10月4日にBlackmagic Design東京オフィスにて、映像クリエイターであるShuma Jan氏を招き、Blackmagic Cinema Camera(以下:BMCC6K)の素材の魅力やDaVinci Resolveを使ったルック作りについて、システムファイブの山本隆太氏(通称:やまもん)と語っていただきました。今回はその模様をお伝えいたします。

現在フリーで東京と京都を拠点に活動する映像作家・映像ディレクターのShuma Jan氏は、商業映像のほか、パーソナルワークとしてショートフィルムの制作にも精力的に取り組んでいます。

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Shuma Jan(シュマ・ジャン):

1992年生まれ。映像作家、映画監督。BMWやYAMAHAのプロモーションビデオ、観光・インバウンド映像などを多数手がける。現在は京都と東京を拠点に活動。

Shuma氏:

普段はディレクションとか、エディットだけ担当することも、カラーをやることもあります。元々は全部1人でやっていて、その後は一時期にディレクションに集中していて、撮影はカメラマンにお願いすることが多くなったんですけど、最近はまた、撮りたい欲がこのカメラ(BMCC6K)のおかげで出てきました。

山本氏:

映像を始めたきっかけは?もともと、映像見るのが好きで撮ってみようかな、みたいな感じだったんですか?

Shuma氏:

僕は見るのも好きでしたけど、出る側に興味があって、アクション俳優を目指していて、いつからか作る側にも興味が出てきたんです。映像は11、12年前ぐらいから始めました。ディレクターは、俳優やっていたり、エキストラたくさんやっていたって人、結構多いかもですね。

山本氏:

撮られる側の気持ちが分かるから、どういうふうに撮ったらいいとかも分かりやすいんじゃないかな。勝手な想像ですけど。

Shuma氏:

そうですね。2018年ぐらいに、bird and insectっていうプロダクションにエディター/ディレクターとして参加して、最近またフリーに戻って京都拠点に築100年の町家に住んで活動を始めました。

山本氏:

京都は旅行でしか行ったことないですけど、街並がすごく古きよき日本を見られるというか。まぁ、観光客もめちゃめちゃ増えちゃってますけど。撮りたいものがいっぱいあって大変じゃないですか?

Shuma氏:

もう画になる場所だらけなんで。僕はこれ(BMCC6K)すごく相性いいと思ってるんで、これからいろいろ撮っていきたいなって思っています。

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ショーリール

Shuma氏:

僕はBlackmagic Pocket Cinema Camera 4KからずっとPocket Cinema Camera(以下:BMPCC)シリーズを使ってきていて、今回のBMCC6Kも含めていろいろ撮ってきたものをまとめたのでご覧ください。

Shuma氏:

BMPCC4Kや6K、BMCC6K(の素材)が混ざっているので、色が全部混ざってるんですけど、統一感というか、ブラックマジックだなって感じのルックが出るんです。

山本氏:

BRAWならではのルック、表現が非常に難しいんですけれども。

BMPCC4KからのBMCC6Kまで

Shuma氏:

僕、本当にブラックマジック好きなんですけど。これは1番最初にBMPCC4Kが出た時に撮ったやつで。

Shuma氏:

林さんっていう方が撮影してくれてます。

山本氏:

林さんってbird and insectの? つい3日ぐらい前にお会いしました。

Shuma氏:

この頃は、(林さん)結構カメラ撮っていたんですよ。これはまだBRAWが出てないCinema DNGで収録してた時のものですが、超感動したんです。

山本氏:

1番最初にブラックマジックがカメラ出して、(収録形式は)Cinema DNGしかなくって、当時もっと便利なカメラっていっぱいあったと思うんですよ。ただ画質で1歩どころか2歩先ぐらいを同価格帯のカメラというか、もうちょっと高いカメラまで含めてもブラックマジック画質綺麗すぎではみたいな…。

Shuma氏:

すごい驚きました。色の幅というか。

山本氏:

当時すごく言われていたのは、やっぱり色とそのダイナミックレンジの幅がとにかく広いと。いまだに(ブラックマジックの)強みだと思うんですけど。10年前からずっとそんな感じですね。

