今回、富士フイルムから発表された「instax mini Evo Cinema」の実機レビューを行った。富士フイルム直販公式ショップの販売価格は税込55,000円。
8mmフィルムカメラを彷彿させる見た目でありながら、写真・15秒までの動画を電子で記録して、インスタントカメラのようにその場でプリントができるそんな機器である。撮影をしながら10代の頃、コンビニで買った「写ルンです」での記憶を思い出した。
ノスタルジックな気持ちになりつつも、新たに搭載された「ジダイヤル(時代ダイヤル)」機能によって、年代に合わせた撮影スタイルでも撮れる「instax mini Evo Cinema」について深掘りをしていきたい。
体験を重視し、アナログ回帰を実現するカメラ
本機の強みは側面に配置された「ジダイヤル」である。1930年代から2020年代まで、10段階の時代をシミュレートできるので、まずは撮りたい年代のイメージを最初に決めることができる。
また、レンズ周りに付いている「度合い調整ダイヤル」により各時代ごとにかかるビジュアルエフェクトを強めたり、軽減できたりもする。フィルム撮影時のような良い意味での不完全な写真や映像も再現することができる。

動画撮影時には、カメラからカタカタカタという電子音も聞こえる。ちょうどフィルムカメラで映像を回したときに聞こえるあの音にそっくりな音だ。当方は、映像学生時代に、16mmのフィルムカメラを回す機会があったが、それに近しい、撮影体験ができた。
動画は15秒しかひとつのファイルとして保存することはできない。制限があることによって生まれる15秒への想いや集中力がまさにフィルムを大事に使うという心持ちと同じだ。フィルムでの動画撮影をしたことがある人には、「また、あの頃の気持ちを」と刺さるカメラであることは間違いない。
カメラの使い勝手について
さすがに直射日光が直接モニターに当たる環境では、他のカメラ同様に見にくくなってしまうリスクがあるが、付属のファインダーを使えば、そんな心配は不要となった。
また、付属のグリップアタッチメントを使うとグリップ性が向上するので、動画を撮る人は付けるに越したことはない。
印刷したい写真もしくは、動画の箇所で、プリントレバーを捻ることでプリントができる。一度、捻って写真を決定し、もう一度捻り実際のプリントが開始される。この撮れた写真が果たしてちゃんと印刷できるのか?という感覚は、やはりアナログだからの体験に非常に類似している。フィルムカメラの印刷が上がってくるまで、ちゃんと撮れているかわからないというドキドキの待ち時間は他のものには変えられない時間である。
動画は15秒しか撮れないけれど、それをQRコード化してチェキプリントに埋め込むということも可能である。渡したチェキから友人が後で動画を再生できるといった共有体験も可能だ。やはりデジタルとアナログの良いとこどりのような感覚がある。
現時点での気になる点としては、バッテリー持ちだと思う。一日ずっと回し続けるというようなカメラではないということは、おわかりいただけたかと思うが、バッテリーが半日も持たないかと思うので、大事な旅行時などは、モバイルバッテリーを必ず携行されることを推奨する。
また、動画撮影時の注意点としては、カメラを激しく振ったような動きから写真を選択して印刷するといった行為は、現実的ではないような気もしているので、ある程度、据え置きかのような落ちついたカメラワークでの映像の方が、チェキプリントには向いている。
「きれいに撮る」より「楽しく撮る」。撮影体験そのものを愛でる一台
8mmフィルムカメラのような形状の「instax mini Evo Cinema」はユニークで面白いカメラである。スマホカメラの画質の良さ以外に重きを置く人や「プリントを楽しむ」「撮影体験を楽しむ」そういったことを重視している人のための持ってて楽しい遊べる一台だ。
渡辺竜平|プロフィール
ハリウッドで映像制作を学び2013年よりセブンシーズピクチャーズとして活動。『書いて、撮って、演出する』映像作家兼スチルフォトグラファー。