。
筆者は去年から主に使う編集ソフトをDavinci Resolve Studioにしている。さらにEdius Pro9も使用予定だ。実は編集ソフトによってCPUが重要かGPUが重要か、はたまたメインメモリが重要かビデオカードのメモリが重要かなどインターネットで調べるといろいろとでてくるので参考にして欲しい。
静電気に気をつけて組み立てる
今回は自作PCに詳しくない方には難しいことを書いたと思うが、筆者の周りでは若者も含めて動画編集するために自作でPCを組み立てる人が増えている。定番のMacintoshやPCブランドによるBTOパソコンなど、「動画編集用」と謳っているPCも多く存在するが、筆者には不満に思える部分も多く、自作した方が自分の望む性能が手に入り、かつあとで簡単にアップグレードできるところが大きいと筆者は思う。