動画編集に最適なWindowsパソコンHP Z1 G8 Tower Desktop PC登場
動画編集をする上でどんなパソコンを選択すべきか悩む人は結構いると思う。それ故になんとなく選択肢が簡単で、「無難」という印象のあるMacを選ぶ人も多いのではないだろうか。ここで実は私個人がお勧めしたいパソコンを紹介したい。HPから発売になっているインテルCore i9プロセッサー搭載のWindowsのデスクトップマシン「HP Z1 G8 Tower Desktop PC(以下:Z1G8)」である。
動画編集で必要なスペックといえば、CPU、メモリ、ディスクスピード、そしてGPUだろう。それに加え、拡張性や堅牢性といったものも大切な条件だ。最近の動画はHDのみならず、4Kや8K、さらには60fpsや120fpsといった時間解像度の高いもの、そしてRAWやLOGなど、データ容量の大きいものや、圧縮が高いものなど、様々な規格のデータを編集することが多くなった。
ユーザーはその編集結果をすぐに参照できることが当然だし、効率的なワークフローの実現をパソコンに求めている。そんなわがままな要望にがっつり応えてくれるの1台がこのZ1G8である。Z1G8はHPのワークステーションのラインアップで昨年新しく加わった最新モデルで、これまでのZシリーズで培った技術が詰まったエントリー向けのワークステーションになる。エントリーといっても侮るなかれ、これがまた完成度の高い一台に仕上がっている。
手頃な価格設定であることに加え、そのパフォーマンスの高さに、あらゆる映像制作において活躍が期待できると個人的に感じている。
贅沢なシステム構成と圧巻のコストパフォーマンス
いくつかあるZ1G8のモデルの中で今回使用するのは、中でもハイエンドにあたる「新パフォーマンスモデル」相当のものだ。CPUにインテル Core i9-11900プロセッサー(2.5GHz – 5.2GHz、コア数 8/ スレッド16、キャッシュ 16MB)を搭載し、メモリも64GB(32GB×2)DDR4-3200と潤沢である。
そして何より注目したいのが、グラフィックカードにNVIDIA GeForce RTX 3070 LHRを採用していることだ。またシステムドライブとしてオンボードに512GB M.2 PCIe Gen4x4 TLC SSDが組み込まれ、理想のシステム構成が実現した。
なんといっても、ここで特筆したいことは、このマシンの価格が33万円以下で購入できるということだ。おそらくグラフィックカードだけでも単体で購入しようとすると15万円弱はするだろう。自作でこのスペックの構成のマシンを組むとなると、到底この金額では収まらないといっていい。もちろん金額だけではない。現行11世代インテルCore i9のマシンは、確実にクリエイティブの作業を支えてくれるはずだ。
HPのワークステーションの技術がぎっしり。高い拡張性とデザイン
なによりも上記の構成というだけでなく、HPのワークステーション技術がそこに詰まっているところもポイントだ。もちろん何も手を加えなくともマシンは素晴らしいパフォーマンスを発揮するのだが、その安定した電顕ディストリビューションと、独自のマザーボードの設計により、しっかりと拡張性を保っている。550Wという電源の範囲で個々に合わせた自由なカスタイマイズが可能だ。
筐体を開けてみて感じたことは「よくもここまで効率的にデザインしたな」と、実にパーツの配置が効率的だと感じる。
どこまで拡張できるか気になる方もいらっしゃるだろう。少し詳しく記しておきたい。
■拡張ベイ
- 外部:スリムラインベイ(9.5mm)×1(オプティカルドライブ用)
- 外部:5.25インチハーフハイト×1
- 内部:3.5インチ×2
- 内部:2.5インチ×1
■内蔵M.2スロット
- M.2 PCIe Gen4x4 2280×1(ストレージ用、空0)
- M.2 PCIe Gen3x4 2280×1(ストレージ用、空1)
- M.2 PCIe Gen3x1 2230×1(無線LAN用、空1)
■拡張スロット
- PCI Express 4.0×16×1スロット(空0:グラフィックスカードで1つ利用)
- PCI Express 3.0×1×2スロット(空1:グラフィックスカードで1つ利用)
- PCI Express 3.0×16(x4での動作)×1スロット(空1)
■ディスクインターフェイス
- Serial ATA 6Gb/s(チップセットに内蔵)x4
