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今回は、4月1日にシステムファイブPROGEAR半蔵門で行われた「BMCC6K対談」に登壇された映像作家のDIN FILMSさんにBlackmagic Cinema Camera 6K(以下:BMCC6K)とNiSiのATHENA PRIME LENSの魅力について、インタビューさせていただきました。

DINさんが登壇されたBMCC6Kの魅力はこちらからご覧いただけます。

BMCC6Kのフルフレーム(オープンゲート)ならではの良さ

――今回の「BE YOURSELF」ではBMCC6Kのフルフレームで撮影されています。フルフレームやオープンゲートならではの良さを感じたところはどういった点でしょうか

DIN氏:

今までにBlackmagic Pocket Cinema Camera(以下:BMPCC)シリーズも使ったことがある上で、今回初めてフルフレームになったBMCC6Kを使ったのですが、APS-Cとフルフレーム、フルサイズセンサーの差に関して、一瞬で違いがわかるところもありました。例えば、画質の良さというところもそうですし、被写界深度のところだったりとか。中でもオープンゲートが使えることに関しては、今までオープンゲートの画角(3:2)で、撮影する機会があまりなかったので、僕の中では結構新鮮でした。

 

オープンゲートなので、センサーを全部活かして撮影できると思って、その点でいうと、「BE YOURSELF」はシネマスコープサイズで制作したのですが、オープンゲートで撮りつつも、そこからアナモフィックレンズみたいな形のアスペクト比でトリミングしているんです。なので、あれだけの大きい広さで、最初から撮っておけば、そこのトリミングする際の場所選びという点でも結構やりやすかったです。今までだったら16:9から3:2をトリミングしたりするので、撮影する際の難しさなどがありましたが、そういった3:2で生成する映像を作る時とかもやりやすいというイメージはありました。

BMPCCで撮影した映像との比較

――BMPCCシリーズで撮影した映像と比較して感じたことなどありましたか?

DIN氏:

撮影してる時はあんまりわからなかったんですけど、その素材をグレーディングしたり編集したりしてる時が一番わかりやすくて、やっぱりフルサイズセンサーになったので、解像度が高くなり、ピントが合ったところの輪郭が結構はっきりしてるなという印象がありました。

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BMPCCは、ちょっとふわっとしたようなイメージがあって、そこのピントが合っているところと合っていないところの差が曖昧なところがあるので、そこで解像度の差が出てきているのを感じます。APS-Cとフルサイズセンサーの被写界深度が違うので、グレーディングの時に新しく影を足したり、明るさを部分的に足したりしてコントラストを少し付け加えることがあります。その際も(BMCC6K)被写界深度が浅いので、結構コントラストを表現することができるので、コントラストを付けるという点においてもすごいやりやすいなと思いました。

BRAWについて

――「BE YOURSELF」は全編BRAWで撮影されましたが、BRAWで撮影した感想はいかがでしょうか

DIN氏:

BMPCCの時もBRAWで撮影していたので、苦手意識は全くなかったんですけど、BMCC6Kになってから写真をレタッチしているような感覚でグレーディングができているというところがありました。それもBRAWとフルサイズセンサーが合わさっているからできることだと思うので、BRAWの良さを最大限にフルサイズセンサーが引き出してくれている感覚はありました。

BMCC6Kの色味について

――以前DINさんはBMPCCは暖色系の色味をしていると仰っていましたが、BMCC6Kに関してはいかがでしょうか

DIN氏:

BMCC6Kもどちらかといえば暖色系の色味なので、グレーディングの時にシャドウやハイライトにそれぞれ色を載せる時に、BMCC6Kで撮影した映像はシャドウ部分だったら緑系の色が載りやすく、それが元々の素材にすごくマッチしているので、ただそれをDaVinci Resolveのカラーホイールで調整しただけで雰囲気が出ました。

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また、暖色系の素材だから寒色系の方に持っていくの難しいのかなと思うかもしれませんが、BRAWは色情報をたくさん持っているので、寒色系にしたければ、黄色の要素を色相や彩度の調整で減らすことで寒色系に傾けることも可能です。色味に固定されずに違う方向性に持っていこうと思えば全然持っていけるような、そういった色味なのかなとは感じています。

「BE YOURSELF」でのカラーグレーディングでこだわった点

――カラーグレーディングにおいて、こだわった点などありますか

DIN氏:

今回はあまりカラーグレーディングに時間を掛けられず、時間短縮のためDaVinci Resolveのパワーグレードを使用しながらグレーディングしたのですが、BRAWで撮影することで、ホワイトバランスや露出が後から調節できるという点や、他のクリップとの色味を合わせやすい点は大きなメリットですね。全部のクリップに対して統一感を持たせられるようなグレーディングにこだわりました。