Shuma氏:

とにかく衝撃でしたね。こんな小型でこんなにいいルックが出せるのかっていうので、そこからBMPCC4Kを使い倒していろんな作品を撮りました。

山本氏:

BMPCC4Kが出た当時は、ルックの広さというか、そこに惚れ込んで、ProResに変換してFinal Cut Pro7でカット編だけやって、それをポスプロでCinema DNGでコンフォームしてグレーディングしっかりやって作品として出すっていうのをMVの界隈でめちゃくちゃやっていましたね。私、その時代ポスプロにいたんですけど、幾度となくブラックマジックのカメラで撮った作品を見てきて、このカメラめっちゃ綺麗だなって思っていました。

Shuma氏:

この作品は初めてBMPCC6Kを使ったときなんですけど、また4Kとは違う精細さというか解像感が一気に上がった気がします。この辺も全部ロケですけど、こうやって見ると、なんかワンランク上だてっていう感じがします。しかも小型なんでクレーンとかにも載せやすい。1人でも、手持ちで街中繰り出せるし、仕事で特機に載せてしっかり撮ることもできるし。すげぇカメラが出たなと。

山本氏:

ブラックマジックのカメラってオートフォーカスもなければ手ブレ補正もない。手ブレ補正は一応、DaVinciのジャイロを使って後からできますけど、撮影時にはそれを感じられない(笑)。他にもあげれば切りがないんですけど。それこそFX3がめちゃめちゃ世の中的には売れていて、あの辺と比べると明らかにその便利さっていうところでは劣ってると思うんですけど、Shumaさんはそのあたりどう思います?

Shuma氏:

うーん、手ブレ補正がついていたり、オートフォーカスでしっかり顔認識して追従してくれたりした方が表現の幅は広がる時もありますけど、やっぱりこのモニターのでかさとか綺麗さとかいいですよね。

山本氏:

モニターが大きくて綺麗っていうのは過去対談をやった人100%みんな言ってますね。

撮っていてテンションが上がるカメラ

Shuma氏:

撮ってる時のテンションって大事じゃないですか。(いい画が)撮れてるって思いながら撮った方がいいものできるという。

山本氏:

それもみんな言うんですよ。このカメラで撮ってるとこうやってモニターを見ながら撮ってて、「ああ、めっちゃいいの出たわ」みたいな。こう撮っててなんか微妙だなって思いながら出した作品と自分でめちゃめちゃ手応えを感じて、撮ってる時感動したみたいな作品を世の中に出した時で多分後者の作品の方が世の中に受け入れられると思うんですよ。

Shuma氏:

そういうのありますね。ディレクターって立場でいうと、やっぱりいいカメラとかレンズ渡してる方が明らかにテンション上がってるんで。

山本氏:

そういう感動を感じやすいんですよね、このでっかいモニター。

長年のブラックマジックユーザーだからこそ分かる違い

Shuma氏:

そうですね。僕、BMPCC4Kが出た時にすごく感動したんですけど、それに近い感動がBMCC6Kにはあります。フルフレームになってからブラックマジックのカメラを初めて使った人、もちろん綺麗だと思うと思うんですが、これまでずっとブラックマジックのカメラを使ってきた人が使うと、本当に別物のカメラだなって思うと思うんですよ。

山本氏:

BMPCC6K Proってめちゃくちゃ良かったじゃないですか。NDもあるし、6Kセンサーで超綺麗だしBRAWも使えるし、もう言うことない。私は販売してる立場なので、各カメラの画質評価をテストで撮ったりするのでなんとなくは分かってるつもりなんですよ。そんな僕ですら、初めてこのフルフレームサイズを回したときに、なんだこれは!って思ったんですよ。正直フルサイズになったぐらいで、ちょっと明るく撮れるかなって思ってたんですけど。そういう感じでは全然ない。明らかに綺麗なんですよね。

Shuma氏:

そうなんですよ。ずっと(ブラックマジックのカメラ)使ってる人ほど感動があると思います、このカメラ。

山本氏:

