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SXSWとの出会い、そして再会

SXSWを初めて知ったのは、2020年のこと。ワシントンDCで開催される全米さくら祭りのオープニング演出の依頼を受けた際、「SXSWでも展示するかも?」という話が出た。

「SXSW? なんかすごそうなイベントだけど…」と軽く調べたものの、その頃はまだピンときていなかった。

しかし、その後、コロナ禍で全米さくら祭りは中止となり、SXSWでの展示の話も自然と消えた。気づけば、自分の記憶の中からもSXSWは薄れていた。

それから3年後の2023年春、ふとした縁でPRONEWSでもお馴染みの西村真里子さん主催「テック&パーティー vol.25 SXSW報告会」に参加した。

そこで改めて知ったSXSWは、音楽・映画・テクノロジー・ビジネスが融合した、めちゃくちゃ面白そうなフェスだった。
「こんな場で自分の作品を展示できたら絶対に面白い!」

そのとき、SXSWへの想いが一気に湧き上がった。

西村真里子さんと

SXSW出展のチャンス、そしてDCAJとの出会い

そんなSXSWに、今回DCAJ(一般財団法人デジタルコンテンツ協会)のTechBiz (Technology Business Acceleration Program)に採択される形で出展することになった。

このプログラムは、単に出展できるだけでなく、英語ピッチのトレーニングやメンタリングまでサポートしてくれるという、非常に心強いものだった。

正直、英語でプレゼンするのは不安しかなかった。SXSWは国際的なイベントだし、伝えたいことが伝わらなかったら意味がない。しかし、DCAJのサポートのおかげで、「どうすればサイバー南無南無の魅力を伝えられるのか?」を一緒に考えてもらえ本当に助かった。

サイバー南無南無の原点と、カミングアウトの決意

そもそも、サイバー南無南無を始めたきっかけは、自分自身がADHDなどで生きづらさを感じていたことにある。

そんなとき、たまたまYouTubeで「テクノ法要」の映像を見つけた。衝撃だった。美しく、荘厳で、音楽と仏教が融合したその世界観に、一瞬で引き込まれた。そして、それを見た後、心が軽くなったのを感じた。

「これだ…! これを自分もやりたい!」

そこから、「次の世代に、もっと気軽に仏教や癒しのコンテンツを届けたい」という思いが生まれ、サイバー南無南無の活動がスタートした。

でも、この活動を続ける中で気づいた。「自分の背景をカミングアウトしないと、このプロジェクトの本当の意味が伝わらない」

だからこそ、SXSWという大きな舞台で、自分のストーリーをちゃんと話すことに決めた。

偶然の一言が生んだ提灯プロジェクト

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支援モデルに変わった時に作ったブースイメージ

SXSWのブースデザインを考案中に、最初に浮かんだのは「夏祭りのような空間を作る」というアイデアだった。

音楽、光、アート、そして日本らしいエッセンス。その中で、「提灯を飾る」という案はすぐに決まった。提灯は日本の文化を象徴するアイテムであり、ブースの雰囲気をより印象的にしてくれるはずだった。

そんなアイデアを西村真里子さんのメンタリングで話していたときのこと。「提灯を飾るなら、私の名前を入れたい!支援したい!」この一言が、すべてを変えた。「え、これって…もしかして支援モデルとして成り立つのでは?」

そこから、一気にアイデアが膨らんだ。「提灯に名前を入れる」=「支援者の可視化」という仕組みが生まれ、結果的に多くの人が提灯プロジェクトに参加してくれることになった。

提灯と桜:日本の美学をSXSWで表現する

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数ある提灯の中にはPRONEWSも!

この提灯プロジェクトを進めるうちに、筆者は提灯に桜のような美しさを感じるようになった。

この提灯は紙だけでできており、繊細な構造をしているため、簡単に持ち運ぶことはできない。そのため、SXSWの会場で一つひとつ組み立てることになった。多くの人の想いが集まり、支援の輪が広がる。提灯は、まるで桜の花が咲くように会場を彩っていった。

しかし、SXSWが終われば、それらの提灯はすべて撤去される。まるで桜の花びらが散るように、姿を消していく。「咲いては散る——この儚さの中に、日本の美学があるのではないか?」現地で提灯を組み立てながら、そんなことを考えていた。

提灯の光が生み出した、華やかな空間と人々の反応

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SXSWの会場では、提灯が壁一面に並び、サイバー南無南無のブースを温かく、そして華やかに彩ってくれた。通りがかった人々の間から、次々と驚きの声が上がる。

「この提灯、何?すごくカッコいい!」「名前を入れたら、サイバー南無南無の活動を応援できるの?

そんな声が飛び交い、多くの人が足を止め、写真を撮っていった。まさに「インスタ映え」するスポットとなり、その魅力はNHKワールドニュースにも取り上げられるほどだった。

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video-containerの中に入れてください。

また、ブースではサイバー南無南無のライブ映像をまとめた映像も上映していた。すると、それを見た来場者たちから次々と質問が飛んできた。「すごくきれいだ!!SXSWのどこでライブをやるんだ?」

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正直、この反応には驚いた。SXSWには無数のアートやパフォーマンスがある中で、まさかサイバー南無南無のライブ映像にこれほどの関心を持ってもらえるとは思っていなかった。

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そして、ふと気づいた。「あれ? もしかして、自分たちもSXSWでライブパフォーマンスをすれば、さらに多くの人に届けられるのでは?」

この発見は、今後の活動の可能性を大きく広げるものだった。SXSWで得た手応えが、新たな挑戦への自信につながっていった。

SXSWを終えて、次のステップへ

私は、日本の仏教を「宗教」という枠にとどめるのではなく、「今をより良く生きるためのノウハウ」として捉えている。

Appleの創業者スティーブ・ジョブズが禅を愛したように、日本の仏教の哲学や考え方は、世界に通じる価値がある。

サイバー南無南無は、日本の仏教を「ライブコンテンツ」として世界に伝え、日本文化の新たな発信を目指している。

そして、その可能性を確信できたSXSWという舞台で、来年はさらに進化した形で表現したい。

本当に、ありがとうございました! また来年、SXSWでお会いしましょう!

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