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2026年3月に発表されたM5 MacBook Airは、筐体が前モデルと同じデザインであるため大きな変更がないように見えるが、M5以外にも様々な性能の向上、そしてプライスパフォーマンスの向上が見られる。これらを映像制作の視点から見ていこう。

価格

  • M5搭載13インチMacBook Air:税込184,800円から
    (学生・教職員価格:税込167,800円から)
  • M5搭載15インチMacBook Air:税込219,800円から
    (学生・教職員価格:税込202,800円から)
アクセサリ接続用のThunderbolt 4ポートを2基備えている。カラーはスカイブルー、ミッドナイト、スターライト、シルバーの4色展開で、13インチおよび15インチのモデルから選択が可能

概要 〜M4モデルとの違い〜

MacBook AirはM5モデルとなって以前のM4モデルより進化している。SoCがM5になったことはもちろんだが、そのほか押さえておきたいポイントは以下の通りである。

M4モデルに比べ内蔵SSDの速度が2倍

M4モデルに比べ内蔵SSDの速度が2倍になった。高速化の理由はいくつか推測できるが、メーカーから明確な説明がないためここでは記載しない。ただ、それらはいずれも妥当と思われる内容であった。

Apple N1チップを搭載

iPhone17から採用された自社設計のネットワーク専用のN1チップが採用された。これによりWi-Fi 7/Bluetooth6に対応し、さらに高速化と省電力化が図られている。

そのほかにも、内蔵カメラの進化などが行われている。

性能確認 〜必要十分なパフォーマンス〜

M5のパフォーマンスは、先に記事にしたM5搭載iPad Proでも確認できた通り優秀である。一応、その時の内容と同じような比較を載せておく。

今回お借りしたマシンはRAM16GB、SSD1TB。SSDこそ増量しているが、CPU/GPU構成は基本モデルのままである。

DaVinci Resolve ノイズリダクション処理 速度

この機能ではCPU/GPU(主にGPU)を利用したものなので、AI以外での処理性能がわかる。

同じM5を載せるiPad Proとの差は、両者間の動作クロックの差と思われる。M5 iPad Proに搭載されているM5は動作クロックが抑えられている。そのためと思われる。

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図 ノイズリダクション処理時間

DaVinci Resolve 超解像度 速度

この機能ではAIを利用しているものなのでAI性能が反映される。同じM5を載せるiPad Proとの差の理由は正直わからない。ただ、何度も試したが同じ結果だった。OSレベルでの何か差があるのかもしれない。
いずれにせよ高速だ。

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図 AIスケール処理時間

内蔵SSDの速度

内蔵のSSDの速度が前世代のM4モデルに比べ2倍の速度となっている。比較するM4 MacBook Airがないので単体の計測値だ。出荷時のデフォルトのものとしては高速な部類だ。

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図 内蔵SSD速度

ディスプレイ表示能力

IPSテクノロジー搭載、LEDバックライト、60Hz
MacBook ProやiPad Proのようにレファレンスモードはないが、表示色域はApple基準のP3になっているので安心だ。

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図 ディスプレイ性能

True Toneなどの自動調整機能をオフにしている状態で何も設定していない状態の結果だが、きれいなDisplay P3で整っている。

このようにベンチマークを並べるだけでは面白みに欠ける。比較だけの情報では実感がないものとなるので、それらは他に任せて別の切り口で見ていこう。

ファンレス 〜サーマルスロットリングの影響〜

冷却ファンがない分静かではあるが、一方で高負荷時にはサーマルスロットリングによるパフォーマンス低下が危惧される。実は筆者はこの点が気になっていたため、実際に検証してみた。

テストとしては、10秒の高負荷なクリップを用意しレンダリング時間を計測。それを基準とし、クリップを3つ(30秒)、6つ(60秒)並べた場合のレンダリング時間を実測値として、理想値(10秒時の時間 x クリップ数)の値と並べグラフにした。