何度もこの対談を観ている方は、また言ってるって思うかもしれないですけど、マジで忖度で言ってるわけではないんですよ!本当に違うんで、うちのショールーム近い方は両モデル展示してあるので、試して撮ってみてください。

作例1:ショートフィルム Drift

Shuma氏:

これは全編BMCC6Kで撮った「Drift」という作品です。ずっと流氷を見たいと思っていて、この冬に知床へ1人で行って撮ってきました。

Shuma氏:

BMCC6Kは、自然合いますよね。すごいテンション上がりました。

山本氏:

これはね、モニターを見ながら「これはやべえの撮れてる」ってなります。編集無駄に時間かけちゃいそう。

Shuma氏:

本当にね、光の捉え方がいいですよ。

山本氏:

そうですね。ブラックマジックって光がすごく美しく映るんですよね。これちなみにフィックスのショット以外は全部手持ちですか?

Shuma氏:

手持ちですね。

山本氏:

そう、手持ちで結構いけるんですよ、皆さん。

Shuma氏:

1人だったので、機材とか別にそんな持って行ってないんです。カメラとレンズ、以上!みたいな。

山本氏:

止め画みたいなとこって、こうやって構えて撮ったんですか?

Shuma氏:

そうですね。そういえば、三脚を持っていく余裕もなくて、一脚で行きました(笑)。

Shuma氏:

音は環境音だけで、環境音も実際は後付けなんですけど。そこで聞いた音を帰って思い出して再現して作っていったっていう感じです。この辺の流氷たちを一番見たかったんですよね。

山本氏:

すごく印象的だったのが、雪の粒のきめ細やかな感じだったりとか、ちょっと差し込んでる光が非常に柔らかくて美しいなと思いました。

Shuma氏:

今回、ほぼNikonのオールドレンズの50mm、1本で撮ったんですけど。

山本氏:

めっちゃ映りいいですね。雰囲気がすごくいい。

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Shuma氏:

これは本編に使ってないんですけど、すごい好きな光と色が出ているので、せっかくなのでここでお披露目しておこうと思って(笑)。雪国に本当にぴったりでした、このBMCC6K。

山本氏:

収録はBRAWでそれをグレーディングしてますよね。

Shuma氏:

そうですね、グレーディングで結構変えたんですけど。そちらは後でお見せします。でも、カメラのLUT当てるだけでもかなりいい画になりますよね。

山本氏:

それなんですよね!第一回の対談で井上卓郎さんにグレーディングのやり方を見せてもらったんです。DaVinciのカラーマネージメント設定にあるカラーサイエンスからDaVinci YRGB Color Managedを選んで保存してあげると、BRAWって撮影時の設定が正しければ、それだけで色がほぼ戻ってくる。あれを見てから、BRAWおよびBlackmagic Cameraアプリで撮る時に、それしか使ってないです。色をニュートラルに戻して気になるとこだけちょっと直して、最後にLUT当てて直すみたいな。他のカメラのRAW素材で同じことやってもそこまで綺麗にはいかないんで、結構直すんですけど。なんでこんなに簡単に戻ってくるのかっていうところもブラックマジック使って感動するポイントです。

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Shuma氏:

これも好きなカットなんすけど。僕が(BMCC6Kで)一番いいなって思ったのが、すごいスキントーンが綺麗なんですよね。別に以前も綺麗だったんですけど、BMCC6Kになってから、より素直な色になったなと。何が原因なんだろう。ローパスフィルターって変な色かぶりとかなくなったのかな。

山本氏:

おそらく、それがうまく作用してるんじゃないかな、と僕も評価してるんですけど。

Shuma氏:

なんとなくブラックマジックのクセみたいなのがBMPCCとかにはあったんですけど、いいところは残しつつ、よりリッチに感じるのはそこかなって思って。結構クセのない素直な色が出やすくなってる気がします。

山本氏:

そうですね。BMPCC4Kとか6Kプロが汚いってわけでは全然ないですけど。僕が下手なのかもしれないですが、肌の色をより自分の持っていきたい色にするのって結構難しいなと僕は思っていて。