使用したATHENA PRIME LENS

――今回の作品で使用したATHENA PRIME LENSのモデルを教えてください

DIN氏:

今回使用したのはATHENA PRIME LENSの14mm、35mm、50mm、85mmですね。その中でも14mm、35mm、85mmをメインに使って撮影していました。自分は35mmレンズが好きなので、35mmで撮りつつ、望遠時は85mmで撮るという感じですね。

レンズの画質やボケ感について

――レンズの画質やボケ感はいかがでしたか

DIN氏:

ATHENA PRIME LENSはどちらかというと柔らかいイメージというよりかは、結構解像度が高くはっきりしたイメージを作り出してくれるシネマレンズだと思います。その中でもボケ感に関しては85mmだったりとか、使った際にポートレートのバストアップの映像とかは背後の玉ボケも普通の玉ボケではなくて、ちょっと独特なボケ感を作り出しつつ、元々のカメラのポテンシャルを消さずに、シネマ感を出してくれるところがこのレンズの魅力なんだと思いました。

シネマレンズならではの映像表現

――作品内でシネマレンズならではの映像表現を行った部分があれば教えてください

DIN氏:

作品序盤の方で主人公が歩いてきて、お坊さんと初めて出会うシーンがあります。そこは85mmを使っていて、最初はボケているんだけど途中からピントが合って最後までピントが合うように撮影しました。そこはピントを自分の方で合わせているんですけど、その時もブリージング補正があるからこそ、スチルレンズ特有のフォーカスを動かした際の気持ち悪さ(ブリージング)みたいなものがなくてすごい気持ちよく見ることもできるし、あれはマニュアルフォーカスだからこそ可能な表現だと思います。

もちろん、オートフォーカスのやつを使えば一番最初から最後までずっとピントがあってるのでそれでも全然いいんですけど、一番最初にちょっと奥から誰かが歩いてきてるなみたいな不思議感を持たせつつ、だんだんピントがあってくるっていう表現の方が、より視聴者さんに印象強さを与えられるなと思っていて、オートフォーカスだと結構難しい技術なので、そういった意味でマニュアルフォーカスで自分ならではの表現ができることがシネマレンズの良さなのかなと思います。

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フォーカス前
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フォーカス後

――なるほど。確かにあのシーンはシネマレンズでないと表現できませんし、印象に残りますね

DIN氏:

また、シネマレンズの構造的な良さでいうと、スチルレンズだとフォーカスリングを少し動かしただけで大きくピントが変わったり、フォーカスリングの凹凸が浅いので、自分でフォーカスのギアだったりとかをつける際に、一個デコボコの紐みたいなものをつけないとフォーカスで噛み合わないので、そこが面倒くさかったりしますね。

あとは終わりなくフォーカスリングが回ったりするので、自分が今どの位置でフォーカスを合わせているのかわからなくなる感覚もあります。その中で、シネマレンズってフォーカスリングも永遠に回らず、止まってくれるし、そもそも最初から凹凸も付いてくれていて、フォローフォーカスを着ける時も新たに取り付けられるし、NiSiのATHENA PRIME LENSはフォーカスリングの位置がほぼ一緒なので、レンズを取り替える際にフォローフォーカスの位置を変える必要もないというところはすごく良かったですね。

ジンバルワークでの使いやすさ

――ジンバルワークでの使いやすさなどはいかがでしたか

DIN氏:

ATHENA PRIME LENSはシネマレンズの中でも軽量でコンパクトな方だと思っています。僕は四角いリング型のジンバルを使って撮影することがあるのですが、その際でもレンズが軽いからこそ、腕への負担も少ないですし、さっき言ったレンズ交換する時にもリグをいちいち全部外す必要がないので、少人数の現場でもレンズを変える際にあたふたしたりすることもなく、スムーズに現場を回せるっていうところも良いポイントだと思います。ジンバル操作時にバランスがレンズの重さで取りづらいということもなかったです。

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BMCC6KとATHENA PRIME LENSを併用することの魅力

――最後にBMCC6KとATHENA PRIME LENSを併用することのメリットや魅力を教えてください

DIN氏:

BMCC6Kはシネマカメラの中では、めちゃめちゃ値段が高いかって言われたらそうでもないし、ATHENA PRIME LENSも多分シネマレンズの中ではリーズナブルな部類に入ると思います。

安いとは言いつつもすごいポテンシャルを持っているレンズだし、BMCC6Kもフルセンサーを搭載した高いポテンシャルを持っているカメラだと思います。

例えば現場によって予算が少ない場面もありますが、その中でも予算がなくてもなんかこのATHENA PRIME LENSとBMCC6Kのセットを使えば、「安いバジェットだからこういった映像になる」という印象ではなくて、寧ろ「このバジェットでこんな良い画が撮れたの!?」というようなその逆のギャップの印象を与えることもできると思います。