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図 連続負荷時の性能

結果評価

あらかじめ断っておくと、今回のテストで使用した負荷は、あくまでもテストのためのものであり現実的ではない。その上での評価を書く。

サーマルスロットリングの影響は残念ながらある程度ある。数値としては約15%ほどだ。傾向としてだが、M5は高負荷になると瞬時に90℃付近まで上昇する。環境にもよると思うが、その状態が5〜6分続くと、温度は80℃を下回る程度まで下降して落ち着く。おそらくこれはサーマルスロットリングのサインだ。そしてパフォーマンスが低下する。このことはベンチマークの結果がそれを裏付けている。他に気づく点は、温度の上昇が速いのと同様に下降も速い。これは冷却まではいかないが「放熱」が効果的に作用しているのだろう。

先に書いたようにテストの内容は現実的ではない負荷によるものだ。また、映像編集自体もテストのような連続した高負荷であることは少ない(処理時間が長くても、必ずしも処理性能を最大に使っていない場合が多い)。そういった意味ではあまり気にならないかもしれない。

ただ、高負荷なレンダリングが続く3D制作には向いていない可能性がある。

使い勝手 〜場所を選ばない〜

MacBook Airは、いつものデスク上はもちろん、持ち出して外出先でも使いたい。場所を選ばず快適に使えるのがMacBook Airだ。

内容的には必ずしもM5 MacBook Airに限ったことではなく、MacBook Airとして積み重ねてきたものでもある。

外出先で

  • 18時間のバッテリー稼働時間
    息抜きのカフェ、編集室から逃げ出した電源のない休憩コーナー、複数の仲間が転がっている深夜の編集室前の通路。そんな電源のない場所での作業も安心だ。
  • ヘッドフォンジャック
    近年のワイヤレス機器でも遅延は気にならないレベルと言われるが、こだわる方には嬉しい有線接続でのモニタリングができる。

いつもの作業場で

  • 外部モニター接続
    2台の6K/60Hzのモニターを接続可能だ。映像編集をされる方にはデュアルディスプレイにこだわりを持つ方が多いが、これに対応できる。

どこでも

  • Thunderbolt/USB 4 x 2
    Thunderbolt/USB 4 が2ポート用意されている。これにより高速なデータ入出力とモニターへの映像出力ができる。片側にしかこれらのポートが無いことはデスク上での設置には課題になる場合があるだろうが、Airのキャラクター的には持ち出すシチュエーションが多いので問題はないだろう。

    デスクでの使用においては、Thunderbolt/USB 4 による高速での様々な機器との接続は、豊かな制作環境を構築できるだろう。

    ただし、2つのUSB-Cのコネクター間の距離から、接続するものの形状によっては結局1ポートしか使えない場合が想定されることも留意したい。
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図 左側面のThunderbolt/USB 4 ポート

まとめ 〜変わるMacBook Airの存在意義〜

古くからMacBook Airをご存知の方はご存知のとおり、これまでのその存在は「軽くて持ち運びやすいが処理性能は妥協するもの」であった。しかし今は違う。十分すぎる処理性能であり、Appleとして「標準」と言えるものとなった。かつてのポジションはどちらかというとMacBook NEOの役割になった。より高性能なMacBook Proはあくまでも「特別」だ。

ただ正直なところ現在の映像制作の作業負荷は「特別」はそう必要ない。もちろん「特別」であるMacBook Proの価値は確かなものだ。MacBook Proの高品質なディスプレイ、冷却性能は素晴らしい。ただし、これから始める方、コストを抑えたい方は「標準」で十分だ。そういった意味ではMacBook Airの存在意義は大きい。

全てにおいて十分な性能を持ったMacBook Airだが、サーマルスロットリングには配慮したほうが良いと感じる。これだけでも作業時間に影響が出る。

最後に白状すると、15インチモデルは大きいので持ち歩きは厳しいと思う。もちろん、その広いディスプレイは魅力的だ。

WRITER PROFILE

高信行秀

高信行秀

ターミガンデザインズ代表。トレーニングや技術解説、マニュアルなどのドキュメント作成など、テクニカルに関しての裏方を務める。