Shuma氏:

いやいや、カメラを選ぶ時は、結構そこが基準になったりしますよね。綺麗だけど肌の色(の調整)が難しいというか、追い込めば綺麗にできるけど、なんか素直に綺麗な色にならないカメラとかもあったりするので。BRAWはかなり素直なコーデックなので、本当にグレーディングしやすいですよね。

山本氏:

僕、自分で撮るようになったのが、3年前ぐらいからなんですけど。これ(BMCC6K)を初めてグレーディングでいじって作品を作った時の感動ったら。僕みたいな下手くそがやっても、こんなに思い通りにいくのかって思った記憶あります。

Shuma氏:

本当にね、自分うまっ!て思わせてくれるカメラですよね、これ。

山本氏:

そうなんですよ。だから、これで撮った後に、俺もしかしてめっちゃ上手くくなったのかもしれんと思って、別のカメラの素材を触ったら、やっぱり違ってて、あれが使いやすかっただけだったんだってね。グレーディング悩んでる方はおすすめです。

作例2:花王キュレルWEB CM

Shuma氏:

さきほどの作品は自主制作だったんですけど、これはがっつり広告で使ったやつで。パリ五輪に出場していたボルダリングの楢崎智亜選手とキュレルのタイアップの広告で(BMCC6Kを)使わせていただきました。

Shuma氏:

この時は、いつもお願いしているカメラマンに撮影をお願いして、カラリストもいたんですけど、2人ともこの画質にテンション上がってました。そのカメラマンもずっとブラックマジックのカメラ使っていたので、(自分が)初めてこのフルフレームカメラ触った時と同じような感動でしたね。

山本氏:

ブラックマジックのカメラ使ったことないっていうカメラマンにブラックマジックのカメラ任せられないですもんね。めちゃくちゃ実績ある人だったら別ですけど。特に手持ちで撮ってもらおうと思ったら、ある程度ちゃんと撮ってくれる人じゃないとなかなか難しいですよね。

Shuma氏:

この時も、ほぼ手持ちでいったかな。オープンゲートにはまって、もうそのまま行っちゃおうみたいな感じで。さっきの作品もこれも3:2で作ってるんです。

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3:2の画角は楽しい!

山本氏:

せっかくこのカメラで撮るんだったらオープンゲート使いたくなりますよね。せっかく映像センサー全部使えるんですから。

Shuma氏:

そう、もちろんそれをクロップして普通の16:9でやってもいいんですけどね。他の(BMCC6K)使われてる方もみんな言ってますけど、この画角(3:2)いいですよね。横長の画角って、シネマスコープの2.35:1とか好きで使うんですけど、結構難しいんですよ。特に顔に寄った時とか、無駄なスペースめっちゃできちゃう。それをうまく切れるカメラマンって結構レベル高いなと思います。カメラマンだけじゃないですね。ライトもね、背景のライトとか何を配置するのか気にしていないと無地の壁とかになってしまうので。

山本氏:

シネスコは、かっこいいなと思ってるんですけど綺麗に撮れないので、やっても少しだけ切り抜いてシネスコにするくらいで難しいですね。

Shuma氏:

3:2は最初少し苦戦しましたけど、画が作りやすい比率だなって思いました。

山本氏:

オープンゲートもいろんなご意見があって。(先ほどお話に出た)林さんもオープンゲートが使いたいからBMCC6K使うって話をされていて、何がいいのか聞いたら、オープンゲートはほぼ中盤(カメラ)だと思うようになったと言われて、なるほどと思いました。あと別の方ですけど、オープンゲートだと画角の四隅、端っこがすごくボケるっておっしゃっていて。レンズの光学的には真ん中が一番一番美味しくて、隅の方に行けば行くほど少し解像感が失われていくので、その失われつつある端っこのところが逆にエモいとおっしゃっている方もいて、いろんな考え方あるなと思いました。

Shuma氏:

それもあるかもしれませんね。

山本氏:

シンプルに3:2は、16:9の画角に慣れた我々の目を、原点回帰じゃないけど4:3に近しい良さがあるって説明してる方もいて、三者三様みんなオープンゲートに対する捉え方が違っていて、全部言っていること分かるんですよね。

Shuma氏:

この画角(のトレンドが)来ないかなって思ってます。こういうカメラメーカーがスタンダードでこの比率でカメラ作ると、流れを変えていきますよね。

山本氏:

このカメラが発表された時に海外のTwitterや掲示板を見るとオープンゲート!!みたいな感じで、みんなすごい喜んでいたらしくて。やっぱり日本と海外でトレンドちょっと違うんだなって思いました。オープンゲートは確かに難しいと思うんですけど、楽しいので、触る機会があるんであればオープンゲートは是非1回試していただきたいなと思いますね。

作例3:MV 「Bubble」

Shuma氏:

これはMVで、結構ポップなやつも好きで作るんですが、全部オールドレンズで撮影していて、面白いので是非そこも観ていただければ。

Shuma氏:

こういうレンズ群を使える選択肢があるのがいいですね。

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レンズリスト

  • ZENIT MNP-10A 28mm F3.5
  • KIEV MIR MNP-1B 37mm F2.8
  • Helios 44-2 58mm F2
  • JUPITER–9 85mm F2
  • JUPITER–37A 135mm F3.5

山本氏:

このフレアの感じだったり、右下のこの光が差し込んでる感じとか、こういうのがめちゃくちゃ綺麗に映るカメラだと思いますね。

レンズの選択肢が増えるメリット

Shuma氏:

これは太陽光のフレアで、左上も普通の街灯ですね。これは、レンズどっちだったかな。HeliosかJUPITERかどちらかだと思いますが、このレンズもあってEFの時とは違う画作りができました。こういうのは、BMPCC6Kのときにはできなかった。

山本氏:

EFマウントの場合だとEFレンズを使う以外の選択肢基本ないですよね。EFはレンズ資産として大体マウントアダプターでほかのマウントのカメラに使えるけど、逆にEFマウントのカメラに、ほかのマウントのレンズをつけるのはほぼできないので。LマウントはLマウントアライアンス参加してさえいればいろんな選択肢があるから純正のLマウントでもめちゃくちゃいっぱいレンズがある上にマウントアダプターでいろんなマウントつけられるし。

Shuma氏:

このときは、もうPL変換されていたレンズだったので、PL変換してオールドレンズつけて。あとセンサーがでかいのでボケるじゃないですか。だからスーパー35と同じぐらいぼかしたら、ちょっと絞れるんですよ。カメラのレンズって超開放だと性能発揮できないじゃないですか。だからレンズの1番いい部分をいいボケ感で使えるっていうのも、このフルフレームの魅力かな。

山本氏:

スーパー35とかだと、もうちょっと絞ってあげたいんだけど少し明るさ足りないとかね。

Shuma氏:

そう、本当はもうちょいぼかしたいんだけど、みたいな。解像感を犠牲にして開放にしちゃうとかってあると思うんです。

暗部ノイズについて

山本氏:

ちなみに暗部だと、多少のノイズ感は(あっても)それで別にいって僕は思っているんですけど。暗部で引き合いに出すとソニーのFX3やα7SシリーズはISO3200とか6400ぐらいじゃビクともしないと思いますが、BMCC6Kはそういうタイプではないじゃないですか。その辺は画の表現としてどうですか?

Shuma氏:

必要な分はあるかなって思うんですよね。これも結構夜のシーン多かったですけど。この辺とかも結構暗かったんですよ。

56:00~

Shuma氏:

これ、だいぶ見えてますけど、(現場は)なんでこの場所にしちゃったんだろうっていうぐらい暗くて。ほぼ暗い遠くの街灯と一灯だけ弱く、ランタンか何もつけずに生で打ったのかな。でもそれぐらいで現場はめっちゃ暗かったです。もともとグレインとかも載せているので、ノイズは載っているんですけど、そんなに嫌なノイズじゃないというか。主題に合わせて作ってあげれば、そんなに気にならないかなと思います。

山本氏:

暗部ノイズが気になっちゃうっていうお話も聞くんですが、先ほどおっしゃられた通り嫌なノイズの出方では全然ないんですよね。必要十分な明るさが出てるし。もちろんレンズ選びも必要ですけれど。あとは身も蓋もない話をすると、DaVinci ResolveのUltra NRがすごすぎて、全部あれでいいやって。重たいですけど、レンダーレンダーキャッシュを使いつつ、そのエフェクトを1回決めたら、書き出す前までオフにしといて書き出し直前にオンにしたりしてますけど。

Shuma氏:

そういうノイズ除去を組み合わせてれば、夜シーンも全然使えます。

山本氏:

このカメラってDaVinci Resolveと組み合わせることで、機能全解放みたいなとこあるので。手ブレ補正の部分に関してもジャイロの補正とか相当便利だし。

Shuma氏:

僕は手持ちの揺れもあえて生かすことも多いですね。

山本氏:

ビタ止まりする必要があるかと言われればそんなことないですね。自分で撮るようになってから、テレビや映画観ていて、全部ビタ止まりで作ってる作品なんてむしろないですね。日本のドラマとかだと、結構綺麗に止まってるなっていうのありますけど。

Shuma氏:

でも、これは手持ちでも全然いけるカメラなんで。

山本氏:

全然 手持ちでやっているって方もいらっしゃれば、やっぱりどうしても自分には使いこせないっていう方もいらっしゃって。スキルの部分もあると思うので、慣れていただければと。カメラマンを育ててくれるカメラですから。

Shuma氏:

カメラマンもそうだし、気軽に撮れるのでディレクターもそうだし。カラリストもすごいやりやすいって言ってます。

山本氏:

カラリストの方ほぼ(扱いやすいって)言ってる気がするな。扱いづらいっておっしゃられたカラリストは会ったことないですね。

グレーディング

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Shuma氏:

これはブラックマジックの標準LUT基準にやろうかなと思ったので。

山本氏:

ぶっちゃけ、この状態で十分も成立してますけど。ここからどういう風に調整したんですか。

Shuma氏:

これも綺麗でいいなと思ったんですけど、もう少しコントラストのパキッと感を消そうと思って。その調整をして、そこから明るさをちょっと上げて、青側に振りたかったのでホワイトバランスを少し青方向に振っています。

Shuma氏:

最近DCTLとか使うも人増えてきたと思うんですけど、この時はカラーバランスのOFX使いました。やる時によって変えますけど、破綻が少ないというか綺麗なグラデーションで変化してくれるので、こっちで調整する人も最近だいぶ多いなっていう感じです。

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Shuma氏:

僕は、肌の赤みとかが嫌いなので、その辺の調整をここでしています。さらに全体のブルーをシアンブルー方向に振ったりしています。あとはグレインとブラーですね。僕はちょっと柔らかい感じが好きなので、ほんの少しだけブラーかけて、ちょっとやりすぎたらシャープネスでちょっと戻してあげるみたいな調整はよくしますね。最後にコントラストをもう1回調整したりして肌をまた別で調整してあげるっていう感じの調整をこの時はしました。

山本氏:

標準でも綺麗だったけど、またちょっと違う方向性の色になってるという感じですね。

Shuma氏:

こういう浅い画もしっかり作れるっていうのもいいなと。今回、結構シンプルに作ってるので(グレーディングに)そんなに時間かかってないですね。

山本氏:

多分LUTベースでグレーディングする時は、あの(BMD純正のLUTの)中から自分の好みのものを選んでやるのが一番早い気がしますね。全部手動でニュートラに戻していくってやり方も当然ありますけど。

Shuma氏:

あのLUTはいいスタート(地点)ですよね。何が変わったかわならないですが、BMCC6KからただのLUT当ててもすごくいいコントラスト感が出るんですよね。

山本氏:

僕は、この標準で入っているGeneration 5のFilm to Extended VideoのLUTがめちゃくちゃ好きで、これをベースにグレーディングすることが多いです。

Shuma氏:

本当にね、めっちゃ綺麗ですよね。