速いストレージが必要であれば、M.2スロットを使ってもいいし、SATAにSSDをつないでもいい。ハーフハイトではあるものの、5インチベイにも空きがある。PCI Expressも、10GB LANネットワークインターフェースをつないだりと有効活用できる。今回は2.5インチのSSDをSATAに接続し、データ用のディスクとした。この小さな筐体にここまで詰められるとは、さすがHPといったところだ。
8KのRAW素材をストレスなく編集~クリエイティビティに集中できる環境を
さて、ここからは実際の編集作業に移りたい。今回使用するプロジェクトは、私が過去に制作した作品になる。REDの8K(8192×4320)で撮影したRAW素材を4Kのタイムラインで仕上げたものだ。これを最新のAdobe Premiere Pro 2022で展開した。8KのRAW素材となると、もちろん動画編集の中でもかなり重たい作業となるといっていいだろう。取り付けたSATAのSSDにデータをコピーし、そこから作業を再現した。
その作業の快適さは、正にスペック通りだと感じる。8K RAWであっても、タイムラインのスクラブは非常に軽快だ。ここまで無理なく作業できるとなると、おそらく一般的なシネマカメラの素材などもストレスなく編集を進められるはずだ。
動画編集にとどまらず、このGPUであれば3D制作においても大きな力を発揮するのではないだろうか。正直メインマシンとしてZ1G8はガンガンと使っていけると実感した。ここまでPremiere Proの動きがいいと、クリエイティブに集中することができる。
動画編集に最適で「必要かつ十分」-シンプルだかパワフルな一台
筐体にあるUSBインターフェースも非常に充実している。あらゆる作業をしっかりと受け止めてくれるだろう。インターフェースの詳細は下記となる。Type-Cもしっかりとついている。これこそが動画編集において「必要かつ十分」なマシンであると感じた。
前面
- USB 3.2 Gen2(10Gbps)Type-A×2
- USB 3.2 Gen2(20Gbps)Type-C×1
- USB 3.2 Gen1(5Gbps)Type-A×1
- USB 3.2 Gen1(5Gbps)Type-A(チャージ機能付き)×1
- SDメディアカードリーダーライター
背面
- USB 3.2 Gen2(10Gbps)Type-A×2
- USB 3.2 Gen1(5Gbps)Type-A×1
- USB 2.0(480Mbps)Type-A×1
- USB 2.0(480Mbps)Type-A×2
憧れのZシリーズで、堅牢なワークフローを
映像制作に携わる中で、最も大切な機材は?と聞かれれば、その答えはカメラではなく、レンズでもなく、ずばり「マシン」だと私は思う。
どんな撮影であったとしても、ノンリニア編集というワークフローの中心にあるのはパソコンそのもので、このパソコンの上で沢山のアプリケーションが走り、次々とイマジネーションが形になっていく。私はあえてパソコンのことをマシンと呼んでいるのだが、当然ながらこのマシンがなければ一切仕事は成り立たないのだ。
私がHPのマシンを使うようになってから12年が経つ。オフィスの編集用マシンは全てHPのワークステーション、Zシリーズだ。世界中で評価の高いZシリーズ。その美しいデザインもさることながら堅牢でパワフル、そしてなんと言っても高い信頼性がHPのマシンの大きな特徴だ。
「いつも思った通りに動いてくれる」、これは当然のようで、なかなか難しいことなのだ。突然パソコンが動かなくなったとか、フリーズしたとか、データが消えたなど、想像するだけでゾッとするような経験をされた方もいるだろう。しかし少なくともこの12年の間、延べ20台近いHPのワークステーションを使ってきているが、大きなトラブルが起きたことは一度もない。
後悔の無いマシン選びを
その拡張性の高さや、堅牢なデザインによりそのライフタイムはほかのパソコンよりも長いといえるのだが、一つだけ短所があるとするとそれは価格だ。ハイエンドの処理能力を持つワークステーションだけに、導入するにはそれなりのコストを考えなければならないのが唯一のデメリットといってもいいかもしれない。
しかし今回Z1G8の登場で、そんなワークステーションのイメージが一気に払拭された。ミニマルで必要十分。高いスペックが必要とされる、動画変数のクリエーションに集中できる環境を与えてくれる一台になるだろう。